2023年11月7日(火)
徹底追及 統一協会
佐賀 県有施設で中高生研修
正体隠して利用申請
統一協会(世界平和統一家庭連合)が佐賀県内の県有施設に中高生とスタッフら計104人を集めて宿泊研修をしていたことが6日までに、本紙の調べで分かりました。統一協会は施設の使用許可申請書に正式名称を記入せず、信者青年が所属する部署である「成和部」と書いて申し込んでいました。県は統一協会だとは分からなかったとしており、正体を隠して申請していたことが判明しました。(統一協会取材班)
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統一協会の月刊誌『世界家庭』(10月号)によると、佐賀県の施設で7月に信者2世・3世の中高生を対象にした宿泊研修「トップガン・ジュニア修練会」を行いました。
ここでは修練生64人とスタッフ40人が参加して7月23~25日の2泊3日で実施。教義を学習させる「原理講義」をはじめ、世代別の「心情交流」や信仰生活講座などが内容に含まれていました。
「健全な育成」
日本共産党の武藤明美県議による調査では、成和部と称した団体が同じ日程で「波戸岬少年自然の家」(同県唐津市)の利用を申請していたことが分かりました。利用予定者数は130人で、目的の欄には「研修」「交流」としか書かれていませんでした。
佐賀県少年自然の家設置条例は「少年の健全な育成を図る」ことを目的に掲げています。施行規則には「設置の目的に反する使用をするおそれがある場合」は「施設の使用を許可しないことができる」と明記。使用許可申請書の内容に偽りがあった場合は「使用の許可を取り消し、または使用の中止を命ずることができる」としています。正式な団体名や目的を隠した申請は、同条例の施行規則や「布教活動」を禁じる利用条件に違反する疑いがあります。
佐賀県まなび課の平野礼子課長は、施設の指定管理者に事実関係を聞いたとして「申請書に記載された団体名が正しいかどうかを確認せず、研修や交流という利用目的に問題がなかったので許可した。宗教法人であることを理由に断る規定はないが、統一協会が施設を利用したことは分からなかった」と説明しました。
『世界家庭』は、同施設での修練会に参加した中学3年生が「日ごろから『原理』を生活化していこうと思いました」と述べたことを紹介しています。
小学生の頃から統一協会の修練会を何度も経験した元信者2世の女性(30代)は「子どもは親の意思で修練会に参加させられる。施設に閉じ込められ、同調圧力がある中で怖いと感じる教義を押しつけられた」と振り返ります。その上で「いやだと言っても連れて行かれ、今でもトラウマになっている。子どもを洗脳する場に行かせること自体が虐待だと認識し、統一協会に公共施設を貸すことの影響を真剣に考えてほしい」と話します。
厚生労働省の見解によると、宗教活動等への参加を強制することは「身体的・心理的虐待」に該当します。
被害拡大にも
武藤県議は「統一協会は高額献金の強要などの不法行為や人権侵害が深刻な社会問題となった団体で、公共施設の利用を認めることは被害の拡大につながりかねない。県は今回の問題を検証し、協会側が正体を隠して利用を申請することも想定した対応を検討する必要がある。今後、県が統一協会に活動の場を提供することがあってはならない」と指摘しています。