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2025年4月6日(日)

きょうの潮流

 娘はまもなく40歳になります。妻(73)は昨年夏ごろから急速に衰えて、暮れに認知症と診断されました。要介護2で、きょうはデイサービスに行きます。2人の介護をやらねばならず、忙しい日々です―。そんなメールが、以前取材した男性(65)から届きました▼男性からの折々のメールには、季節を感じたり励まされたり。でも、今回は大きな衝撃を受けました。同時に、男性のねがいに応じられないか考えました。重度障害のある娘と妻が同じ施設で暮らせるようにできないかというものです▼障害者団体に相談してみましたが、難しいのではとのこと。障害のある人だけでも、全国で少なくとも2万人以上が希望しても施設に入れずにいます▼ヘルパーや訪問看護、訪問診療が定期的に自宅を訪れるとはいえ、1人で2人のケアを担うのは負担が大きい。男性まで倒れてしまったら一家はどうなってしまうのか▼先月、高齢の父親が重度障害のある息子を殺害した罪に問われた裁判の判決が相次ぎました。いずれも家族だけでケアを担ってきた末の、痛ましい事件です。公的支援との関わりを持っていた時期もあったにもかかわらず、それぞれ支援に限界を感じたようでした▼家族によるケアは限界です。同様の悲劇を繰り返さないよう、必要な支援を提供する手だてを急いで講じなければ。多様な暮らしの場の拡充や地域生活を支える施策の充実を図るのは、国の責任です。「誰一人取り残さない」。政府はそう強調しているのですから。


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