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2024年6月5日(水)

改定食料・農業・農村基本法

紙議員の反対討論(要旨)

参院本会議

 日本共産党の紙智子議員が5月29日の参院本会議で行った改定食料・農業・農村基本法に対する反対討論の要旨は次の通りです。


 法案は「食料自給率の目標」を「食料安全保障の確保に関する事項」に書き換えました。現在の食料自給率は38%にとどまり、食料自給率目標は一度も達成されていないのに、その検証もないまま、最重要課題の食料自給率の向上を投げ捨てました。

 自民党政権のもとで、TPP(環太平洋連携協定)、日米貿易協定、日EU(欧州連合)EPA(経済連携協定)など、歯止めない輸入自由化が進み、安い農産物の大量輸入が続いてきました。法案は自由化路線を改めるどころか、「安定的な輸入を図る」などと書き込んでいます。これでは国内生産の土台を掘り崩します。食料自給率の向上を国政の柱に据えるべきです。

 また、法案は生産者の所得を直接増やすことをかたくなに拒否しています。全国各地で「農業で生活できない」、「担い手がいない」という声が広がっているのに、岸田総理は「合理的な価格形成」を言うばかりで、坂本哲志農林水産相も「所得を保障するものではない」と答弁しました。

 生産者に対する直接支払いを拒否し、農業で生活できない現実を放置するなら、農業・農村の崩壊を招きます。政治の責任で、所得補償・価格保障により再生産を支える仕組みを創設すべきです。

 さらに法案は、兼業農家や半農半Xなどの多様な生産者を補助的なものと位置付けていますが、新規就農者は減り続け、人口減少が続く中、大規模農家・法人経営体に支援策を絞るべきではありません。

 環境への対応についても、温室効果ガス、CO2(二酸化炭素)削減、有機農業の文言が見当たりません。自然の生態系に依拠した農業政策や温暖化対策は全く不十分です。環境への負荷軽減を言うなら、まず海外からの輸入に依存する食料政策の見直しが必要です。

 法案は、農業の成長産業化に偏り、真に農村の振興・地域間格差の是正を図るものになっていません。農村では、人口の減少に歯止めがかからず、集落の危機が深まっています。平成の大合併は、旧自治体ごとの農政を消滅させました。一極集中を是正し、住み続けられる農村政策に本腰を入れるべきです。

 そして、食料と農業、農村の危機を打開するためには、農林水産予算を思い切って増額する必要があります。


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