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創刊91年「赤旗」を語る

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むしろ世界の良識なんだね

二見伸明さん.JPG元公明党副委員長・元運輸大臣
二見  伸明さん

 私もかつて公明新聞の編集(政治部長)をやっていたので分かるが、政党機関紙が政党の理念や政策を宣伝するのは当たり前。それが一般紙・商業紙と違うところだね。「しんぶん赤旗」を通して私たちは、共産党が今、何を考えているかを知ることができる。しかも分かりやすく。
 特筆すべきは、内容も実に豊富で読み応えがあることだ。

思わず「ギャー」

 この間の記事で圧巻だったのは、クリントン政権で国防長官を務めたウィリアム・ぺリーさんへのインタビュー。これには驚いた。思わず「ギャーッ」と声をあげてしまった。
 ペリーさんは北朝鮮の核開発疑惑で、米国を代表してじかに交渉した人だね。その人が、北朝鮮問題はあくまで外交=話し合いで解決をといい、武力行使に否定的だった。〝あれ、いってることが共産党とあまり変わらない〟と思ったね。逆にいうと、共産党の主張は独りよがりでも何でもない、むしろ世界の常識・良識なんだね。
 「赤旗」の特派員が現地で直接取材したんだね。本当にびっくりしたよ。
 野党共闘を進めるためにも「赤旗」は欠かせない。そのことを如実に示したのが沖縄県知事選だよ。全国紙は簡単な記事しか載せない。沖縄の実情を連日、何ページにもわたって詳しく報じたのは「赤旗」だけだった。
 玉城デニー君の記事を書き続けた。私は毎朝、「赤旗」を読んで〝沖縄の今〟を理解したよ。沖縄にいる友達に電話すると、「『赤旗』に書いてある通りです」が返事だった。
 「赤旗」が正確な情報を提供してくれた。これが市民と野党の共闘のベースになるんだね。「赤旗」を見てると、共闘する他党の候補についても、おざなりじゃない本気の記事を書いている。

他党にない重み

 創刊91年。戦争中も弾圧をくぐりながら非合法で発行し続けた。これは大変な宝だと思う。重みが違う、他の政党にはないことだよ。
 だからこそ、「徴用工」の問題でも、植民地支配の本質と被害者救済の立場ではっきりものがいえる。政府もメディアも、過去の歴史と真正面から向き合うことができないから韓国非難一色。偏狭なナショナリズムはいかんともしがたい。
 「赤旗」はおもしろい。政治に多少なりとも不満や不安がある人が読んだら、きっとスッキリするよ。日産の連載(「資本主義の病巣」1月26日まで7回連載)なんて、一般紙は書けない。ぼくは朝日、読売、毎日と「赤旗」を購読しているが、一般紙だけだと知識・情報が中途半端で全体像が分からない。「赤旗」で初めて情報が完結する感じだね。
 聞き手・写真 青野圭
(2019年1月30日)


「生の声」届け続ける報道

白神優理子弁護士.JPG弁護士
白神  優理子(しらが ゆりこ)さん

 91周年おめでとうございます!
 「しんぶん赤旗」の魅力は何よりも、今を生きる国民一人一人の立場・目線に立った報道に徹していることです。

権力監視し批判

 2015年から「赤旗」日曜版で「メディアをよむ」の連載を担当させていただき、他紙の報道評論をしてからますます「赤旗」への信頼と尊敬が強まりました。
 平和の問題でも、労働の問題でも、貧困・生活の問題でも、「赤旗」からはどの新聞よりも「生の声」が聞こえてきます。民主主義を否定された沖縄の人々の怒りの声、不安定な雇用や過労死ラインを超える働き方で仕事の情熱ややりがいを奪われる労働者の悔しさ、貧困によって追い詰められる生活者の悲鳴の声。
 「赤旗」を読むことで問題の「本当の姿」がみえてきます。
 最近では、私が弁護士として担当している、バス運転士の過労自死について記事にしていただきました。遺族である妻の苦しみと、同じことを繰り返させたくないという決意が込められた「生の声」を届けてもらいました。
 そして「赤旗」の魅力は、平和と人権・民主主義という日本国憲法の角度から、徹底して権力を監視し、どの新聞よりも鋭く批判していることです。
 日本の侵略戦争の過ちへの反省を投げ捨てた権力者の言動、韓国の徴用工判決への無反省・不誠実な政治家の発言、大企業のもうけのために働くルールを破壊する「働き方改革」の問題など、他紙が「忖度」や「萎縮」をするテーマについても平和と権利=憲法の立場を譲らずおそれずに真実を伝えてくれます。

歴史つくる実感

 私は学生時代には毎日、複数の新聞社の社説・主張を切り抜きしてノートに貼り、その隣に内容の要約をまとめていました。国民の立場で事実に基づき徹底して論理を展開する「赤旗」の記事には大変鍛えられました。最後は「赤旗」の記事のみノートに貼るようになり、司法試験などの文章力が求められる場にもとても生きました。
 企業・団体から献金を受け取らない日本共産党が発行し、大企業からの広告料を受け取らず、読者一人一人が支えて作られている自前の新聞だからこそ「真のジャーナリズム」の魅力を発揮できるのだと思います。
 最後に、「赤旗」は「希望」を語ってくれます。署名やデモなど主権者として行動したことが、悪法を阻み、求められる政策を実現したことを、喜びと共に届けてくれます。「私たちが歴史をつくっている」という実感が湧きます。
 傍観者・評論家ではなくプレーヤーの目線で、「一緒にプレーヤーになろう」と常に呼びかけてくれる存在。そして「変えられる」「希望がある」と励ましてくれる頼もしい存在。もっともっと多くの人に読んでもらいたいです。
 (寄稿)
(2019年1月31日)


「この新聞がなかったら…」

新妻義輔さん.JPG元朝日新聞大阪本社編集局長
新妻  義輔さん

 「この新聞がなかったら…」との感を深くしました。韓国・徴用工判決です。
 韓国大法院(最高裁)が2018年10月30日、新日鉄住金の上告を棄却して元徴用工への損害賠償を命ずる判決を確定させました。戦時中に植民地としていた朝鮮半島から日本に連れてこられ、軍需工場や炭鉱などで強制的に働かされた人たちです。まさに植民地支配下で人権侵害を受けた元徴用工を救済する歴史的、画期的な判決です。しかし始まったのは、原告への慰労の言葉や人権侵害に対する反省ではなく、日本の政府やマスメディアによる総がかりの韓国非難の大合唱でした。

多くが政権寄り

 判決に対し安倍首相は「国際法上ありえない判断」、河野外相は「両国関係の法的基盤を根本から覆す暴挙」と批判し、大部分のマスメディアも追随しました。このため、私自身を含め多くの人たちは、日韓請求権協定締結以来、50余年に及ぶ両国の固い約束を韓国が一方的に反故にしたとひどく腹を立てました。
 しかし、「赤旗」は10月31日付の1面4段で「徴用工への賠償命じる 新日鉄住金に韓国最高裁 『反人道的だ』」と報じ、2面の解説記事で、「いま何よりも求められているのは被害者の救済であり、日本企業と政府は、被害の事実に誠実に向き合い、解決への努力をはらうべきです」と主張しました。
 さらに、11月2日付の「赤旗」は1面トップに、志位和夫委員長の見解「徴用工問題の公正な解決を求める――韓国の最高裁判決について」を据えました。「日韓請求権協定によって、日韓両国間での請求権の問題が解決されたとしても、被害にあった個人の請求権を消滅させることはないということは、日本政府が国会答弁などで公式に繰り返し表明してきたことです」と強調。1991年8月27日の参院予算委員会で、当時の柳井俊二外務省条約局長が「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」と明言している事実を示しました。2面では、志位委員長との一問一答で「国と国との請求権の問題と、個人の請求権の問題をきちんと分けて考えないと、この問題の冷静な解決方法が見えてこない」と指摘しました。

タブーなく報道

 ジャーナリズムの使命は、「権力の監視」と、「真実の事実を伝える」ことです。今回の徴用工問題で、植民地支配を不法と認めない日本政府の対応に、被害者の目線で真正面から立ち向かう論調は見当たりません。大手メディアが伝えない真実をタブーなく伝える「赤旗」は、公文書の改ざん、統計不正などウソとゴマカシの根腐れしはじめた政治に不信を膨らませている草の根の市民のたたかいにとって、「新しい明日が見える新聞」として欠かせなくなっています。
 (寄稿)
(2019年2月1日)

 

 

 


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