2025年3月27日(木)
主張
兵庫県知事の会見
法律違反認め謝罪し職を辞せ
兵庫県の斎藤元彦知事は知事としての資格に欠けます。すみやかに退き、死者が相次いできた県政の異常事態を収めるべきです。
■公益通報保護せず
斎藤知事をめぐる疑惑を告発した文書について調査してきた県の第三者委員会は、告発文書は公益通報に当たり、告発された当事者である知事の指示で通報者捜しなどをした対応は公益通報者保護法違反で「違法の程度は極めて大きい」と断じました。告発を理由とした元県民局長への懲戒処分も違法で無効と判断しました(19日)。
これに対し斎藤知事は26日の会見で「司法の専門家にもさまざまな考え方がある」「いまも県の対応は適切だったと思っている」と委員会の判断を否定し、今後も続投する考えを明らかにしました。
第三者委員会は知事自らが設置し、元裁判官3人を含む6人の弁護士で構成。県から独立し、日本弁護士連合会の第三者委員会調査指針に基づいて調査してきました。
告発された疑惑について、▽贈答品の要望ともいえる知事の発言が複数回あり「職務の公正さを疑われかねない」例があった▽パワハラについて10件を「指導する必要性はなく、理不尽」などとしてパワハラと認定▽信用金庫にプロ野球の優勝パレードの協賛金を求め、見返りに補助金を出した疑惑について「疑念を生じさせかねない点があった」―などとしました。
斎藤知事が、告発をした元県民局長を「公務員失格」「うそ八百」などと非難したのは告発者に精神的苦痛を与え、職員一般を萎縮させるものでパワハラに当たり「極めて不適切」と指摘しました。元県民局長は自死しています。
第三者委員会の報告に先立って兵庫県議会の百条委員会も、告発文書には一定の事実が書かれており「公益通報に当たる可能性が高い」とする報告書をまとめていました。
しかし斎藤知事は、百条委の報告書を「一つの見解」「違法の可能性があるということは適法の可能性もある」などと無視し、告発者をさらに貶(おとし)める発言をしました。
■トップの資質なし
第三者委員会の報告書はこうした知事の姿勢を批判し、組織のトップは複眼的な思考を持ち、感情をコントロールし「特に公式の場では、人を傷つける発言、事態を混乱させるような発言は慎む」ことを強く求めました。
違法との指摘を頑として受け入れない斎藤氏にトップの資質はありません。
公益通報者保護法は通報者の解雇・降格など不利益扱いを禁じています。しかし通報者が守られない実態があることから、同法の改正案が今国会に提出されています。
現行法でも指針で通報者捜しは禁じられていますが、改正案では条文で禁じます。公益通報への「報復」で通報者を解雇・懲戒にした組織や、処分を下した担当者に対する刑事罰を新たに設けます。
斎藤知事には法を順守する姿勢がありません。公人として法を守り、処分を取り消して告発者の名誉を回復し遺族に謝罪すべきです。自らの非を認め、県政の混乱を招いた責任を取り辞職すべきです。