2024年11月17日(日)
きょうの潮流
ことし保育園の年長クラスになった息子も、あと4カ月で小学生に。今から学校生活にウキウキする姿をみるにつけ、ある調査の不安がよぎりました▼2023年度の小中学生の不登校人数を文科省が発表しました。それによると、前年度より4万7千人増加し、34万人を超えて過去最多に。背景にはなにがあるのか▼過去最多は、いじめや暴力行為の件数も。根底には過度の競争や管理教育などの学校現場への押し付けがあります。児童・生徒だけでなく教職員に対しても教員評価システムなどによって学校全体の管理が強化され、安心して楽しく過ごせる場所ではなくなってきています▼「大人が決めたカリキュラムを押し付けるのではなく、子どもの時間を取り戻すことが大切」。不登校支援を行うフリースペースを長年運営してきた西野博之さんが著書にそう記しています。かれらは学校に行かない「困った子」ではなく、「困っている子」だと▼学校に行かないと社会性が身につかないのでは、と心配する声も。しかし当事者たちは「不登校だからこそできる経験もたくさんある」。それをSNSで表現する「不登校生動画甲子園」にはさまざまな思いやエールが寄せられて▼不登校の広がりは、学校や社会が子どもにとって息苦しい場になっていることの表れです。安心して学べ生活できる学校づくり、なによりも子どもが通いたくなる学校にするためにどうするか―。不安をなくし、ふくらむ希望にこたえるのは、大人たちの責任です。