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2025年3月31日(月)

破綻する関西万博(4)

経済効果 幻想生む過大な計画

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(写真)万博関連インフラ整備で進められる淀川左岸線第2期事業=大阪市

 大阪府の吉村洋文知事は「2350億円の会場建設費がもたらす経済効果は2兆7000億円から3兆3000億円」と万博開催を正当化します。経済効果は経済産業省や大阪府、関西財界系の研究所がそれぞれ発表。産業連関表にもとづいて投資の経済波及効果を試算したものです。

最初の投入金額

 波及効果の金額は、2820万人と設定された来場者が支出する旅費・宿泊費・飲食代金が、会場建設費に加えられ、これらへの支出が幅広い産業の生産(=売り上げ)や雇用(=賃金)へと波及する過程を金額で表したものです。統計にもとづいた試算ですが、最初に投入する金額が大きければ大きいほど経済効果は大きくなる仕組みです。

 桜田照雄・阪南大学教授(会計学)は「USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の過去最高入場者の4倍近い集客を『実現する』としているわけですから、過大な目標と言わざるをえません。統計の実測値(現実)と過大な計画(推測)を見極めることが大事です」と強調します。

 大阪府は、開催前後5年間の観光客増加2410億円、個人向け医薬品の普及3300億円、次世代携帯の普及2200億円などと推計しています。万博を目当てに商品・サービスが大量に生み出され購入されるというわけです。

消費の低迷原因

 万博協会は、2820万人と見込む来場者のうち国内来場者の約6割である1560万人が近畿2府4県から訪れると推計していますが、これには近畿の全人口のうち4人に3人が来場しなければなりません。しかも小中高などの学校行事で訪れる児童・生徒が含まれており、その入場料を公費で負担します。協会財政へのてこ入れです。

 2820万人の集客目標を受け、10兆2000億円もの関連インフラ整備費が予算計上されています。この中には安全性や採算性が疑問視される阪神高速・淀川左岸線第2期事業(2957億円)から鳥取県の中国横断自動車道建設にいたる150以上の大型計画が盛り込まれています。

 桜田さんはいいます。「史上最大規模の公共事業を展開してきましたが、実質賃金は上がらずじまい。経済の低迷は消費の低迷が原因です。大阪経済は卸・小売業が産業全体の4分の1を占めています。府民のふところを豊かにしなければ、大阪の地域経済は良くなりません。イベントで大阪経済を活性化するのは幻想にすぎないのです」 (つづく)


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