いま「赤旗」がおもしろい
今年3月に本紙が報じた「米の核削減日本が反対」「『沖縄に核』日本容認」の両記事が、「朝日」の森友文書改ざん報道などとともに、今年度のJCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞しました。日曜版のスクープでヤマト運輸が引っ越し代金を過大請求していたことを認めるなど、いま「赤旗」が注目を集めています。その読みどころは―。
目次
- 異常国会―共闘の力 詳しく報道
- アマゾン法人税逃れ―追跡「スゴイ」反響多数
- 朝鮮半島―「平和の激動」を追って
- カジノ―つくらせない先頭に
- 「働き方改革」―「裁量労働制」削除させた
- 「地方政治がわかる」―各地の動きを生き生きと
- ジェンダー・性・人権―誰もが生きやすい社会に
- 安倍暴走批判・核廃絶...―多彩な文化人が良識の声
- 友情育み、平和に貢献―スポーツの心伝わる紙面
異常国会―共闘の力 詳しく報道
(写真)野党が結束した国会のたたかいを報じた「しんぶん赤旗」(7月19日付と21日付)
半年間に及んだ通常国会は、改ざん、隠ぺい、虚偽答弁のうえに安倍政権が豪雨災害での人命よりカジノ解禁法を優先し、党利党略の参院選挙制度改定も「数の暴力」で成立させるという、歴史上かつてない異常国会となりました。
「赤旗」は、野党の結束した国会共闘と日本共産党の論戦を通じて、安倍政権こそが追い詰められ展望がないことを報じました。読者からは「『赤旗』と一般紙を読み比べている。真実性がはっきりわかり気分がいい」(岐阜県の男性)との声も。
今国会で118回にも及んだ野党合同ヒアリングや安倍政権打倒を掲げた野党合同院内集会、「原発ゼロ基本法案」など20本に及んだ野党共同提出法案をどのメディアよりも詳しく報道するなど、「安倍政治をやめさせたい」と願う人たちにとって「赤旗」は最適。ある野党幹部は「『赤旗』というメディアをもっている共産党はうらやましい」と言います。
森友・加計疑惑では日本共産党に多くの内部告発が寄せられ、「赤旗」でも報道。森友疑惑で財務・国土交通両省局長が行っていた「口裏合わせ」を示す内部文書では立憲民主党議員が、「『赤旗』が報じたこの内容は事実か」と質問でとりあげる場面もありました。
沖縄での相次ぐ米軍機事故で「それで何人死んだんだ!」と1月の衆院本会議で暴言ヤジを飛ばし辞任に追い込まれた松本文明前内閣府副大臣。暴言ヤジを真っ先に報じたのは「赤旗」でした。(2018年7月26日掲載)
アマゾン法人税逃れ―追跡「スゴイ」反響多数
(写真)アマゾンの税逃れを報じた「しんぶん赤旗」(5月14日付)
経済部は国境を越えて課税や規制を逃れる多国籍企業の行動を取材しています。5月14日付1面ではインターネット通販大手アマゾンが法人税を逃れている実態を報じました。
「『赤旗』がアマゾンの税逃れを追跡。スゴイのはアメリカの本社にまで質問する姿勢」
「日本企業が日本国内で不利になるのはおかしい」
記事はネット上で拡散され、多くの反響と議論を呼びました。
弁護士検索・法律相談サイトの「弁護士ドットコム」は自社の記事(6月10日付)で「『しんぶん赤旗』が伝えた」アマゾンの税逃れを報道。「法人税が『楽天の30分の1』」「多くの利益が米国に流れる仕組み」と詳細に解説しました。「日本であげた利益に対して課税されないというのは、国民感情からしても、許されないでしょう」という税理士のコメントを紹介しました。
経済面のコラム「こちら経済部」(6月30日付)では、知らぬ間にアマゾンの有料プライム会員に登録させられ、会費を引き落とされた記者の経験を伝えました。「私も経験がある」との読者の声が数多く寄せられ、さらに取材を進めています。
今後、経済の新局面をえぐる「現代資本主義の病巣」連載をスタートさせる計画です。(2018年7月26日掲載)
朝鮮半島―「平和の激動」を追って
(写真)南北・米朝首脳会談の反響や合意文書の内容を伝える連載
1年前までは北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返し、米国が軍事的威嚇を強める中、戦争の勃発も心配されていた朝鮮半島で、平和の大激動が起きています。対立から対話への大転換が起きる画期となったのが南北・米朝の首脳会談でした。
外信部は、これらの首脳会談について「具体性に乏しい」などと懐疑的に見る一般メディアが多い中で、日本を含む関係国が戦争の脅威から抜け出す扉が開かれたという画期的な意義を伝えるために努力してきました。
4月の南北首脳会談、6月の米朝首脳会談に取材記者を派遣。会談の詳細を生きいきと伝えるとともに、「平和、新たな始まり/南北『板門店』会談」、「6・12米朝会談/始動する平和のプロセス」の連載を行いました。
合意文書の内容やその意義を明らかにした連載は「希望の光が見える記事」、「シニカル(冷笑的)な報道が少なくない中で歴史的な平和への歩みを促進する報道の『赤旗』にホッとさせられます」などの反響を呼びました。
本日から1面で朝鮮戦争停戦協定締結から65年の連載を開始しました。同じ民族でありながら、戦争と分断に苦しめられてきた人々の思い、朝鮮半島の激動の土台となっている平和への強い願いを伝えます。(2018年7月27日掲載)
カジノ―つくらせない先頭に
(写真)カジノ解禁の背景に米カジノ企業の存在があることを指摘した「赤旗」の記事
違法な民間賭博・カジノを解禁するカジノ実施法とのたたかいで「しんぶん赤旗」は一貫して反対の世論をリードしてきました。
「カジノ強行 これぞ売国」(17日付1、3面)では、カジノ推進派議員への米カジノ企業側からの資金提供に光をあて、日本進出をねらう海外カジノ企業の野望を告発。野党がいっせいに「売国法案」という批判を開始するなど、同法案の本質に迫る報道が威力を発揮しました。
「借金させ のめり込ます」(5月25日付)では、カジノ事業者が客に賭博資金を貸し付ける制度の危険性をいち早く指摘。一般紙も社説でこの問題を次々取り上げる状況が生まれました。
安倍晋三首相は「世界最高水準のカジノ規制」という“お題目”を繰り返しましたが、「赤旗」はそれが穴だらけで、ギャンブル依存症対策の実効性が無いことを徹底批判。「政府の案ではすでに依存症」「何が世界最高か」という声が広がりました。
カジノの違法性阻却(そきゃく=取り外す)、カジノ面積規制、カジノ管理委員会の独立性など、根源的な問題提起を続け、国会論戦をリードしました。
今後も「日本のどこにもカジノはつくらせない」たたかいの先頭に立ちます。(2018年7月27日掲載)
「働き方改革」―「裁量労働制」削除させた
(写真)裁量労働制の対象拡大が削除されることを報じる「しんぶん赤旗」(3月2日付)
「しんぶん赤旗」は、通常国会に出された「働き方改革」一括法を阻止するキャンペーンを張り、市民と野党の共闘と一緒になって安倍政権を追い詰め、財界が一番強く求めていた裁量労働制の対象拡大を法案から削除させました。
労働時間規制を撤廃する「高度プロフェッショナル制度」について多くのマスコミが「残業代ゼロ制度」と呼ばなくなるなかで、「赤旗」は「残業代ゼロ制度」と呼んで、過労死を促進する危険性を告発。読者から「テレビをみても分からない問題点がよく分かった」「政府の答弁はデタラメですね」などの声が寄せられました。
一括法成立後も省令や指針策定の動きを伝え、廃止めざすたたかいを励ましています。
広島と長崎への原爆投下から73年。「赤旗」は、被爆の実態がまだ広く知られていなかったころから、被爆の実相を告発し、核兵器廃絶を求める運動を伝え励ましてきました。
今年も被爆者の生々しい証言や核兵器廃絶めざす運動を連日のように伝えています。
8月2日から広島・長崎で開かれる原水爆禁止世界大会を詳しく報じるのは「赤旗」だけです。核兵器禁止条約採択から1年がたち、朝鮮半島の非核化をめぐる情勢変化のもとで、「核兵器のない世界」をめざす諸国政府と被爆者・市民社会の熱心な議論や広がる共同を紹介します。(2018年7月28日掲載)
「地方政治がわかる」―各地の動きを生き生きと
(写真)5月20日付「地方特集」面
4月から日曜日付の地方版が「地方政治がわかる」をテーマに、地方総合見開き(2ページ)に変わりました。地方政治の動きや各地で起きている出来事、住民運動がわかる企画やニュースを掲載しています。木曜日付の「地域発」(1ページ)と合わせて好評です。
来春の県議選に向けて、前回で日本共産党が議席を回復した7県を取り上げ、議会に新風を巻き起こしている共産党議席の値打ちをリポートしました。
JR北海道の路線廃止やJR九州の駅無人化の特集、リニア中央新幹線計画で沿線各地の住民の不安や怒りの声を紹介。「陸上イージス」(陸上配備型迎撃ミサイルシステム)配備計画候補地の秋田・山口両県の反対運動、オスプレイなど米軍機の低空飛行、各地のカジノ反対運動、「大阪都」構想、国民健康保険問題など、各地で広がる住民運動を取り上げてきました。
読者から「JR九州大減便の影響」の記事には「通学生や住民のことを考えない経営のあり方、減便に合わせた運行区間の短縮がどれだけ利用者の生活に無理を強い、生活を壊すのか、ひどすぎる」(横浜市の女性)などの反響が。「列島各地から」には「私のところでも同じ問題で困っている。交流したい」などの声も寄せられています。(2018年7月28日掲載)
ジェンダー・性・人権―誰もが生きやすい社会に
(写真)ジェンダーや性、人権などを考え合う「くらし・家庭」面の連載・シリーズ企画
一人ひとりが生きやすい、大切にされる社会にしたい―。「くらし・家庭」面は、くらしの中で直面するジェンダーや性、人権などのテーマを深く考える企画を進めています。
その一つが、今月から始まったリレーエッセー「くらしのなかのジェンダー」(第4月曜掲載)です。
1回目は、NPО法人しあわせなみだ代表・中野宏美さんが、性暴力をなくすために必要なことをつづりました。さっそく男性読者から「相談窓口を知りたい」と電話が。「しあわせなみだのスタッフの半数以上が男性だということで、問い合わせがきたのでは?」と担当者。「女性の問題」とされがちだった性暴力が「あらゆる人々の問題」と捉え直される時代の進歩もある中、引き続きジェンダーと人権を考えます。
7月から8月にかけては"金曜大型連載"で「世界と日本の性教育」を掲載。政府自ら制度として性教育を進める各国の事例を、ていねいに解説。長野の72歳の男性から「小中学生時代、自分はこういう教育を受けてこなかった」と励ましの手紙をいただきました。
5月からはシリーズ「性と健康」をスタート。「望まぬ妊娠避ける 緊急避妊とは?」「不妊治療 職場の理解を」など学びを応援します。(2018年7月29日掲載)
安倍暴走批判・核廃絶...―多彩な文化人が良識の声
(写真)多彩な文化人の声を届ける「しんぶん赤旗」(7月2日付、22付)
「日本共産党は党の名前も新聞の名前も愚直なほど頑固に変えなかったのは偉いと思います。...多くの人の目が向けばうれしい」。作家の赤川次郎さんはインタビューに登場しそう語りました。(2日付)
安倍晋三首相の学生時代の教員の一人、加藤節・成蹊大学名誉教授は「安倍氏は本当に歴史を知らない」「憲法も伝統的な憲法解釈も無視する」と断じ、権力の暴走には「国民の多数が声を上げて『不法な権力』を乗り越えていく方法しかない」と野党にエールを送りました。(3日付)
「しんぶん赤旗」は多彩な文化人の良識の声を届けています。
22日付では、「被爆者の声をうけつぐ映画祭」で、核兵器禁止条約に参加しようとしない日本政府は「悲しい」とのべた吉永小百合さんの発言を詳しく報じています。
「学問はおもしろい」シリーズでは、自然科学から人文・社会学まで多様な分野の研究者が登場。最先端の研究を語っています。『おらおらでひとりいぐも』で芥川賞を受賞した若竹千佐子さん、漫画家の東海林さだおさん、映画「焼肉ドラゴン」が評判の監督・劇作家鄭義信さん、歌舞伎の片岡愛之助さんなども登場、思いを語っています。(2018年7月30日掲載)
友情育み、平和に貢献―スポーツの心伝わる紙面
(写真)サッカーのW杯ロシア大会を報じる「しんぶん赤旗」紙面
7月、フランスの優勝でその幕を閉じたサッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会。記者を現地に派遣し報道しました。
監督交代で苦労を重ね、ベスト16入りした日本代表のたたかいやチームづくり、トップ選手の素晴らしいプレー、友情や人間性あふれる姿を記事にしました。社会面では「W杯の街から」でロシアの人々の「いま」も報じました。
読者からは「選手をリスペクトする姿勢にあふれている」「スポーツの本質に迫る素晴らしい記事」「不正、不道徳を許さない論評に感服した」「ロシアのことがよく伝わってくる」などの声が寄せられました。
話題となったのは日本―ポーランド戦での「最後の10分間のボール回し」。その是非が世間を二分したように、本紙にも賛否の声が寄せられました。「赤旗」は全力プレーを貫く大切さを軸に評論しつつ、そのあり方をともに考えていくことを呼びかけました。
フェアプレーのありようを考え、豊かにすることは、日本のスポーツ文化の発展につながると考えるからです。
スポーツは友情を育み、平和に貢献する力があります。その根幹であるフェアプレーは公平、公正、正義の大切さを人々の心に広げます。その"スポーツの心"や息吹が伝わる紙面づくりにこれからも努力していきます。(2018年7月30日掲載)