22、障害者・障害児
自己責任の押し付けをやめさせ、権利としての障害者福祉・医療の確立を
2021年10月
自公政権は、40年にわたって社会保障を削減し、弱肉強食と自己責任をおしつける新自由主義の政治を続けてきました。その中で障害者施策も例外なく蝕ばれています。いま、政府は「全世代型社会保障改革」として「自助・共助」をすすめており、「公助」として公的責任をごまかして、その責任を放棄しています。国民・社会的弱者に冷たく富裕層にあたたかい、中小企業に厳しく大企業は守る――新自由主義の自公政治は、もう終わりにして、命と暮らしを何よりも大切にする政治に切り替えましょう。
日本の障害者やその家族は、明治以来の「家族制度」が続く中で、自己責任・家族責任が押し付けられる中、とりわけ母親に介護が集中してきました。家族介護を前提とした障害児者施策はもはや限界です。
コロナ禍で表面化した脆弱な社会保障・社会福祉から、ケアに手厚い、社会保障・社会福祉を支える政治への転換がどうしても必要です。その要となる福祉労働者の処遇改善は待ったなしの課題です。
国内の障害児者数は約936万人(2021年度内閣府「障害者白書」)、国民の約7・6%です。日本は障害のとらえ方が狭く、国際的には15%以上はなんらかの障害のある人だといわれています。すべての障害のある人に障害者福祉や医療が行き届くよう、障害者施策の抜本的な改革が必要です。
日本が2014年に批准した障害者権利条約は、「障害のない市民との平等の実現」が貫かれています。障害者が障害のない人と同様の当たり前の暮らしをするために、あらゆる権利を保障し、支援をおこなう社会的責任が国や自治体にあることを宣言しています。
障害関連予算は毎年増えているといわれても、国際的に見ればGDP比でドイツの3分の1、スウェーデンの4分の1(国立社会保障・人口問題研究所2021年度「社会保障費用統計」)にすぎなく極めて低いものです。財源は大企業や富裕層に応分の負担を求め、ムダ遣いをやめて、軍事費を減らし、国際水準に見合った障害関連予算に早急に引き上げて、公的責任を果たさせていきましょう。
緊急時にも対応できる・社会保障・社会福祉、障害者施策の構築を
新型コロナ・感染症対策の緊急施策の実施を
「施設でクラスターが発生し運営が成り立たない」「感染しても障害があるため、入院先が見つからない」「家庭内で感染者が出た場合、障害のある子のケアに見通しがつかない」など、悲痛な声が寄せられています。精神科病院ではコロナに感染した患者のうち235人(20年3月~21年8月)が対応できる医療機関に転院できないまま亡くなっています。
新型コロナは医療体制や障害者福祉の脆弱性を浮き彫りにしました。緊急時にも対応できる諸制度の拡充を平時から構築していくことが重要です。
また、福祉的就労の工賃も下がり幅が大きくなっています。
――希望するすべての障害者、福祉労働者に、公的責任によって定期的に無償でPCR・抗原検査をおこない、ワクチン接種を優先的にすすめます。
――感染した障害者の入院先を確保し、必要な医療を受けられる体制をつくります。
――さらなるコロナウィルスの実態解明や治療法の確立、ME/CFSなどのコロナ後遺症の診療・研究体制の確立、後遺症患者への社会保障の充実を求めます
――施設や事業所に必要なマスクや消毒薬、ペーパータオル、防護服などの衛生用品の支援をおこないます。
――施設や事業所へ減収補填や、はたらく障害者への個別補償を国の責任でおこないます。コロナ禍でも「原則開所」で奮闘する福祉労働者に「特別手当」を支給します。
――自治体からの通知を点字や音声で知らせる、電話相談窓口を確保する、記者会見や緊急
速報などの放送では手話通訳や字幕をつけるなど、障害者に情報をもれなく届けるように
します。
障害者権利条約にふさわしい障害者施策の実現を
障害者施策の話し合いに障害当事者の参加を位置づける
2014年に障害者権利条約が批准され、日本の条約実施状況を検証する国連・障害者権利委員会での初審査に向けて、政府報告や市民社会団体からの「パラレルレポート」が国連に提出されました。国連からは「事前質問事項」が日本政府に寄せられています。日本政府からの報告は、関連法や施策の紹介にとどまり、条約に照らして何ができておらず、どのような問題が起きているかなどがない不十分な内容です。国連での審査(建設的対話)を受けた勧告(総括所見)にもとづいて、国内施策を是正し、権利条約の実現をはかりましょう。
一方、2022年より国民生活基礎調査で障害者世帯の項目が初めて導入されます。相対的貧困の実態や障害者の権利などを明らかにするために、各種基幹統計で障害者と非障害者の比較可能なデータの収集がすすめられます。
権利条約が制定される過程で「私たち抜きに私たちのことを決めないで」が世界の障害者の合言葉になりました。日本でも、さまざまな施策や意思決定などの場に障害当事者の参加を位置づけることで、すべての人がくらしやすい社会づくりにつながります。
――障害者にかかわる政策・計画の実施や監視に障害者やその家族の参加を位置づけます
――各種基幹統計で障害者やその世帯を位置づけて、データ収集をすすめます。
――内閣府・障害者政策委員会を障害者権利条約の監視機能をもつ機関にふさわしく、独自の予算、委員会が人事権をもつ政府から独立した事務局体制をもたせ、多様な障害のある委員での構成や、女性委員の割合を増やします。
――都道府県・区市町村が障害者権利条約にもとづいた施策の実施と監視をできるよう、国が予算を保障します。
――条約実施に向けての取り組みを、対象から除外されている国会と裁判所も含めておこないます。
障害者基本法の改正を
2011年の法改正からすでに10年が経過しており、障害者権利条約の水準にふさわしく見直すべきです。
――障害者権利条約の大事な柱の1つである「合理的配慮をおこなわないことは差別である」を明記します。
――「平等な社会参加のために『必要な支援を権利として保障する』」ことを規定し、「国と自治体の支援提供義務の明確化」などを反映させます。
障害者総合支援法を廃止し障害者総合福祉法へ
障害者自立支援法違憲訴訟団と国が結んだ「基本合意」(2010年1月)から11年がたちました。障害者自立支援法を廃止してそれにかわる障害者総合福祉法制を審議した総合福祉部会の「骨格提言(2011年8月)」を尊重すべきにもかかわらず、政府は障害者との約束を破り、自立支援法を廃止するどころか、一部の手直しで障害者総合支援法を成立させました。
現在、2022年の通常国会に向けて、障害者部会では総合支援法の「3年後の見直し」が話し合われていますが、日本共産党は障害者権利条約、「基本合意」「骨格提言」にもとづいた障害者総合福祉法の制定を求めます。
――応益負担はすみやかに廃止し、利用料は無料にします。当面、世帯収入にかかわらず、本人所得のみの収入認定とします。
――現在のサービス支給量抑制のためのしくみから、障害者参加で区分認定の制度内容を協議し、支援の必要量や本人の希望が保障されるしくみに転換します。
――支援が必要にもかかわらず福祉利用の対象からもれてしまう、または対象であるにもかかわらず適切な支援を受けることができない内部障害、発達障害、高次脳機能障害、難病・慢性疾患などのあらゆる障害者を、障害者基本法第2条1項の規定にもとづいて対象にします。
――事業所・施設は日額払いをやめ、月額払いにします。基本報酬を抜本的に引き上げて、加算で評価する報酬体系を改めます。
――通所施設における食事提供加算は当面継続し、恒久的な食費軽減策に見直します。
――地域生活支援事業の予算を義務的経費化し、必要なサービスの量と質を保障する抜本的な改正をめざします。
――相談支援をはじめすべての障害福祉サービスの抜本的な報酬の引き上げをはかり、障害のある人が安心した地域生活が送れるように改善します。
――同行援護の利用時間の地域間格差をなくし、視覚障害者に対応できるヘルパーの養成を拡充し、十分な支給量を保障します。
――手話通訳などの聴覚障害者の情報保障を充実させます。
――補装具・日常生活用具については、障害者の自立生活や社会参加を広げるものとして、障害の個別性に応じた必要な給付を行うことや実費負担をなくす等、制度の抜本的見直しを行います。
介護保険優先原則の廃止を
65歳になった途端に障害福祉サービスを打ち切り、介護保険に移行させることは障害者基本法に違反するとして、市に損害賠償命令をくだした浅田訴訟は全国を励ましてきました。しかし、今年判決が出された千葉市の天海(あまがい)訴訟では、障害者が「正当な理由なく」介護保険の要介護認定を申請しないことは、介護給付の支給要否決定に「協力しないことにほかならない」として、障害者福祉サービスの継続申請を「不適法なものとして却下することができる」との不当判決が示されました。
障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則について、基本合意では「優先原則を廃止し、障害特性を配慮した選択制等の導入をはかること」と約束したにもかかわらず、国はいまだ優先原則を取り下げていません。
――総合支援法第7条の介護保険優先原則はすみやかに廃止します。介護保険の対象年齢でも従来から受けていた支援を継続して受けられるようにして、障害者が障害者福祉制度と介護保険制度を選択できるようにします。
福祉労働者の処遇改善と事業所・施設の運営の保障
コロナ禍で鮮明になった、ケアを支える福祉労働者の重要性に見合う処遇改善は、これからの社会を展望していくうえでも、不可欠です。全産業に比べて大幅に低い福祉労働者の抜本的な賃金引き上げや配置基準を見直します。
社会福祉事業の行き過ぎた規制緩和を是正し、非営利・公益性にもとづいた本来の障害者・児の福祉を国の責任で支援します。
――日額払いから月額払いを基本とする報酬にして、正規職員の配置を中心とした雇用形態ができるよう、基本報酬を大幅に引き上げます。
――処遇改善加算を本体報酬に組み込むとともに、緊急に福祉労働者の処遇改善をおこないます。
――高い専門性に見合った手話通訳者、要約筆記者などの処遇改善をおこない、身分保障をおこないます。
――社会福祉法に課せられた無料・低額サービスを提供する「地域における公益的な取り組み」の責務を課すこと、地域住民の助け合いによる地域福祉課題の解消規定(理念規定)は、公的責任の縮小・後退につながるものです。これらの規定を撤廃します。
――人材確保に逆行する障害者施設職員の退職共済への公費助成廃止を復活させます。
――施設職員などによる虐待を防ぐためにも、研修、学びの時間を確保できる運営を保障します。
障害者虐待防止法の改正を
2019年度の虐待通報・相談件数は9,110件であり、虐待と認められたのは2,737件でした。2022年度より虐待防止のための福祉労働者への研修実施や、虐待防止のための責任者の設置、事業所(法人でも加)虐待防止委員会の設置が義務化されます。暴力、長時間の身体拘束など障害者に対するあらゆる虐待をなくします。
――通報義務を学校や病院などにも広げます。
――市町村障害者虐待防止センターに専門知識を持つ職員の配置を促進し、緊急対応できる保護施設が確保できるよう、国の対策をすすめます。
――附則に規定された「3年後の見直し」の時期をとうに過ぎており、法改正に向けた審議の開始を求めます。
障害者差別解消法の改正を
今年5月にようやく改正された障害者差別解消法は、民間事業者による合理的配慮が「努力義務」から「義務」に変わりましたが、多くの課題が積み残されたままです。
――何が差別にあたるかの定義をおこない、法の対象を国会や裁判所にも広げます
――救済や紛争解決のしくみを整備し、ワンストップの窓口を実現します。監視機関を設置します
――地方自治体の差別解消支援地域協議会の相談窓口に法律の専門家や障害当事者などの人材を充てられるよう、予算措置などの国の支援を求めます。
優生思想、障害者差別・排除の一掃を
優生思想に立ち向かう
旧優生保護法下での強制不妊手術は違憲だとして被害者が訴えた訴訟(9訴訟団が立ち上がり、今年8月までに6件の判決)の判決では、旧法を「憲法違反」としました。しかし「除斥(じょせき)期間(損害賠償を求める権利がある期間。母体保護法に変わった1996年以降の20年間)を過ぎていることをもって、国の賠償責任は認めていません。
原告の中には、最初の提訴の報道を受けて、受けた手術が初めて優生保護法による被害だと知った人もいます。損害賠償は除斥期間を適用せず、判断されるべきです。
今年8月の兵庫訴訟団の判決では、国会が1996年まで優生保護法を廃止せず優生思想と障害者に対する差別や偏見をなくすための立法や制度をつくる義務を怠ったと初めて判断しました。
日本共産党は、「旧優生保護法に関わる国会の不作為は共産党にもその責任の一端がある」と、謝罪を表明(2018年6月6日穀田恵二衆議院議員・国対委員長の記者会見)してきました。今後も、障害者差別や排除を許さない社会づくりに向けて、優生思想に立ち向かっていく決意です。
――優生保護法による被害者の損害賠償請求において、除斥期間を適用しないための立法措置を講じます。
――「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法」を早期に改正し、謝罪に値する一時金にするための抜本的な増額をおこない、配偶者や人工妊娠中絶被害者も対象にします。
――旧優生保護法を検証し、被害者からの聞き取りを含む国会調査室の調査結果を、国民に広く知らせます。
――国が謝罪広告などによって旧優生保護法の被害者の名誉を回復し、差別解消に向けた啓発・教育にとりくむよう求めます。
障害のある女性の権利、ジェンダー平等、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の保障
障害者権利条約第6条では、障害のある女性の権利を規定しています。障害のある女性は障害と女性という複合差別、複合差別がからみあう交差的差別がしいられてきました。
婦人保護事業実施状況報告(2016年度)によれば、婦人保護施設の入所者のうち何らかの病気や障害のある女性が47.3%であり、そのうち26%が障害者手帳をもっています。
女性や子ども全体の暴力被害の中で障害者・障害児がどの程度含まれているかの統計はなく、実態を把握して、救済措置をとるべきです。
――障害者基本法、障害者差別解消法、男女共同参画社会基本法などに障害のある女性への複合的・交差的な差別を禁止し、防止するための条文を設けます。
――本人が望まない異性介助は禁止します。
――病院や入所施設、家庭における性被害、DVなどの実態を把握し、救済措置を講じます。――女性一般に対する通報・相談・支援の窓口および施設を、障害のある女性にもアクセスしやすくします。
――国や地方自治体の審議会や有識者会議の委員に障害のある女性の参画を位置づけます。
――障害のある女性の婦人科検診や受診、出産を受け入れる医療機関を拡充します。
――障害者への不妊手術や中絶の強要は根絶します。
限界となっている家族介護から脱却し障害児者のくらしの場の保障を
扶養義務規定を改正し、成年後見制度の見直しへ
家族介護が当然視されてきたもとには、民法の家族制度や扶養義務規定が大きく影響しています。
成年後見制度は認知症の人や知的・精神障害者などの預貯金などの財産や介護などの契約を適切に管理できる人を選任する制度です。後見人となった親族や弁護士・司法書士などの専門職が預貯金を横領したり、専門職が担うことで「本人や家族の意向が実現しない」などの問題があり、利用は大きく広がっていません。
障害者権利条約では、当事者の意思決定支援の整備を求めています。後見人には被後見人の意思決定の尊重義務があり、成年後見制度を意思決定支援制度へと根本的に転換することが必要です。
――民法877条を改正し、明治以来変わらない家族制度や扶養義務規定を改正します。収入認定の基準を障害者本人のみにします。
――権利擁護センター(地域包括支援センターや社会福祉協議会などにおかれている住民の窓口相談)や、利用者の課題を把握し適切な後見人候補者を選んで家庭裁判所と連携する「中核機関」をすべての自治体に配置できるよう、国が予算措置や人員配置の支援をおこないます。
――家庭裁判所の後見監督体制の強化など、専門職の不正の防止・根絶に向けた取り組みをすすめます。
――状況の変化に応じて柔軟な交替や追加で後見人を選べるようにします。市民後見人の育成をはかります。
――後見利用の費用助成制度を拡充します。
選択できるくらしの場の基盤整備と現行制度の見直し
障害者福祉施策が長い間前提としてきた家族介護(特に母親)を脱却し、必要な支援を受けながら障害者が希望する場でくらせるよう、基盤整備をすすめます。
新たに、障害支援区分が低い人を年限付きのグループホームに入居させて、期限が来たら追い出すという、障害者のニーズや支援の実態を無視する施策がねらわれています。
――入所施設やグループホームなどの待機者が増え続けています。ショートステイをやむを得ずつなぎながら過ごす「ロングショート」問題も各地で起きています。多様な暮らしの場を公有地も活用し、公的責任で計画的に増やします。
――グループホームの日中・夜間の支援体制の拡充するために、基本報酬の引き上げを求めます。
――年限付きのグループホーム追い出し施策は中止します。
――バリアフリー対応の公営住宅を確保・建設します。
――在宅支援のためにも、家族の休息を保障するためにも、ショートステイの増設や、「医療的ケア」を必要とする人たちへの支援策を拡充します。
――ホームヘルプサービスや移動支援の拡充など、在宅支援を保障します。
――障害者・障害児世帯の孤立死や孤独死を防止し、日常生活における緊急時の支援システムを確立します。
障害児の福祉・医療・保護者支援
障害児の療育や福祉は、児童福祉法のもとであっても障害者自立支援法施行以降、契約制度に移行されたままです。療育の契約、応益負担、事業所への報酬日額(出来高払い)制は、障害を自己責任にするものであり、権利保障にふさわしくありません。制度の改善を求めます。
障害児支援は、保育所、幼稚園、認定子ども園等に通う障害のない子どもと等しく、十分な通園日数、・時間・職員体制・環境が保障されることを原則とすべきです。そのために、厚労省の障害福祉に対応する障害保健福祉部から子ども施策の子ども家庭局への移管を求めます。
障害の早期発見から療育へ
――乳幼児健診は、民間委託による個別健診まかせではなく、市町村等による集団健診をすすめます。保健師、小児科医、心理職などの専門職を配置し、早期からの障害の発見と療育、保護者支援をおこなえるようにします。
――障害が確定していない子どもたちを含めて、必要なときに身近な地域で、療育を受けられるよう、「親子教室」「児童発達支援」などの通所施設の整備を求め、無料で利用できるようにします。また、これらの施設で子どもの発達を保障する療育をおこなえるように、専門性と職員の確保を行います。
――国は実態を調査し、支援の中核的な役割が求められる児童発達支援センターの地域格差のない設置と機能強化を保障します。
――個別サポート加算の聞き取り調査や、虐待確認は保護者との信頼関係を崩しかねず、ただちに中止を求めます。
保育所・幼稚園・認定こども園等での障害児保育
――保育所等での障害児の保育は、保護者の就労を要件とはせず、希望するすべての子どもが利用できるようにします。そのために、保育士等の職員体制を抜本的に改善し、障害のある子どもも含めた集団保育が充実するようにします。国の責任で、障害児保育への支援を拡充します。
――自治体において、保育所・幼稚園・認定こども園等に通う障害児の把握につとめ、関係機関の連携のもとで、巡回相談などによって保育士・教諭や保護者への相談や支援が日常的に行えるようにします。
――障害児の就学に向けて、子どもや保護者の願い、子どもの実態に応じた選択ができるように、十分な就学相談を保障します。
学齢期の地域生活・放課後等デイサービス
学齢期の放課後活動を実施する放課後等デイサービスは、営利企業参入が相次ぎ、本来のあり方とかけ離れた事業所が増えています。
――放課後等デイサービスでは、報酬引き下げによって、厳しい運営をせまられています。子どもの遊びと生活を保障する放課後活動が可能となる専門的力量をもった正規職員の配置の保障ができるように、基本報酬を抜本的に引き上げます。
――放課後等デイサービスの事業維持に不可欠な家賃や車両維持費などの固定的経費を補助します。
――放課後等デイサービスは、感染防止のため学校が分散登校の場合、学校休業日の報酬を適用します。
障害児入所施設
障害児入所施設にいる子どもの約3割が被虐待児であり、強度行動障害やケアニーズの高い入所児が増えており、「子どもの最善の利益を優先」する観点から、職員の専門性を高め、個別支援と集団の中での発達を促す支援が求められています。
――比較的軽度の障害、重度の障害とさまざまで、児童数から割り出される職員配置や設置基準では対応ができません。施設空間や生活集団の編成の困難を解決する職員配置にします。
――超過年齢の入所障害者の行き先を、その人の最善の利益となるよう決定します。
相談支援、保護者支援
――発達・障害・生活を総合的に支援するために、障害児相談支援事業所の専門性を保障するために低すぎる報酬を引き上げて、さまざまな相談に対応できるようにします。
――子育てや保護者のレスパイトを保障するための、障害児のショートステイやホームヘルプに対応できる施設・事業所を増やします。
発達障害者の支援
発達障害者支援法や障害者総合支援法にも発達障害が位置づけられていますが、社会的な理解や支援体制の整備はいまだ不十分です。全世代の問題として、生きづらさを抱えた人たちの支援にとりくみます。
――都道府県・指定都市においての発達障害者支援地域協議会に当事者やその家族の参加をすすめます。
――発達障害者支援センターをすべての都道府県に複数配置し、民間団体やハローワークなどと連携して相談・支援体制を拡充します。
――二次障害を予防する医療や、雇用、教育などすべてにわたって支援を拡充します。
――医療・支援機関に足を運べない人に、専門家が自宅を訪問する相談支援活動を広げます。
――発達障害者も障害者手帳を取得しやすいよう制度を改善します。
安心して暮らせる所得保障の確立を
年金・手当の保障
――障害年金は所得保障という観点から、支給額、認定基準、認定システムを抜本的に見直します。生活できる年金額まで引き上げるとともに、最低保障年金制度をすみやかに実現させて底上げをはかります。
――障害年金センターに一元化された審査によって生じている、「同じ程度の障害でも障害年金が受給できない」「作業所の就労を理由に年金が打ち切られた」などの問題解決にとりくみます。
――無年金障害者への特別障害給付制度について周知徹底を求めます。国は自らの不作為や年金制度の不備を認めて障害基礎年金と同額に引き上げるとともに、国籍要件のために加入できなかった在日外国人など、支給対象をさらに広げます。
――障害のあるひとり親世帯は障害年金と児童扶養手当の加算部分の差額を受給できるようになりましたが、満額を受給できるようにします
――特別扶養児童手当は、申請しても却下される件数が2019年度までの10年間で3倍に増えています。医学的所見を中心とした審査基準と審査方法を抜本的に見直して、本人および保護者の日常生活と社会生活における障害の程度に見合ったものにしていきます。
――障害児福祉手当、特別障害者手当の審査基準を、見直して必要な人に幅広くいきわたる制度に変えます。
労働・雇用の保障
障害者は一般雇用でも福祉的就労でも、低賃金におかれています。障害者で5人以上の民間事業所で働く人の平均賃金は、身体障害者は21万5千円、知的障害者11万7千円、精神障害者12万5千円、発達障害者12万7千円(平成30年5月分・厚労省平成30年度障害者雇用実態調査)となっています。
2018年に発覚した中央・地方省庁の40年にわたる障害者雇用率のごまかしは、障害者・国民への裏切りでした。2020年6月1日時点で国の機関は地方裁判所を除き法定雇用率を達成しましたが、離職者も少なくなく、障害者が定着して働けるための合理的配慮が引き続き必要です。
福祉的就労の賃金・工賃は、就労継続支援A型77,417円、就労継続支援B型12,590円、生活介護4,093円、地域活動支援センター3,849円(21年4月分・きょうされん調査)です。コロナが始まっていない19年4月と、今年4月を比較すると、5割をこえる事業所で減額になっており、コロナで大きな打撃を受けています。
今年度実施の就労支援事業の報酬改定では、「平均工賃月額にもとづく報酬基準(工賃が高ければ報酬も高くなる)」が継続されています。生産活動の経営努力や工夫は当然必要ですが、多くの事業所では障害者の働きがいと労働を通した社会参加を支援しており、それにふさわしい体系とすべきです。また、一般就労移行率を重視した報酬体系は「成果主義」であり、やめるべきです。
一般雇用
――国や自治体、民間企業の法定雇用率の厳守を徹底し、さらに法定雇用率を引き上げます。
――最低賃金法第七条『最低賃金の減額の特例』(障害者除外規定)を廃止します。
――障害者雇用促進法における差別禁止と合理的配慮は法定義務です。事業者は障害者のはたらく権利を保障し、障害の特性に配慮した職場環境の改善をすすめます。
――障害者手帳のない難病・慢性疾患患者も法定雇用率や雇用の義務化の対象にします。
――障害者が職場に定着できるように、企業に対して障害特性に関する知識や支援方法等が相談できる機関を設置します。定着支援を適切におこなうためにジョブコーチ(職場適応援助者)の増員を行います。
――病状や障害が進行しても働き続けられるよう、有給での通院や病気休暇を保障します。
――障害者、難病患者等の移動支援において、通勤のためのヘルパー利用を認め、読み書きをサポートする職場介助者などを配置します。
――重度障害者の通勤・職場支援が始まりましたが、実施自治体は少数にとどまっています。国の制度として拡充できるように、抜本的に報酬を引き上げて担い手を育成します。
――視覚障害者のあんま・はり・灸のはたらく場を確保します。
――官公庁の採用試験に点字・大活字・パソコン受験を位置づけます。知的障害者への採用試験における合理的配慮を実施します。
福祉的就労
――ILO条約や障害者権利条約にもとづき、総合支援法にもとづく就労支援の事業所で働く障害者にも最低賃金を保障できるよう、補てんのしくみを導入します。
――就労支援の事業所・作業所での利用料負担は廃止します。重度の人や利用日数の少ない人の就労をまもります。
――低水準にある小規模作業所と地域活動支援センターに対する補助金を、当面就労継続支援事業の水準に引き上げます。
――コロナ禍で減収した利用者の工賃の個別補償制度を国としておこないます。
――自治体から福祉現場へ仕事の紹介、斡旋などを支援します。
いのちをつなぐ医療制度の拡充を
憲法25条や障害者権利条約25条の立場から、障害・疾患の区別なく、窓口負担ゼロで医療を受けられる日本をめざします。当面、現行の窓口負担を引き下げて、障害者や難病患者・慢性疾患児の医療費は、優先してすみやかに無料にすることは当然です。
自立支援医療の改善を
――自立支援医療の低所得世帯のすみやかな無料を実施し、低所得世帯以外についても無料にします。
――育成医療と更生医療の「重度かつ継続」の経過的措置を恒久的な制度に見直します。「重度かつ継続」者の入院時食事療養費の負担をなくします。
――育成医療制度は「児童の健全育成」の観点から本来の児童福祉法に戻し、障害のある子どもとともに、「放置すれば将来障害が残ると予想される子ども」を今後とも対象に含むようにします。また、給付の対象を内科的治療まで拡大します。
――更生医療制度はリハビリテーション医療の観点から身体障害者手帳所持を条件からはずし、障害の除去・軽減のみでなく、状態を維持したり、これ以上の悪化や二次障害を防ぐための治療や予防も含めた治療にも適用できるよう対象を拡大します。「重度かつ継続」の対象範囲を拡大し、断続的であっても高額の医療費がかかる場合にも適用します。
重度心身障害者医療費助成制度を国の制度に
――重度心身障害者(児)医療費助成制度における窓口負担を無料化にさせるために、実施する自治体への国保の国庫補助金を減額するペナルティー制度を廃止します。
――重度心身障害者(児)医療費助成制度を国の制度として確立します。身体障害者手帳のない難病・長期慢性疾患をふくむすべての障害者を対象にします。
――難病・慢性疾患などにおける通院やその付き添い人のための交通費助成と宿泊施設の設置および運営費の補助を行います。
障害児者の入院
重度訪問介護利用者でかつ支援区分6の人に限って医療機関でのヘルパー利用が可能になりましたが、看護師などに介助方法を伝えるだけで直接介助は認めていません。
――一部の重度者に限定せず、通院や入院時に介助を必要とするすべての障害児者に対して、コミュニケーションや日常生活を支えているホームヘルパー等が病院内での直接介助や見守り支援ができるよう、医療と福祉の垣根をはずし、実態的な支援がおこなわれるよう制度の拡充をはかります。
精神障害者の医療・福祉の拡充
精神科病院の入院医療の監視強化や身体拘束・隔離の人権を損なう行為に歯止めをかけ、医療体制を手厚くするとともに、国際的な規範に即して精神障害者の地域のくらしを支えます。
――精神科病院での身体拘束や、強制医療を解消します。
――他の診療科に比べ医師や看護師の配置が少なくてよいとしている「精神科特例」を見直し、診療報酬を引き上げて医療体制を厚くします。
――措置入院した患者の退院後の支援を話し合う「精神障害者支援地域協議会」への警察官の参加を中止します。個別ケース検討会議への本人や家族の参加を「必要に応じて」から、積極的な推進に転換します。
――社会的入院を解消します。精神科病棟の居住系施設への転換はやめて、地域にグループホームなど住まいの場を増設し、在宅での訪問支援を拡充します。相談支援を拡充し、就労支援をはじめとした所得保障などをすすめます。
――自立支援医療(通院公費)の低所得世帯のすみやかな無料を実施し、低所得世帯以外についても無料にします。
難病・小児慢性疾病
難病とは、医学的には治りにくく、研究や新薬開発の光が当たりづらい希少・難治性疾患で、国内では現在わかっているだけでも500~600の疾患があるといわれています。社会的には、生活面の制約や経済的・精神的負担が大きく、社会の理解不足や施策の不備などからくる、社会的障壁による「障害」の概念も含む俗称として使われてきました。
予算措置として難病の医療費助成が長い間おこなわれてきましたが、2015年に難病法及び改正児童福祉法の施行で、法的に位置づけられて施策が実施されています。
日本の障害概念は「固定・永続」という狭いとらえ方から、疾患という状態での障害を認めておらず、難病・慢性疾患をもつ人は長い間、「福祉の谷間」におかれ、福祉サービスから除外されてきました。ようやく2011年に障害者基本法が改正され、難病のある人も障害者として法的にも位置づけられることになりました。
そして2013年に施行された障害者総合支援法の障害の範囲に「難病等」が加わり、身体障害者手帳がない難病等患者も障害者福祉の利用に道が開かれました。難病・慢性疾患患者も「治りづらい疾患を有する障害者」として、総合的な障害者施策をすすめます。
(詳しくは「23、難病・小児慢性疾病」をご覧ください)
未来を切り開く教育の保障を
子どもに適した場を求めて、特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室に通う子どもたちが増えているにもかかわらず、そうしたニーズに見合った教育条件の整備がすすんでいません。
さらに教育において過度な競争(エリート主義)・能力主義が強まる中で、障害のある子どもたちが通常学級から排除される事態も起こっています。
長年の保育者や教職員、関係者の努力が実り、特別支援学校の設置基準が制定されました。しかし、数多く寄せられたパブリックコメントの声に応えることなく、最低限の基準にとどまっています。さらに、既設校を対象から外すなど、すべての障害のある子どもたちに行き届いた教育を保障するには不十分な内容になっています。
教育条件を緊急に整備し、すべての障害のある子どもたちに行き届いた教育をすすめます。
特別支援教育
――「学校設置基準」に在籍児童数・生徒数の上限規定や通学時間の上限、障害種別ごとに必要な施設・設備を入れるよう求めます。
――看護師など医療スタッフなどの配置について法的に規定します。
――既設校にも設置基準を適用するように求めます。
――通常学校における特別支援教育の充実を図るため、一学級あたりの児童生徒数を引き下げ、通級指導教室の整備計画、施設整備の充実をはかります。個別のニーズにこたえる「合理的配慮」の提供ができる財政保障を求めます。教員定員基準を新設します。
――教職員の増員や施設設備のバリアフリー化、エアコン設置など、十分な教育予算をとり、子どもに最適・最善の教育がなされるよう教育環境をととのえます。
――外国籍の子どもの支援体制を整備します。
病児・医療的ケアの必要な子ども
今年6月に「医療的ケア児と家族の支援法」が成立しました。国や自治体の責任で、保育所や学校の支援体制を拡充し、子どもの自立の観点からも医療的ケア児が家族の付添いなしで通園・通学できるよう、看護師や医療行為のできる保育士などを配置し、条件整備をすすめます。各都道府県に相談活動の実施などをおこなう医療的ケア児センターを設置し関係機関と家族をつなぎます。
今回の法制化にともない、看護師等がいないことを理由に、医療的ケア児、難病・慢性疾患児など医療依存度が高い子どもたちが、希望する保育所や学校に通えなくなるといった一律の対応がおこなわれることも懸念されます。付帯決議のとおり、「看護師等が常時配置されていないことが当該児童の通園・通学の妨げとなることのないよう」に、自治体・現場への周知をおこなっていくことが重要です。
法には子ども・障害児としての権利を保障し、合理的配慮をすすめるという条文がありません。次期法改正時、子ども・障害児としての権利保障をもりこむべきです。
――学校等だけでなく、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの福祉施設においても、医療的ケア児が利用できるよう、条件整備をすすめます。
――医療的ケア児センターは自治体まかせにせず、国が予算を保障して運営できるようにします。
――親の付き添いがなくても医療的ケア児が通学できるよう、特別支援学校のスクールバスの整備など通学保障をすすめます。
――障害者総合支援法による移動支援を通学にも使えるようにします。
――後期中等教育(高校・高等部)も含め病弱学級・院内学級・病弱特別支援学校の設置をすすめ、病児の教育の保障をすすめます。
――過重な負担になっている医療的ケア児の保護者を支援し、在宅・学校などにおいての教育の権利を保障します。自治体まかせになっている福祉・教育・医療の垣根を取り払った支援を国の責任で強めます。
高校・専修学校・大学・生涯学習
18年から高校の通級指導教室制度が始まっており、19年度は1,006人利用しています。通級が必要とされても、利用していない理由でもっとも多いのは「指導体制が取れない」ためです。教員の増員はここでも切実です。
特別支援学校高等部や高校卒業後の障害児の生涯学習、発達保障の場を求める声が広がっています。「専攻科」の設置は、私立や国立の特別支援学校の一部にとどまっており、知的障害のある生徒の学びは、社会福祉法人やNPOによる総合支援法の自立訓練事業と就労支援事業を使った「学びの作業所」「福祉型専攻科」などが受け皿になっています。また、社会教育制度の縮減の中で青年や成人期の余暇活動の場は限られています。
――高校の通級指導教室の設置学校数や学級数、進路状況などの実態を調査し、教員の増員をおこないます。
――高校の特別支援学級設置の検討をおこないます。
――高校内に設置されている特別支援学校の分教室の条件整備をすすめ、分校とします。
――高校、大学、専修学校などで、入学試験・共通テストや修学支援のための合理的配慮をすすめます。
――学校教育法の中に、学びの継続を希望する特別支援学校高等部の生徒や障害のある高校生に開かれた、専攻科の設置を位置づけます。
――社会教育制度による青年・成人期の余暇活動を拡充します。
社会参加を促進させるまちづくり・情報保障を
交通利用の自由、バリアフリーの推進を
――公共交通機関の料金割引制度の改善・拡充にとりくみます。とりわけ、精神障害者、てんかん、難病・慢性疾患などの障害者・患者を身体・知的障害と同等の運賃割引の対象にすることを求めます。
――障害者手帳の「1種」「2種」の区分により扱いが違う運賃割引の適用を、付き添い者の有無や距離に関係なく割引されるよう求めます。
――駅のホームドア、可動式ホーム柵の普及をすすめ、駅員による転落防止等の対策を徹底します。ノンステップバスの導入をすすめ、交通や建物などのバリアフリー化をすすめます。
――車いす利用者など駅利用に事前予約がしいられ、安全面にも逆行する駅の無人化に歯止めをかけます。少なくとも、障害者施設や特別支援学校などがある駅の無人化をやめさせます。
――障害者用・オストメイト対応の「多機能トイレ」、すべての人に開かれた「ジェンダーレストイレ」を普及し、ユニバーサルシートをあわせて設置します。
――点字ブロック・音響式信号機・エスコートゾーンの整備をすすめます。
――障害者が安心して生活できる公営住宅を計画的に建設するよう求めるとともに、抽選なしの優先入居を制度化します。
文化・スポーツ・余暇活動の保障を
――文化・スポーツ、余暇活動に誰もが親しめるよう、施設整備や環境づくりをすすめます。競技スポーツにとりくむ障害者アスリートの競技環境整備を支援します。また、障害のある青年や成人の余暇活動の場への公的支援の抜本的な拡充を求めます。
情報アクセス、コミュニケーションの保障を
――手話言語法を制定し、障害者のコミュニケーション手段の自己選択・自己決定を尊重し、社会参加を保障する「情報・コミュニケーション法」を制定します。
――批准した「マラケシュ条約」の実現に向け、読書や文字の読み書きに困難がある人たちの「読書権」を保障します。「読書バリアフリー法」による点字、オーディオブック、電子書籍等の作品の複製などを推進します。
――公的機関などに読み書き(代読・代筆)情報支援員の配置ができるようにします。
――アクセシブルな情報通信技術(ICT)の調達を政府に義務づけるとともに、「新技術」の開発段階からの障害者の参加を保障します。
――障害者対応のATMの普及や、点字通帳や出入金明細書の発行、窓口対応の改善など金融機関の業務を改善します。
――サイズの差別化をはかり、さわってわかりやすい紙幣に改善します。
――テレビとラジオが聴取できる携帯品「テレビラジオ」を日常生活用具に指定します。
――人工呼吸器を装着した難病患者や重度障害者のコミュニケーションツールとして機器の開発を促進し、これらを補装具や日常生活用具の対象とします。意思伝達装置の入力スイッチ設定支援制度を創設し、専門機器が支援できる体制を整備します。
――テレビの解説放送や手話・文字放送を拡充します。
――セルフレジがすすむ下で、自由な買い物ができる環境を整備します。
――デジタル化の進行の中での障害者のプライバシー保護を守ります。
政治参加を保障し、司法の場における権利保障を
参政権の保障を
――障害者の参政権を保障するため、手話や字幕をすべての政見放送に義務づけます。
――点字による選挙広報の発行を義務付け、国政選挙以外にも発行を拡大します。
――要介護度や障害の程度にかかわらず、体の不自由な人や投票所に行くことが困難な人が在宅における投票をできるようにします。移動・巡回投票制度を実施します。
――投票所を近くて便利な場所になるよう増設し、バリアフリー化をすすめます。
――被後見人が支障なく選挙権が行使できるよう、国や自治体の環境整備をすすめます。
――公職選挙法の「文書活動の規制」を撤廃し、ファクスの利用などを自由にします。
――選挙の候補者や議員活動での介助、代読、手話通訳などの合理的配慮を保障します。
――すべての病院や施設での投票を保障します。
司法権の保障を
――障害者が裁判を傍聴する場合や、原告・被告として裁判の当事者となる場合に不利益を生じることがないよう、意思疎通への配慮、障害者をまじえた職員研修など、司法当局が手立てをとります。
――裁判での点字文書の拡充や手話通訳費を公的に負担します。
――損害賠償額の中の柱の1つである「逸失利益」において、障害者差別の解消を求めます。
震災等緊急時の対応を確実に
東日本大震災や熊本地震、異常気象による災害の対応などの教訓をふまえて、支援をすすめます。
――障害者や高齢者などを受け入れるための「福祉避難所」指定施設が災害時、いつでも力を発揮できるように支援を強めます。
――被災地や避難先で暮らす障害者・高齢者の制度やサービスの利用、移動支援、仮設住宅や復興住宅などのバリアフリー化をはじめとした住環境の整備などの支援を、緊急かつ継続的におこなえるようにします。
――被災による障害者事業所・施設の減収を補償するよう求めます。そのためにも、日割により矛盾が生じている報酬制度は月割に戻します。
――防災、復興の部局に障害当事者が参加できるようにします。自治体の防災や災害時の避難などの計画づくりを促進するよう支援を強めます。