4、医療
自公政権に壊された医療体制を再生・強化し、高すぎる国保料(税)と窓口負担の軽減で、安全・安心の治療を受けられる制度へ
2021年10月
新型コロナウイルス感染症の拡大と、そのなかで起こった医療崩壊は、日本の医療体制がいかに脆弱になっているかを明らかにしました。
自公政権は、40年にわたって社会保障削減の政治を続け、この20年間は社会保障予算の「自然増」を、毎年、数値目標を決めて削減する政治を続けてきました。こんなことをすれば、医療や公衆衛生が弱体化するのも当然です。医療崩壊を再び起こしてはならない――これはコロナ危機の痛苦の経験を踏まえた政治の重い責任です。
日本共産党は新型コロナの脅威から、国民の命と健康を守るための緊急対策を進めるとともに、長期にわたって壊されてきた医療の基盤を再生・強化する改革を進めます。
安倍・菅自公政権が強行してきた医療制度改悪をやめさせ、だれもが安全・安心の治療を受けられる医療制度を確立します。
新型コロナウイルス感染症から国民の命・健康・暮らしを守ります
1、コロナ対策・感染症 をご参照ください。
「コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を――日本共産党の新経済提言」(9月22日発表)もご参照ください。
高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げ、住民と医療保険制度を守ります
日本共産党の国保政策の詳細は、「高すぎる国民健康保険料(税)を引き下げ、住民と医療保険制度を守ります」(2018年11月1日発表)、「国保料(税)の連続・大幅値上げか、公費1兆円投入で大幅値下げか――統一地方選挙の一大争点に」(2019年3月14日発表)をご参照ください。
市町村が運営する国民健康保険は、加入世帯主の4割が年金生活者などの無職、3割が非正規労働者で、低所得者が多く加入する医療保険です。ところが、平均保険料は、4人世帯の場合、同じ年収のサラリーマンの健康保険料の2倍になります。
全国知事会、全国市長会など地方団体は、加入者の所得が低い国保が、他の医療保険よりも保険料が高く、負担が限界になっていることを「国保の構造問題」だとし、これを解決するために、公費投入・国庫負担を増やして国保料(税)を引き下げることを、国に要望し続けています。
日本共産党は、住民の命と健康、公的医療保険制度を守るため、高すぎる国保料(税)を抜本的に引き下げ、持続可能な制度にする改革を提案します。
1兆円の公費投入増で国保料(税)を抜本的に引き下げ、協会けんぽの保険料並みに引き下げます
高すぎる保険料を引き下げ、国保の構造的な問題を解決するには、公費を投入するしかありません。国保料(税)の高騰は、国保に対する国庫負担の抑制と、国保加入者の貧困化・高齢化・重症化が進むなかで起こりました。現在、国保財政への公費負担は、国と都道府県で4.6兆円ですが、これを1兆円増やせば、国保料(税)を協会けんぽ並みに引き下げることができます。
「人頭税」と同じ「均等割」「平等割」を廃止します
世帯員の数に応じてかかる「均等割」、各世帯に定額でかかる「平等割」が、国保料(税)を高くする大きな要因となっています。
とくに、子どもの数が多いほど負担が引きあがる「均等割」には、「まるで人頭税」「子育て支援に逆行している」という批判が起こり、多くの団体・関係者が見直しを要望しています。自公政権は2022年度から、就学前の子どもに限って均等割の一部を軽減する予定ですが、制度の害悪の解消には程遠いものです。
全国で「均等割」「平等割」として徴収されている保険料(税)額は、およそ1兆円です。公費1兆円の投入によって「均等割」「平等割」をなくし、国保料(税)の負担を協会けんぽ並みにしていきます。
そのうえで、「所得割」の保険料率の引き下げや、低所得世帯に重い「資産割」がかかる問題の改善などを行います。
「国保の都道府県化」を利用した保険料値上げを許しません
自民政権は2018年度から、それまで市町村ごとに分かれていた国保の財政を都道府県に集約する「国保の都道府県化」をスタートさせました。この制度改変の最大の狙いは、市町村が一般会計から国保会計に繰り入れて行っている、自治体独自の保険料(税)軽減をやめさせ、その分を住民の負担増に転嫁させることです。
そのため、2018年度から「標準保険料率」、「保険者努力支援制度」など、自治体独自の公費繰入をやりにくくする、さまざまな仕組みが導入されました。
また、政府は、「保険料の統一化」の名で公費繰入をやめていくよう自治体に圧力をかけ、都道府県が定める「国保運営方針」の目的に“繰入解消”を明記する法律改定(2021年)などの改悪も進めています。
国保が「都道府県化」されても、「地方自治の本旨」「自治体の条例制定権」を定めた憲法のもと、自治体が独自の公費繰入を続けることは可能です。日本共産党は、「国保の都道府県化」による国保料(税)引き上げに断固反対し、自治体を住民負担増・給付削減へと駆り立てる仕組みを撤廃します。国政でも地方でも、自治体独自の負担軽減の取り組みを維持・拡充するために力をつくします。
国による保険料の免除制度をつくります
現行の国保制度には、災害などで所得が激減した人の保険料(税)を“一時的・臨時的”に免除する仕組みがありますが、恒常的な低所得者を対象とする免除制度はありません。政府は、2020年度から、コロナ禍で所得が減った人に対する国保料(税)の“コロナ減免”の仕組みをつくりましたが、それも、臨時的な措置にとどまり、対象が限られることが問題となっています。
フランスなどでは、所得が一定基準を下回り、医療保険料の負担が困難とみなされる人は、保険料を免除し、国庫でその財政を補う制度が整備されています。
生活に困窮する人の国保料(税)を免除し、その費用を国庫で補う国の制度をつくります。
無慈悲な保険証の取り上げや強権的な差し押さえをやめさせます
貧困が日本社会を覆うなか、所得がなくて国保料(税)を滞納した人が、保険証を取り上げられたり、なけなしの預貯金や家財道具を差し押さえられたりする事態が広がり、大きな社会問題となっています。
失業や病気、事業の不振などで国保料(税)が払えなくなった加入者に行政が追い打ちをかけ、さらなる貧困に叩き落すようなことがあってはなりません。
保険証取り上げの制裁措置を規定した国保法第9条を改正し、保険証の取り上げをなくします。
強権的な取り立てを奨励する国の行政指導をやめさせます。
滞納者の生活自治体をよく聞いて親身に対応する相談・収納活動に転換します。
住民負担増の改悪をストップし、保険料・窓口負担の軽減をすすめます
国保料(税)の負担上限の引き上げに反対します。
子ども(小学生以上)、高齢者、障害者、ひとり親家庭などの医療費無料化(現物給付)を行う自治体に対し、国保の国庫負担を減額する、国のペナルティ(地単カット)をやめさせます。自治体独自の医療費助成に対する、あらゆるペナルティを撤廃し、住民の窓口負担を減免する自治体の取り組みを推進・応援します。
国保法第44 条の規定にもとづく、生活困窮者の窓口負担(一部負担金)の減免を積極的に推進します。
国保組合の独自給付と国庫補助を守ります
建設国保などの国保組合が行う、窓口負担の取り組みを攻撃する悪宣伝に反対し、国保組合への国庫補助を守り、拡充します。
高すぎる窓口負担を軽減し、先進国では当たり前の“窓口無料”をめざします
「現役世代=3割、高齢者=1~3割」という窓口負担に国民が悲鳴をあげ、深刻な受診抑制が起こっています。そのうえ、安倍・菅=自公政権はこの9年間に、70~74歳の窓口負担の2割への引き上げ、入院時の食費・水光熱費の負担増、高額療養費の負担上限引き上げ、75歳以上の窓口負担の2割化(対象は課税所得28~145万円、2022年10月実施予定)など、窓口負担をさらに引き上げる改悪を繰り返してきました。
日本共産党は、あらゆる窓口負担増の改悪に反対し、軽減を進めます。
2022年10月実施が予定されている、75歳以上の窓口負担の2倍化を中止させます。
子ども(就学前)の窓口負担は国の制度で無料とし、現役世代は国保も健保も2割負担に引き下げ、高齢者(70歳以上)は「現役並み所得者」(課税所得145万円以上)とされている人も含めて1割負担とするなど、窓口負担の軽減をはかります。
ヨーロッパ諸国やカナダでは、公的医療制度の窓口負担はゼロか、あっても少額の定額制です。日本も1980年代までは「健保本人は無料」「老人医療費無料制度」でした。応能負担の原則にそって保険料や税の負担を求めつつ、患者負担は低額に抑えて、重症・軽症にかかわらず必要な医療を給付するのが、公的医療制度の本来のあり方です。将来的には、安定した財源を確保し、“窓口負担ゼロ”の医療制度に前進していきます。
後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引き上げをやめ、差別制度の撤廃をめざします
後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込んで、負担増と差別医療を押しつける稀代の悪法です。2008年の制度導入以来、6回にわたる保険料値上げが実施され、高齢者の生活を圧迫する重大要因となっています。
しかも、安倍・菅=自公政権は、2008年度にこの制度がスタートした際、当時の自公政権が国民の批判をかわすために導入した保険料軽減措置(特例軽減)まで打ち切り、低所得の高齢者に保険料の大幅な引き上げを押しつけました。そのうえ、75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げる「高齢者医療費2倍化法」(対象は課税所得28~145万円の人)を可決するなど、高齢はいじめの制度改悪を繰り返しています。
日本共産党は、後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引き上げをやめさせ、差別と負担増の制度を廃止し、元の老人保健制度に戻します。減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、高齢者・国民の負担軽減を推進します。
病床削減、病院統廃合、医師数抑制で地域医療を弱らせる政策を根本的に転換し、医療提供の基盤を再生・強化します
「コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を――日本共産党の新経済提言」(9月22日発表)の「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」もご参照ください。
自公政権は長きにわたり、社会保障費抑制のため、病床削減、病院統廃合、医師数抑制を進めてきました。そのなかで、見かけの病床数は他国より多いが、医師・看護師・スタッフの配置が薄く、高度医療や専門医療に対応できる機器や設備は限られ、常にギリギリの状態を強いられる、現在の医療体制が形作られました。
そうした余裕のない医療体制の脆弱さが、コロナ危機によって明らかになったにも関わらず、自公政権は、「地域医療構想」に基づいて高度急性期・急性期病床を2025年までに20万床減らすという計画に固執し、400超の公立・公的病院を統廃合の対象としてリストアップして、病床・病院の淘汰を進めるよう自治体に圧力をかけています。今年の通常国会では、消費税増税によって得られた財源を使い、病床を削減した医療機関に補助金を出す、病床削減推進法の可決を強行しました。
日本共産党は、社会保障費削減のために、医療体制を切り縮める政策を中止させ、拡充へと切り替えます。長期にわたって壊されてきた医療と公衆衛生を立て直すため、中・長期の展望をもって戦略的に基盤を強化していく、「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」を提案します。
感染症病床、救急・救命体制への国の予算を2倍にするとともに、ICU(集中治療室)病床への支援を新設して2倍にします
感染症病床を2倍にするために、国の補助金(現行130億円)を2倍にします。
救急・救命体制への国の補助金を2倍(現行250億円)にし、救急用病床を増強します。
新しい国の補助制度(1,000億円規模)をつくり、ICU病床(HCU〈高度治療室〉を含む)を2倍にします。
地域医療構想にもとづく、高度急性期・急性期病床の削減計画、公立・公的病院の統廃合計画を中止します
医師の削減計画を中止し、「臨時増員措置」を継続します。
政府は、医師削減のために医学部定員を1982年、1997年の2回にわたって削減しました。その後、「医師不足」が大きな社会問題になり、2008年から「臨時措置」として1割程度増員しました。ところが、自公政権は、この増員分を削減したうえに、もっと削減するとしています。医師削減計画を中止し、「臨時増員措置」を継続します。
自公政権が病床削減推進法に盛り込んだ、病院の勤務医に「過労死ラインの2倍」の時間外労働をおしつける改悪を撤回し、医師の長時間・過密労働の解消をすすめます。
来年の診療報酬改定で、医師の長時間労働の是正、看護師の配置基準と労働条件の改善、新感染症に対応した診療報酬体系などを抜本的に充実させます
「医療費適正化計画」による給付削減の改悪に反対します
「医療費適正化計画」はもともと、医療給付費の総額管理(「キャップ制」導入)という財界の提言に押されて2006年に法定化された仕組みですが、安倍=自公政権による法律の改定で、2018年度から、医療給付費の「予測」ではなく「目標」が明記されることになり、都道府県には、病床再編、後発医薬品の使用促進、給付費の効率化など、「目標」の達成に向けた努力が義務づけられることになりました。「適正化計画」が定める医療給付費の「目標」と、「地域医療構想」による病床削減、「国保運営方針」による国保の財政運営を「整合」させることも、法文に明記されています。
また、自公政権は、都道府県ごとの医療給付費の額の多寡を「見える化」し、その「格差」を解消するという名目で、地域医療の「効率化」を自治体にせまり、給付費を“全国の低いレベル”に合わせていくよう指導を強めています。そのなかで、財界・財務省からは、2006年の法改定で導入した、都道府県の判断で診療報酬を「1点=9円」などにしていく仕組み(地方別診療報酬)の発動が叫ばれだしています。住民の命と福祉を守る自治体を、医療切り捨ての先兵に使うなど許されません。
日本共産党は、「医療費適正化計画」による強権的な給費削減の推進に反対し、都道府県・市町村を医療切り捨てに動員する仕組みの撤廃をめざします。
混合診療の拡大、医療の営利産業化を許しません
安倍・菅=自公政権はこの間、「混合診療」解禁の“水路”となる「患者申出療養制度」を導入するなど、医療の市場化・産業化に向けた制度改悪を推進してきました。
日本共産党は、保険外治療の拡大、「混合診療」解禁にむけた、あらゆる策動を許さず、「必要な治療はすべて保険で給付する」「安全・有効な治療法は速やかに保険適用する」という原則にそって保険治療の拡充を進めます。差額ベッド料などの自費負担をなくし、安全で質の高い治療を保険で受けられるようにします。
社会保障と相容れない経営原理の持ち込みや、株式会社による医療経営解禁を許さず、非営利原則を守ります。
医薬品の対面販売の原則など、患者の安全を守る規制の撤廃に反対します。
協会けんぽの改悪に反対し、中小企業の労働者の医療を守ります
協会けんぽへの国庫補助を緊急に法定上限の「20%」に引き上げ、協会けんぽの財政再建、労働者・中小企業の負担軽減にむけた、国の支援を強化します。自公政権によって導入された、保険料引き上げや給付費抑制の仕組みを撤廃し、中小企業の労働者・家族に国の責任で医療を給付するという、旧政管健保の本来の目的・役割をまもる立場から、制度の改革をすすめます。
協会けんぽの財政を根本的に立て直すためにも、中小企業支援と一体の最低賃金の引き上げ、大企業と中小企業の公正な取引ルールの確立、国の中小企業振興策の抜本的拡充など、経済改革を推進します。
健診をゆがめる制度改悪に反対し、改善・充実をはかります
40〜74歳の国民に「特定健診」を受けさせ、メタボリック症候群の有無を判定する仕組みが導入されて10年以上がたちますが、「メタボ対策」への特化による検診項目の偏りや、旧制度になかった自己負担の徴収など、さまざまな問題が発生しています。さらに、政府はこの間、各人の健診結果と受診履歴をマイナンバーによって“紐づけ”し、“健康づくり”の強要や保険者へのペナルティをいっそう強化する計画を推進しています。
自公政権の「医療の産業化」政策のもと、健診事業に健康機器業界やフィットネス産業が参入し、保険財政が食いものになることへの懸念も広がっています。
日本共産党は、「自己責任」の名で健診をゆがめ、国民の健康保持に対する国・自治体の責任を後退させる改悪に反対します。病気の予防・早期発見という本来の主旨にたって健診の改善・充実をはかります。
医科でも歯科でも、国民に安全・安心の医療を保障するために
異常な高薬価構造にメスを入れます
日本の医療費総額に占める薬剤費の比率は3割を超え、イギリス・フランスの約2倍、ドイツの1・3倍など、国際的にも突出した高水準となっています。
こうした異常な高薬価がまかり通る最大の要因は、新薬価格の高騰と先発品薬価の高止まり、それを容認・促進する薬価制度(仕切価格制、新薬創出等加算など)にあるというのが医療団体の指摘です。新薬価格の算定原案を作成する、厚労省の「薬価算定組織」の議論がすべて非公開とされるなど、薬価の算定過程が国民の目から隠されていることも黙過できません。不透明なルールによる高薬価の問題は、いまや医療保険財政を圧迫する重大要因となり、その是正は避けられない課題となっています。
ところが、自公政権はこの間、「成長戦略」の一環として「創薬イノベーションの推進」をかかげ、新薬開発へのさらなる優遇を進めてきました。そうしたなか、「画期的新薬等の迅速な実用化を図る」として政府が導入した「先駆け審査指定制度」による脊髄損傷治療薬「ステラミック注」の承認について、国際的な科学雑誌『ネイチャー』が“日本では、従来の手続きと違うやり方で、有効性のない医薬品が承認されている”と批判記事を出す事態も起こっています。
日本共産党は、不合理・不透明な薬価制度やその根底にある政官業の癒着構造にメスを入れ、薬価構造を根本的に見直します。新薬価格を2割引き下げるだけでも、1兆円の財源が出てきます。高薬価の是正によって得られた財源を、医療の充実や患者の負担の軽減に振り向けます。
高額療養費制度を改善します
低所得者や、治療が長期間にわたる患者の過重な医療費負担を軽減するため、応能負担の原則にたった、高額療養費制度の改善を進めます。
高額療養費制度の所得区分をふやし、負担限度額の上限を、現役世代も高齢者も、通院も入院も大幅に引き下げます。重い病気の患者ほど患者負担が自動的に高くなる、「1%」の定率部分をなくします。
限度額の設定を“月ごと”から“治療ごと”にあらため、「治療が月をまたぐと高額療養費が適用されない」という矛盾を解決します。
世帯の所得区分ごとに年間をつうじた負担上限額を設け、「同一世帯でも、保険がちがうと医療費を合算できない」問題などについても解決をはかります。
現行では3疾患(血友病、HIV、人工透析の腎臓病)に限られている「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」を拡大し、療養が長期にわたる場合に対応した「長期療養費給付制度(仮称)」を創設します。
対象が限定され、当事者が申請しないと適用されない、高額医療・介護合算制度を抜本に見直します。
無料低額診療への支援をすすめます
無料低額診療への支援を強めます。現在、無料低額診療では、院外処方による薬局調剤が制度の適用とならず、患者が自己負担を強いられる問題が起こっています。薬剤費への制度適用をすすめ、この問題を解決します。
子どもの医療費無料化を推進します
小学校就学前の子どもの医療費を、所得制限なしで無料化する、国の制度をつくります。その共通の土台の上に自治体の助成制度を加え、小・中・高校生への無料化を推進します。
子どもや障害者・児への医療費無料化(現物給付)を実施する自治体に、国保の国庫負担削減のペナルティを科す「地単カット」の全面撤廃を進めます。小学生以上の子ども、障害者・児、ひとり親家庭、妊産婦、生活困窮者、高齢者など、住民の医療費負担軽減に向けた自治体の努力を推進・応援します。
障害者の医療費無料化を国の制度で
重度心身障害者(児)医療費助成制度を、国の制度として確立します。身体障害者手帳のない難病・長期慢性疾患をふくむすべての障害者を対象にします。
自治体が行う障害者・児の医療費無料化(現物給付)の取り組みに対する国保の国庫負担削減のペナルティ(地単カット)を撤廃し、自治体の努力を推進・応援します。
診療報酬の改革を進めます
診療報酬は、国民に平等に医療を保障するための大事な仕組みです。ところが、歴代政権は、医療にかかる国の予算を減らすために、診療報酬の仕組みをゆがめ、「医療費削減」の道具にしてきました。
現行の診療報酬は、医療従事者の労働を不当に低く評価しており、そのことが、中小病院の経営難や、医療従事者の労働条件悪化の大きな原因となっています。急性期患者の強引な退院を誘導する報酬改定、高齢者・長期入院の“追い出し”を促進する報酬削減、長期リハビリに対する保険給付の制限など、医療給付費の削減をねらった報酬操作が、医療現場の矛盾を拡大し、医療従事者と患者の両方を苦しめています。
日本共産党は、医科でも歯科でも診療報酬の抜本的な増額を求めるとともに、「国民皆保険」をまもり、拡充する立場で診療報酬の改革に取り組みます。
“安上がり医療”を狙った「包括払い(定額制)」の導入・拡大に反対し、「出来高払い」による給付をまもります。薬・医療機器に偏った報酬評価のあり方を見直し、医療従事者の労働を適正に評価する診療報酬に改革します。
基本診療料である初・再診料、入院基本料を適正に評価し、引き上げます。
高齢者や長期入院患者の給付費削減をねらった差別的な診療報酬を廃止します。
標準算定日数を超えたリハビリを「保険外併用療養」とする制限をやめ、制度の再構築を進めます。
政府は、難病患者や肢体不自由者を「平均入院日数」の計算から除外する「特定除外制度」を廃止し、脳卒中や認知症の患者を受け入れる「特殊疾患病棟」「障害者施設」の報酬を引き下げるなど、重症患者を狙い撃ちにした“追い出し”を進めてきました。こうしたやり方を是正し、難病患者、障害者、長期の治療が必要な重症患者が、安心して療養に専念できる報酬・体制をととのえます。
人工透析の「夜間・休日加算」の引き下げで、外来の夜間透析が受けにくくなり、患者の困難が続いています。患者負担の軽減をすすめながら、適切な報酬へ引き上げを図ります。
入院中の患者が他の医療機関で受診した場合に、患者・医療機関の双方に困難をもたらす、▽入院医療機関への報酬削減、▽他医療機関の報酬算定範囲の制限、▽包括払い病床の患者に対する投薬規制などの不合理な仕組みを改めます。
出産一時金の引き上げと改善を行います
出産に要する費用は、年々高騰しています。それに見合うように、出産一時金の金額を、大幅に引き上げます。
歯科医療の充実、国民の口腔の健康づくりを進めます
国民の口腔の健康を守り、「保険でよい歯科治療」を実現するために、歯科の診療報酬の抜本的な増額と改革、歯科医療の充実にむけた支援を進めます。
コロナ禍で経営が悪化している歯科医療機関、歯科技工所などへの減収補填と財政支援を行います。
歯科の初・再診料の水準を抜本的に引き上げ、医科・歯科間格差を是正します。
歯周病の治療・管理や義歯に関わる包括的・成功報酬型の診療報酬を撤廃し、治療行為を適正に評価する報酬に改定します。画一的な文書提供業務の押しつけをやめさせます。
国民の歯科医療への需要の高まりや、治療技術の進歩に対応し、保険治療の大幅な拡大と保険外治療の解消をはかります。金属床の部分入れ歯など、実績もあり、広く用いられている治療法を、長らく自費負担にとどめるなどの施策を改め、安全・有効で実績のある治療法は保険給付の対象としていきます。現在、保険で給付されている補綴物の保険給付外しに反対し、「混合診療」となっている欠損・補綴の保険移行をすすめます。
歯科衛生士の役割を、適正に評価する診療報酬にあらためます。
歯科技工士が安心して仕事を継続でき、歯科医と連携して「よい入れ歯」を保険で給付できるよう、歯科技工物にたいする診療報酬の改善をすすめます。海外技工物の輸入・使用・安全性の実態を調査し、材料・製作者・技工所などの基準を設けて規制を行います。
金銀パラジウム合金の価格が高騰し、保険償還価格を上回る「逆ザヤ」によって、歯科医療機関が赤字を被っている問題を解消するため、金パラ合金に関わる診療報酬の抜本的な見直しを行います。
歯科健診の充実など、国民の口腔の健康をまもる取り組みを国の責任で推進します。
感染症の発生・拡大・重症化を防止する施策を国の責任で推進します
1、コロナ対策・感染症をご参照ください。
医療の安全、患者の権利の確立
日本共産党は、医療事故の検証と再発防止に取り組む第三者機関の設置を早くから提案してきました。2014年の法改定で医療事故調査の「第三者機関」が設置されたことは一歩前進ですが、▽公費負担の確保、▽遺族の費用負担の問題、▽医療機関が事故を認めなかった場合に遺族から調査請求できるようにすること――など、さまざまな課題が残されています。真に実効ある制度となるよう問題提起や改善をすすめていきます。
分娩時の事故で子どもが脳性まひとなった場合に補償をおこなう「産科医療補償制度」について、現行制度の抜本的見直しをすすめつつ、諸外国のような幅広い医療事故に対応できる無過失補償制度の創設をめざします。
患者の権利を明記し、医療行政全般に患者の声を反映する仕組みをつくる「医療基本法」の制定をすすめます。
医療内容のすべてを反映せず、患者のための情報開示というニーズを満たさない一方で、医療現場に負担をしいるだけとなっている、現行の「診療明細書の発行」を見直し、患者に医療の内容をわかりやすく知らせる、情報開示の仕組みを整備します。
がん対策の推進
日本国民の死因の第1位である、がんの予防・治療には、国が総合的な対策をすすめることが必要です。ところが、自公政権は、窓口負担の引き上げや、国保料(税)滞納者からの保険証とりあげ、がん検診にたいする国庫補助の廃止など、がんの早期治療に逆行する施策をとりつづけてきました。がんの治療・予防の地域格差も深刻な問題となっています。
がん対策基本法の主旨にのっとり、どこにいても必要な治療・検査を受けられる、医療体制の整備が必要です。国の責任で、専門医の配置や専門医療機関の設置をすすめ、所得や地域にかかわらず高度な治療・検査が受けられる体制を確立します。未承認抗がん剤の治験の迅速化とすみやかな保険適用、研究予算の抜本増、専門医の育成、がん検診への国の支援の復活など、総合的がん対策を推進します。
「高額療養費の支給特例」の改善・拡充、公費助成の導入など、長期治療が必要ながん患者に、自己負担の心配なく給付を保障する公的制度の確立を急ぎます。
薬害・肝炎対策をすすめます
薬害(肝炎、MMRなど)の解決と被害者救済に全力をあげます。
血液製剤による薬害C型肝炎について、現行の救済法(2008年成立、2012年改正)で指摘されている、▽カルテのない被害者の救済が困難、▽対象となる血液製剤が限定される、▽先天性疾患の治療や“血液製剤以外の経路で感染した被害者”は救済対象から外される――などの問題点の改善をすすめます。すべての被害者の一律救済を図り、製薬企業に謝罪・補償・再発防止を行わせるなど、全面解決にむけた努力を続けます。
注射針の使いまわしなどによる薬害B型肝炎についても、2011年の「基本合意」と特別措置法の成立、2016年の法改正を経て、国の責任追及や給付金支給などが図られていますが、救済のスピードアップや被害者の“線引き”の解消が、引き続き急務となっています。国の体制整備の遅れを打開し、全被害者の救済をすすめるとともに、差別・偏見解消の取り組みなど、全面解決にむけた努力を行います。
薬害肝炎原告・弁護団と国が結んだ「基本合意」、薬害肝炎検証委員会の『最終提言』にもとづき、薬害防止を目的に医薬品行政を監視する第三者機関の早期設置を求めます。
350万人とも言われるウィルス性肝炎患者の治療推進と生活支援にむけ、肝炎対策基本法のさらなる充実、ウィルス性肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成制度の早急な創設を求めます。C型肝炎に対する肝がん予防を目的としたインターフェロン投与や、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤の使用などの有効性をすみやかに確認し、必要な検査・治療は迅速に医療費補助の対象としていきます。
ウィルス性肝炎を「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」の対象に追加し、患者負担を軽減します。「肝炎ウィルス無料検査」の拡充、「肝疾患診療連携拠点病院」の整備、「肝炎情報センター」の機能拡充など、陽性患者の早期発見と治療に向けたフォローアップの施策を推進し、情報提供、研究体制の充実をはかります。
医療機関への消費税ゼロ税率適用、事業税非課税・租特法26条の存続
保険診療などの医療費は消費税非課税とされていますが、病院や診療所が購入する医薬品・医療機器などには消費税が課税されています。これによって医療費の負担も増え、医療機関の経営も圧迫されています。保険診療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税が還付されるようにします。
社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置を継続します。租税特別措置法第26条等に規定された、医療機関の概算控除の特例を存続させます。
救急医療の拡充
救急医療の現場では、恒常的な体制逼迫のもと、出動件数の急増に隊員数の増加が追いつかず、患者の命が脅かされる状況が続いてきました。そうしたなかでコロナ危機が襲来し、コロナ患者の救命が間に合わず、通常医療の患者も犠牲になる事態につながりました。
日本共産党は、「医療・公衆衛生 再生・強化プログラム」に基づき、救急・救命体制への国の補助金を2倍(現行250億円)にし、救急用病床を増強します。
新しい国の補助制度(1000億円規模)をつくり、ICU病床(HCU〈高度治療室〉を含む)を2倍にします。
そうした病床体制の強化とともに、救急隊員の抜本増、ドクターヘリの充実、地域医療の再生とあわせた救急・搬送体制の整備・拡充を進めます。国の責任で小児救急体制を整備し、新生児特定集中治療室(NICU)を増やします。
救急車の有料化、通報段階で患者の「緊急性」を選別して切り捨てる「トリアージ」導入など、救急医療の改悪に反対します。
助産師・助産院への公的支援
助産師・助産院の役割はますます重要となっています。
みんなが安心してお産のできる環境を確立し、助産院ならではの、喜びと満足のある質の高いお産を普及・発展させるため、助産師の養成数を増やし、助産院に対する公的支援をすすめます。助産院を地域の周産期医療ネットワークに位置づけ、「院内助産所」の設置をすすめるなど、助産師と産科医の連携を国の責任で推進します。
はり・きゅうの保険適用の改善を求めます
戦後、歴代の厚生行政は、「はり・きゅう」を「非科学的な療法」とする見解をとり続け、「はり・きゅう」の保険適用について、①「現物給付」でなく「療養費払い」とする、②「はり・きゅう」の保険適用に医師の同意書を必要とする、③保険適用の対象疾患等を限定する、④診療報酬の技術料もきわめて低く抑える――など、一般医療とは異なる、さまざまな制限を加えてきました。
日本共産党は、このように「はり・きゅう」を「健康保険制度と別建て」に扱うやり方は、患者の願いにも反していると主張し、鍼灸師や視覚障害者の団体とも共同しながら保険適用の改善を政府に要求してきました。長年の運動がみのり、「はり・きゅう」の受領委任払いが2019年1月から始まりましたが、施術者・患者からは、いまだ多く残る制限の撤廃を求める声が出ています。
「はり・きゅう」については、国際医学会やWHOでも医療上のエビデンスが広く認められており、保険適用を妨げることの不合理は明らかです。
「同意書」のあり方や対象疾病の範囲を再検討し、診療技術料の引き上げなど、「はり・きゅう」の保険適用の改善・拡充を求めます。
在宅医療・介護における駐車問題の解決
在宅医療、訪問看護、訪問介護の分野では、一定時間の駐車が避けられませんが、その仕事に従事している人たちは、駐車禁止で取締りを受けることに不安を感じながら仕事をしなければならないのが実態です。 駐車許可を得るには煩雑な手続きが必要で、実態に合わない基準が業務の障害となっています。そうした現状を改め、柔軟で実態におうじた道交法上の配慮がなされるよう求めます。