2003年11月1日(土)「しんぶん赤旗」
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財界が、農産物輸入の関税引き下げ・「自由化」、農業つぶしを政府に激しく迫っています。農産物の価格保障制度を廃止し、大多数の中小農家を切り捨てて大規模農家だけを残す政策をとれというのです。
日本は自国で農産物を生産できるのに、世界でも異常な食料自給率40%(カロリー計算)、穀物自給率28%(重量計算)という世界最大の輸入国です。
ところが日本経団連は十月二十一日、政府への規制改革要望でも「農産物の価格支持制度や関税制度の見直し」を要求。それに先立つWTO(世界貿易機関)閣僚会議に向けた緊急提言(七月)でも「国内支持、関税を段階的に削減」することを求めました。
財界はことあるごとに、こうした要求を政府に迫ってきました。経団連が二〇〇一年六月にまとめた「『通商立国』日本のグランドデザイン」では、「価格支持の廃止と農家の経営改善策の導入」を打ち出し、露骨に「小規模農家の農業からの撤退の勧奨」を要求しています。
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国の主権、国民の食料を守るために、中小農家の経営を支える農産物の価格保障に力を入れるのは世界の常識になっています。ヨーロッパでは農業予算の三分の二を農家の価格・所得保障にあてています(別図)。アメリカは二〇〇二年の政府補助百十億ドルを、二〇〇三年はなんと八割増の百九十六億ドル(農務省の速報値)に引き上げます。
日本は、価格・所得保障が農業予算のわずか27%。そうした結果、最悪の食料自給率の国になりながら、小泉首相は「農業鎖国は続けられない。改革を考えないといけない」(十月二十一日、バンコク)と財界の要求に沿って、いっそうの輸入拡大を広言。百七十万戸で支える稲作農家を九割以上切り捨て、八万戸程度しか農政の対象にしない「米政策改革」を強行しています。
日本共産党は総選挙で、食料自給も価格暴落もほったらかしにする財界主役・財界支配の農政から、国民の食料に責任を負う政治に大もとから変えるよう呼びかけています。
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