2025年3月27日(木)
安全航行にロが条件
米と両国、黒海巡り合意も
侵略容認と国連憲章無視 公正な和平こそ
米トランプ政権はサウジアラビアでの交渉後、ロシアとウクライナによる黒海での武力行使の停止、エネルギー施設への攻撃禁止を合意として発表しました。一方ロシア側は、合意実施の条件に貿易金融制裁の解除を求め、双方に食い違いがあります。この間の動きで浮き彫りになっているのは、侵略・占領の既成事実を押し通そうとするロシアと、それを受け入れウクライナに追認を迫る米トランプ政権の姿です。
ロシアのラブロフ外相は協議後の25日、ウクライナ東部と南部の地域が「文化、言語、宗教、伝統において常にロシアだった」と述べ、その地域の占領をあらためて正当化しました。同外務省も、占領地域とそこにあるザポリージャ原発は「ロシアの完全な一部だ」と声明しました。
トランプ政権は、このロシアの要求に呼応する言動をとってきました。
協議前の21日、ウィトコフ米特使は、「今後の焦点」がロシアの支配地域を「世界がロシア領土と認めるかどうかだ」と述べました。「住民投票」で「圧倒的多数の人々がロシアの統治下に入りたいと意思表示した」からだとしています。トランプ大統領も同日、「(停戦)協定は交渉中で、土地の分割に関するものだ」と述べ、ロシアによるウクライナ領の一部併合を追認する可能性を示しました。
武力行使による領土獲得は明確な国連憲章、国際法違反であり、けっして認められるものではありません。ロシアの侵攻後に行われたウクライナ東部・南部での「住民投票」と、それを口実にした同地域のロシアへの併合について国連総会は2022年10月、決議「ウクライナの領土保全…国連憲章の諸原則を擁護する」を143カ国の圧倒的多数の賛成で採択。ロシアの軍事統制下での住民投票も併合も違法であり、「ウクライナのこれら地域の法的地位の変更の根拠とはならない」と断じています。
この決議に当時のバイデン米政権は賛成しましたが、それをトランプ政権は百八十度変え、最近の国連総会決議への賛否にも見られるように、ロシアと歩調を合わせています。ウクライナの政治学者で雑誌「コモンズ」編集者のデニス・ピラシュ氏は、「二つの大国の支配者が、世界に力の支配を押し付け、最強者が条件を決めるような世界を欲している」と批判します。
和平は、ロシアによる侵略を非難し、即時撤退を求めた4度にわたる国連総会決議にもとづく公正な和平であるべきです。一定の時間や段階が必要でも、国連憲章にもとづく平和秩序の回復を和平協議の目的として追求することが必要です。国連憲章も国際法も投げ捨て、大国間で物事を決める世界への道は許されません。(田川実・党国際委員会事務局長)