2024年4月27日(土)
食料・農業・農村基本法改定案
参院本会議 紙議員の質問(要旨)
日本共産党の紙智子議員が26日の参院本会議で行った食料・農業・農村基本法改定案についての質問要旨は次の通りです。
国民は食料自給率の低迷、農業者や農地の急激な減少、農村存亡の危機を強く憂えています。
1999年に制定された現行法には、原案になかった「食料自給率の向上」と「農業生産の増大」を明記する修正がされました。(当時の)国会の意思をどう認識していますか。
食料自給率は2000年の40%から38%に低下しました。自給率目標は、一度も達成されたことがありません。1980年に参院は「食糧自給力強化に関する決議」を採択しました。しかしその後、米国の圧力を受け日本は輸入の自由化を進めてきました。米国の圧力と政府の経済財政政策こそが、自給率を低下させたのです。
本案は、食料自給率の向上を抽象的な表現に変える一方、あえて「輸入」の頭に「安定的」という言葉を付け加えています。自給率向上をいくつかの目標の一つに格下げ、輸入を重視し、国内生産の増大を軽視するのではありませんか。
2020年の農林業センサス(調査)では、15年から農地面積は17万ヘクタールも減少しました。主として農業で生計を立てる基幹的農業従事者も50万人の減少。担い手が減っても規模拡大すれば農地は維持される、食料の供給は保たれるという、安倍政権以来の政策は破綻したのではありませんか。
1990年に約2万2000円を超えていた米価は、21年に全国平均で約1万2000円まで下がりました。「米作って飯食えない」という叫びがでて当然です。稲作農家の1時間当たりの農業所得は1戸あたり、21年から2年連続して10円。酪農は赤字です。総理、これで生活できると思いますか。
生産者に米は過剰だと言いながら、ミニマムアクセス米、輸入米は毎年減らさずに77万トンも輸入しています。ミニマムアクセス米の赤字は累積6000億円を上回り、税金で穴埋めしています。税金は生産者の所得を増やすために使うべきです。いま、必要なのは生産者の再生産を保障する「直接支払い」に踏み出すことではありませんか。
農水省は、基幹的農業従事者が今後20年で約4分の1の30万人になると推定しています。専業農家は支援するが、兼業農家などは専業農家の補助者と位置づける担い手政策は、新規就農者を増やす点でも経営継承を進める点でも、無策そのものです。
いま必要なのは生産者に自己責任を迫る新自由主義農政の転換です。食料自給率の向上を国政の柱に据えることを強く求めます。