物価高騰から暮らしを守る緊急提案
2025年4月16日 日本共産党
物価高騰が暮らしと営業を直撃しています。日本共産党は、「要求対話」「要求アンケート2025」に取り組み、100万人近い方々から切実な声が寄せられました(4月15日現在)。
「買い物に行くのが怖くなる」「カードの支払いが月に2万円も増えた」など、暮らしの不安と苦しさを訴える声が圧倒的です。また賃上げを求める声、医療・介護への不安も全世代から多数寄せられています。
「トランプ関税」への不安も強まっています。貿易ルールを無視した一方的な関税措置の撤回とともに、国内経済対策として、「トランプ関税」による犠牲を雇用や中小企業に転嫁する動きを許さないために力をつくします。同時に、国民の家計消費と内需を応援する思い切った対策をとることは、「トランプ関税」から日本国民の暮らしと営業を守るためにも、いよいよ大切になっています。
よせられた要求・切実な声にもとづいて、以下の緊急提案の実現のために力をつくします。
1、消費税の廃止めざし、緊急に5%に引き下げて年12万円の減税を、インボイスは廃止に――大企業・富裕層への減税・優遇をやめて消費税の緊急減税を
【いまこそ消費税の緊急減税、インボイスは廃止を】 消費税を5%に減税すれば、平均的サラリーマン世帯(世帯主の給与年収500万円程度)で年12万円の減税になります(表)。
食料品、水光熱費、衣服など、あらゆるものの価格が上がっているいま、毎日の買い物にかかる消費税の負担を減らすことは、もっとも力強く、効果的な暮らし応援です。物価高騰による中小企業の倒産が続いています。中小企業、自営業者の経営を守るためにも、消費税減税は待ったなしです。
アベノミクスで、消費税は二度も増税されたために、いま中間所得層まで、最も重い税負担が消費税となっています。しかも、低所得の人ほど収入に対する負担が重く、税全体の負担率は年収800万円以下まで10%程度とほぼ同じ(グラフ)、税負担の累進性がなくなってしまいました。「不公平な税制」を正すためにも、消費税減税が必要です。
消費税を5%に減税すれば、政府のインボイス導入の口実もなくなります。フリーランスや自営業者、中小企業を苦しめているインボイスを廃止します。
いま、消費税の減税を求める国民の声がいちだんと大きく広がり、重要な政治課題に浮上してきました。力を合わせて消費税の緊急減税、インボイスの廃止を実現しましょう。
【財源をどうするか――本気で消費税減税を実行するためには、借金に頼らず、恒久的な財源を示すことが必要です】
「消費税減税の財源をどうするのか」。これが大きな焦点となっています。日本共産党は、大企業と富裕層への行き過ぎた減税や税の優遇をやめることと一体で、消費税減税を提案しています。
自公政権が進めてきた大企業減税は、年間11兆円にもなっています(グラフ)。政府は、大企業を支援すれば、賃上げや設備投資に回ると言ってきました。しかし、与党も「意図した効果をあげられなかった」(与党税制調査会)と認めざるを得ず、石破首相は、「効果を上げなかったことを深く反省する」とまで国会で答弁しました。「効果がない」減税を続けることは、大義も目的もない大企業へのバラマキそのものです。
所得が1億円を超えると逆に税負担率が減っていく――「1億円の壁」など、富裕層・大株主への優遇も、いつまで続けるのでしょうか。
消費税5%への減税は15兆円規模の大きな財源が必要ですが、日本共産党は、大儲けをしている大企業や大金持ちを優遇する不公平な税制をただせば、財源をつくることができることを具体的に提案しています。
一部に財源について、「借金でまかなえばいい」という議論があります。日本共産党は、コロナや災害対策など、国民の暮らしに緊急に必要不可欠な一時的支出は、国債で賄うことに賛成してきました。しかし消費税減税は一時的な話ではありません。10%から緊急に5%に減税し、さらに廃止する――これが日本共産党の大方針であり、多くの国民の願いでもあります。「借金でまかなえばいい」ということになれば、将来にわたって、毎年、毎年、数十兆円規模で借金を増やし続けることになります。急激なインフレへのリスクも高めます。「インフレになったら国債発行を止めればいい」という議論もありますが、"インフレになったら消費税減税をやめて増税する"とでも言うのでしょうか。あまりに無責任な議論ではないでしょうか。
本気で消費税減税を実行するためには、借金に頼らず、恒久的な財源を責任を持って示すことがどうしても必要です。「大企業と富裕層に負担能力に応じた税金を!消費税は減税を!」――ともに声をあげることを呼びかけます。
2、物価高に負けない賃上げを、物価にふさわしく上がる年金に
「賃上げは好調」と石破首相は言いますが、働く人の多くが、賃金が物価高に追いついていません。これが暮らしの苦しさの最大の要因です。実質賃金は、昨年1年間で▲0.3%、今年もすでに二カ月連続で減少し、ピーク時(1996年)から年額74万円も減っています。
この間、大企業は過去最高の利益を更新しています。ところが、どれだけ労働者にまわしているかという労働分配率をみると、大企業ではこの30年で60%から45%程度まで下がり、過去最低です。利益が労働者にも、取引先企業にも回らず、ただただ内部留保として積みあがる――アベノミクス以降、大企業の内部留保は200兆円も増え、539兆円(23年度末)にも膨れ上がりました。
「大企業の内部留保を賃上げへ回せ、中小企業の下請単価引き上げへ回せ」と、労働者と国民の運動を大きく広げましょう。
すべての働く人の賃上げをすすめていくために、政治が次のような責任を果たすことを強く求めます。
【最低賃金をすみやかに時給1500円(月額手取り20万円程度)に引き上げ、1700円をめざす】
最低賃金を「2020年代に1500円に」と石破首相も言い出しましたが、「5年先」では遅すぎます。物価高に負けない賃上げをすすめるためにも、最低賃金を全国一律1500円(月額手取り20万円程度)に引き上げ、1700円をめざします。
【中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化する】
この問題の最大の焦点は、雇用の7割を支える中小企業の賃上げへの直接支援をやるかやらないかにあります。"賃上げをしないと働き手が集まらない、しかし賃上げができる体力がない"――追い詰められ「人手不足倒産」まで増えています。
岩手県、徳島県、群馬県、奈良県などで中小企業の賃上げへの直接支援、補助金がスタートしています。国こそ、中小企業の社会保険料の軽減や賃上げ補助金など、中小企業の賃上げへの直接支援を大規模に行うべきです。
【大企業の内部留保課税で、賃上げと下請単価への還元を促進し、10兆円の税収は中小企業の賃上げ支援に】
日本共産党は、アベノミクス以降に増えた内部留保に、賃上げ分と設備投資を控除したうえで、年2%、5年間の時限課税を行い、ここから生まれる税収10兆円程度を中小企業の賃上げへの直接支援に充てることを、繰り返し政府に提案してきました。
これこそ、大企業で働く人も、中小企業で働く人も、賃上げを促進し、内部留保を経済に還流させる最良の方策ではないでしょうか。
【物価高騰に見合った年金に改定し、現役世代に"減らない年金"を】
自公政権が、「100年安心」と言って導入した、年金額を物価上昇より下回らせる制度によって、第2次安倍政権以後の13年間で、公的年金は実質8.6%も削減されました。これがなければ、現在、月10万円の年金を受給している人は、月9400円(年11万円)も多い年金となったのです。この制度の被害は、今後も年を追うごとにひどくなり、現役世代の受け取る年金がどんどん減っていくことになります。
「マクロ経済スライド」などをなくし、年金を、物価の値上がりや賃金上昇に追いつかせて引き上げ、現役世代にも"減らない年金"を保障します。①現在290兆円、給付の5年分も貯め込んでいる巨額の年金積立金を、年金の引き上げに活用する、②高額所得者の保険料"優遇"を見直して応分の負担を求める、③現役労働者の賃上げと待遇改善を進めて保険料収入と加入者を増やすなど、物価上昇に見合う年金への改革を進めます。
3、物価高騰による医療、介護の経営危機・提供基盤の崩壊を食いとめ、ケア労働者の賃上げをはかる緊急措置を
【緊急に国費を投入して、医療崩壊を止め、医療従事者の賃上げをはかる】
「このままでは、ある日突然、病院がなくなります」「地域医療は崩壊寸前」――日本病院会など6病院団体の訴えに、衝撃が広がっています。医療機関の収入となる診療報酬は国が決める公定価格ですが、物価高も、賃金上昇もまともに反映されていません。病院の6割が赤字に陥り、診療科や入院患者の受け入れを減らす、救急医療が廃止されるなどの事態が、全国に広がっています。ボーナスカットや賃下げで、医療従事者の"大量離職"も起きています。日本の医療は崩壊の一歩手前の緊急事態です。医療の危機をもたらした自公政権の責任は重大です。
緊急に国費を5000億円投入して、診療報酬の基本の部分を引き上げます。患者負担増にならないようにして、医療崩壊を止め、医療従事者の賃上げをはかります。
【介護報酬の緊急引き上げを介護保険への国庫負担割合を増やして実施し、介護・障害福祉の職員の賃上げと事業所の経営支援をすすめる】
介護では、すでにその基盤崩壊ともいえる深刻な事態が進んでいます。とくに、昨年度、政府が訪問介護の基本報酬を2~3%削減したことで、ヘルパーなどの不足と事業所の閉鎖がすすみ、事業所が「ゼロ」「1カ所のみ」という自治体が増え続けています。
報酬削減の撤回等を求める地方議会の意見書は、16道県議会を含む289自治体にのぼっています(中央社保協集計 3月末)。ただちに削減した訪問介護の報酬を復活します(50億円)。
介護保険の国庫負担割合を10%引き上げ(1.3兆円)、保険料・利用料の負担増にならないようにしながら、公的助成による介護・福祉職員の賃上げと労働条件の改善、事業所の経営再建、介護事業が"消滅"の危機にある自治体における事業継続への公的支援などを行います。
【保育士の給与の着実な引き上げと、配置基準の見直しを】
国の責任で、保育士の着実で継続的な賃上げと、職員配置基準の引き上げ、常勤職員の増員など労働条件の改善をすすめます。
≪暮らしを押しつぶす大軍拡をやめ、財界・大企業優先をただし、国民の暮らし第一に≫
自公政権が維新の会の賛成を得て成立させた2025年度予算は、社会保障関係費、文教費、中小企業対策費など、暮らしの予算はどれも、物価上昇に追いつかない実質マイナスです。食料安定供給費にいたっては、コメ価格が高騰しているのに実額でマイナスとなりました。そのなかで軍事費だけは前年度比9.5%増という、異常な突出となっています(グラフ)。
軍事費突出は、今年度だけではありません。自公政権が「敵基地攻撃能力の保有」などとして2027年度までの5年間に43兆円も注ぎ込む大軍拡計画を決め、3年前には5.4兆円(当初予算)だった軍事費が、わずか3年間で8・7兆円にまで膨れ上がりました。しかも、2月の日米首脳会談で、石破首相は、トランプ大統領に、「2027年度より後も防衛力の抜本的強化を行う」――大軍拡を続けることを約束しました。トランプ政権は、軍事費を「GDP3%以上」=18兆円以上に、と日本に要求しています。
こんな軍事費の異常膨張の道を進んだら、暮らしも経済も押しつぶされてしまいます。「日米同盟強化」の名で、憲法を踏み破り、「専守防衛」も投げ捨て、米軍とともに他国に攻めこむための大軍拡は、平和も暮らしも壊します。日本共産党が「東アジア平和提言」で示しているように、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしていくための、憲法9条を生かした平和外交こそ必要です。
いまこそ、「国民の大切な税金は軍事でなく、暮らしに優先して使え」の国民的な大運動を起こそうではありませんか。
日本共産党は、「日米同盟絶対」でトランプ政権いいなりに大軍拡に突き進もうとする政治、財界・大企業優先の政治――自民党政治の根底にある大きなゆがみに切り込み、切実な要求の実現とともに、国民の暮らし最優先の政治へと改革をすすめるために全力をつくします。
政治を変え、暮らしと営業を守るための、国民的な大運動を重ねて呼びかけます。