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日本共産党

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赤旗

➡2021総選挙 分野別政策一覧

49、公務員制度

内閣人事局、「官邸官僚」、企業からの「出向」職員、定員合理化計画、労働基本権の回復、労働条件、天下り、独立行政法人

2021年10月

住民・国民の目線で働く民主的な公務員制度の実現を目指します

 憲法第15条は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と規定しています。これは、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことが、軍国主義の暴走の一因となったことへの反省によるものです。ところが、歴代自民党政権のもとで、キャリアと呼ばれる特権官僚層が復活し、政権政党との癒着構造を形成してきました。さらに安倍政権は、一連の国家公務員制度改悪によって、「政権に奉仕する官僚組織」につくりかえてきました。

 特権官僚層を生みだすキャリアシステムにメスを入れ、政権中枢による幹部人事介入制度を廃止し、公務員が「全体の奉仕者」として、国民と住民の目線にたって働く、公正中立の民主的公務員制度に改革することを求めます。

内閣人事局を廃止し、政権による恣意的人事をやめさせます

 安倍内閣は、「国家、国益に奉仕する国家公務員」(2013年4月)をかかげ、「政権の方向性を常に念頭に置いて取り組む」よう求め、2014年の国家公務員法改悪によって、内閣官房に内閣人事局を新たに設け、「幹部職員人事の一元管理」の仕組みをつくりました。

 幹部職員の任用は、内閣総理大臣と官房長官、各大臣による「任免協議」で最終的に決定します。任免協議における判断基準は、個々の人事案ごとの「官職の適性」と「採用昇任等基本方針」だと政府は説明しています。その「採用昇任等基本方針」には「縦割り行政の弊害排除」と書かれています。この点について、「岩盤のような規制がいつまでも残っているのは、省庁ごとの縦割りがあるからだ」(内閣人事局設置当時の担当大臣)と発言しています。これは、国民の暮らし・安全を守るルールを掘り崩すということです。当時の菅義偉官房長官も「政権が掲げる改革政策に協力する公務員を登用するのは当然だ」と答弁しています。

 内閣人事局による幹部職員人事の一元管理は、官邸による恣意的な介入を可能とし、政権が掲げる規制緩和を推進するための官僚機構、“政権に奉仕する公務員”“官邸に忖度する公務員”への「改革」だといわざるを得ません。

 内閣人事局は、憲法15条が規定する行政の中立・公正を歪めるものであり、ただちに廃止します。

肥大化する内閣官房・内閣府、「官邸官僚」に対する監視機能の強化が必要です

 安倍・菅政権下で、内閣の重要政策の企画立案・総合調整機能を持つ内閣官房・内閣府を拡大強化しています。こうした官邸機能強化のもとで、官邸に忖度し、公文書の違法な隠ぺい・改ざん・廃棄・ねつ造がまかり通る事態になっています。

 一方で、内閣官房・内閣府の主要な仕事である企画立案・総合調整機能は、行政評価の対象外です。当時の菅官房長官は「これまでも国会の場で説明に努めてきた」と述べ、何ら対策を示さず、野党が要求する臨時国会召集要求や予算委員会開会要求は無視し続けています。

 政府の政策決定の透明化を図る必要があり、公文書管理法や情報法開放の改正とともに、官邸機能強化に対する国会の行政監視機能を果たせるようルールが必要です。

 「官邸官僚」と呼ばれている総理秘書官・総理補佐官・内閣広報官といった特別職の国家公務員は、汚職防止の未然防止策の役割をもつ国家公務員倫理法の対象外であり、倫理法・倫理規定に相当するルールはありません。当時の加藤官房長官は「内閣官房職員の訓告等に関する規程がある」「高い倫理観をもって職務に励んでほしい」と述べましたが、訓戒は懲戒処分ではなく、本人の自覚任せの姿勢です。

 官邸機能強化で「官邸官僚」の力が強くなっているときに、恣意的な運用とならないようルール作りや総理秘書官などの国会招致などが必要です。

企業からの「出向」による官民癒着を防止する法規制が必要です

 第二次安倍政権以降、大企業などの民間企業出身者が、非常勤の国家公務員として内閣官房など政府の中枢で勤務する事例が増加しています。

 例えば、医療分野の研究開発を政府一体で推進する「健康・医療戦略」の事務局である健康・医療戦略室では、52人中22人がアステラス製薬、エーザイ、大塚製薬、小野薬品工業、協和キリン、大日本住友製薬、タニタ、オリンパス、コニカミノルタジャパン、日立製作所など医薬品・医療機器メーカーの出身です。全員が非常勤ながら課長補佐・係長クラスの役職に就いています(2021年1月現在)。この中の日立製作所は、医療機器分野を注力事業と位置付けており、「健康・医療戦略」に関連する予算から日本医療研究開発機構(AMED)を通じて数億円の補助金を受けています。

 デジタル庁の母体であるIT総合戦略室でも、同様です。官民癒着の疑念は払しょくできません。

 政府は、これらの民間企業出身の非常勤職員の給与が年収換算で265~230万円程度であり、出身企業からの給与補填が可能であることを認めています。官民人事交流法は、「公務の公正性」を担保するため、出身元企業における「業務の従事」「給与の補てん」を禁止しています。しかし、非常勤職員として採用することで、この規制に穴をあけているのです。出身企業のヒモつきで非常勤職員として雇用されていることは重大です。

 日本共産党の度重なる指摘で、政府は、カジノ規制の中核を担うカジノ管理委員会事務局において、IR・カジノ推進事業者の出身者は、出身元企業と兼業関係が生じず、給与も全額国が支給する特定任期付職員とすることにしました。これまでの非常勤職員ではカジノ規制にあたっての透明性・中立性に問題があったと認めるものです。ただし、特定任期付職員として雇ったとしても、退職後に元の職場に戻ることができます。「ノーリターンルール」が必要です。

 2021年9月に発足したデジタル庁職員は、発足時約600人のうち、事務方トップの「デジタル監」をはじめ約200人が民間出身者で、幹部7人以外すべて非常勤職員です。この非常勤職員は、兼業・テレワーク可、出身企業の給与補填も認められています。批判をかわそうと、民間出身者の事前登録による入札制限策などを設けていますが、調達業務に限定しており、抜け穴もあります。政策やルール作りに対する利益誘導の防止策はなく、官民癒着の排除には程遠いものです。

 特に多くの企業出身の非常勤職員がいる内閣官房は、政府の重点政策の企画・立案・総合調整を行っています。経団連の「政策の企画・立案の中枢に積極的に関与できるように」「内閣官房や内閣府への民間人登用を増やす」とした提言(2015年)のままに、企業からの「出向」職員が、政府の重点政策の立案に、直接、深く関与することで、大企業・財界の利益を優先する仕組みがつくられているのです。

 国民全体の奉仕者としての公務の性格がゆがめ、財界奉仕の政治を推進する官民癒着を防止するため、企業からの「出向」者を規制する法改正を求めます。

国家公務員の定員を削減する「定員合理化計画」を廃止します

 新型コロナウイルスや多発する災害において、公務員の重要性が見直されている中、政府は、国家公務員の「総人件費抑制方針」の下で「定員合理化計画」に固執しています。わが国の国家公務員数は、2001年の中央省庁再編時から3分の1に減少。政府公表の「人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較」では、フランス90.1人、イギリス67.8人、アメリカ64.1人、ドイツ59.7人に対して、日本は36.9人と、圧倒的に少ない水準です。

 非正規職員の正職員化を含め、国民生活の安全・安心のための必要な人員を確保することは急務です。

 この間の国家公務員の定員削減によって、国、地方の様々な公務部門で必要な正規職員が配置できなくなり、国民生活の向上や安全などの職務遂行に支障が生じています。震災被災地の救援・復興にあたって、避難所の生活環境等の改善について内閣府通達がだされても、通達を受けとめ実行する「公務の力」が不足していることが指摘されています。

 人事院も、若年層職員の減少により技能等が世代間で継承されないなど「業務遂行上の重大な支障」が生じていると指摘し、その要因が「政府の総人件費抑制方針の下、継続的な定員削減や新規採用抑制の取り組みが進められてきた影響」だと答弁しています。

 国家公務員の超過勤務手当いわゆる残業代が、来年度予算編成に向け、各府省庁の要求額が前年度より多いことがわかっています。これまで、実態と関係なく要求されてきたことで、予算の範囲内で残業代をつけ、サービス残業が横行していたことを示しています。サービス残業が認められないのは当然です。そもそも、業務が増加しているのに、公務員の定数を削減していることが問題です。

 国家公務員が公務・公共サービスを国民に提供していく役割を果たすためには、総定員法の廃止、総人件費抑制方針の撤回、定員合理化計画の廃止をすべきです。必要な人員を確保する仕組みにし、公務員を増員すべきです。

労働基本権を回復し、公務員の労働条件の向上をはかります

 安倍政権時に、公務員給与制度の「総合的見直し」と称して、地方部の手当を引下げて、都市部の地域手当などに配分する制度改悪をおこない、地域間給与格差の拡大をおしすすめました。地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことから、「官民を通じて地域間格差が拡大することになりかねない」(全国知事会)ものであり、地方経済への深刻な打撃となります。

 公務員の賃下げは、公務員の生活を破壊するだけでなく、民間の賃下げと相まって、日本の労働条件全体を引き下げる一因ともなってきました。

 給与を引き下げ、労働条件を引き下げる「見直し」が、労働基本権制約の代償機関とされる人事院の勧告としてなされてきたことも重大です。

 公務員の労働基本権を回復し、労働条件の向上をはかる労働政策への転換を図ります。

 そもそも、日本のように公務員の労働基本権を制約している国は、先進国ではありません。ILO(国際労働機関)は、日本政府にたいして公務員の労働基本権制約はILO条約違反という勧告を繰り返しおこなっています。

 日本国憲法第28条は、国家公務員を含むすべての労働者に労働基本権を保障しています。にもかかわらず、国家公務員の争議権や労働協約締結権を奪い、国家公務員の政治的行為を一律全面に禁止する現行規定が、米軍占領下の1948年にGHQ命令で日本政府に押し付けられ、国家公務員法全面改悪によって持ち込まれました。占領政策の亡霊ともいうべき違憲の規定がいまなお存在していることこそが問題です。国公法98条や102条の規定を撤廃し、国家公務員の労働基本権を回復し、公務員の市民としての政治活動の自由を保障することが求められています。

   

 国家公務員の中で、非常勤職員(委員、顧問、参与や保護司を除く)は約2割を占めています。この非常勤職員は、各都道府県の地域別最低賃金を下回るような実態があります。また、常勤が担っていた業務を、非常勤が代わりに恒常的に担っている実態もあります。非常勤職員の常勤化、処遇改善を求めます。

「天下り」を禁止し、厳格に実行する法改正が必要です

 2007年、第一次安倍内閣は、民間企業への天下りを原則禁止していた国家公務員法を改悪し、「あっせんによる天下り」でなければ、自由に民間企業に天下りすることを可能としました。

 この天下り自由化のもとで、2011年には、経産省・資源エネルギー庁長官が堂々と東京電力顧問に天下ったのです。東日本大震災での原発事故をうけた国民世論の厳しい批判によって顧問は辞職に追い込まれ、経済産業省は、幹部官僚の電力会社への天下り自粛を表明しましたが、その後も、原発輸出を狙う原発メーカーに元経産事務次官が天下っています。

 2011年に明らかになった国土交通省の組織ぐるみの天下りあっせんでは、同一ポストに何代も続けて天下りする「固定ポスト」や、複数の天下り先を渡り歩く「わたり」、さらに二つがいっせいに行われる「玉突き人事」という天下り構造が明らかになりました。

 2017年にも文部科学省で、抜け穴を使ったOBを介した組織的な天下りあっせんが発覚しました。

 天下り自由化の際に設置された「再就職等監視委員会」は、これらの天下りに対する監視の機能を果たしているとは、到底いえません。

 天下りを禁止し、厳格に実行する法改正が必要です。

 規制する再就職先は民間企業だけでなく公益法人・特殊法人に拡大し、離職後2年間は離職前5年間に在職していた国の機関と密接な関係にある営利企業などの職に就くことを禁止する「事前規制」を導入するなど、抜本強化します。さらに、OBを介した再就職あっせん行為も禁止します。同時に、定年まで働ける人事制度に改めます。

縮小廃止ありきの「改革」でなく、公共性・自主性を生かす独立行政法人改革を

 独立行政法人制度は、2001年の中央省庁再編時に導入され、国立公文書館・統計センターなどの国の業務を行う機関、宇宙航空開発機構(JAXA)・理化学研究所などの研究機関、国民生活センター・国立病院などの公共機関が独立行政法人とされ、運用されてきました。この制度は、行政における企画立案部門と実施部門を分離し、実施部門に運営裁量を与えることで、政策実施機能の強化をうたったものですが、実際は、多様な公共的事業や業務を一つの枠組みの中に押し込み、事業の縮小や廃止の手段とされてきました。

 各独立行政法人には、整理統合や一方的な人件費削減目標などが押しつけられ、その役割の発揮どころか、事業や業務の遂行に支障すら生じている法人もあります。

 ところが2014年、安倍政権が、事業・業務の廃止・縮小を進める独立行政法人通則法の改悪を強行しました。法律には、雇用の維持、権利義務の継承などを保障する規定すら設けられておらず、職員の士気を低下させ、雇用の安定を脅かすものとなっています。

 独立行政法人の役割の発揮を妨げている仕組みを改め、職員の雇用を保障するとともに、研究機関や行政に密着した事業などの独立行政法人制度になじまない法人は、行政自身の業務として制度の枠から除外するなど抜本的な改革が必要です。

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