2023年10月15日(日)
主張
細田議長記者会見
真相隠して幕引きは許されぬ
体調不良を理由に辞任する細田博之衆院議長が記者会見しました。質問時間や記者の人数を制限し、疑惑が指摘されている統一協会との癒着や女性記者らへのセクハラについてまともな説明はしませんでした。記者が質疑の続行を求めて抗議する中で一方的に打ち切りました。説明責任の放棄という他ありません。疑惑はますます深まりました。議長退任後も議員を続け、次の選挙に出馬すると表明しましたが、国会議員としての資質そのものが疑われます。不誠実で反省のない記者会見で幕引きを図ることは許されません。
反省もなく不誠実極まる
細田氏は昨年、統一協会との密接な関係が発覚してから記者会見に一切応じませんでした。今回の会見でも、最初に自ら進んで述べたのは病状説明と、国会議員を続けることの強い意欲だけでした。最大の焦点である統一協会やセクハラについては、記者の質問の論点をすりかえたり、居直ったりするなど全く誠意がありません。
細田氏は自民党内でも統一協会と関係が特に深い清和政策研究会(現在の安倍派)の会長を7年務めました。安倍晋三元首相の死去後、統一協会との関係を詳しく知るキーパーソンと言われています。統一協会関連団体の会合には8回出席しています。
2019年に統一協会の韓鶴子総裁が出席した関連団体の会合で細田氏は、会合の内容について「安倍総理に早速報告したい」などとスピーチしています。この発言について細田氏は会見で、安倍氏には伝えておらず「リップサービス」だったと取り繕い、会合に何度も参加したことについては「呼ばれれば出るという程度」「問題はない」と繰り返しました。「広告塔」になっていたのではとの問いには「飛躍し過ぎだ」と反論し、被害拡大につながったことへの反省はありませんでした。
国政選挙で安倍派内で統一協会票を差配したという元国会議員の証言を巡っては「関わっていない」とはぐらかしました。一方、福田赳夫元首相時代からの統一協会とのつながりには言及し「長い関係を存じ上げてきた」などと述べたものの、内容については口をつぐみました。これ以上、隠ぺいを続けることはやめるべきです。
『週刊文春』が昨年報じた女性記者らへのセクハラについては、「誰一人セクハラされたと主張していない」「単なるうわさ話」と否定しました。被害者が名乗り出ることが困難なことを記者から指摘されても、自分には覚えがないのにあったように言うのは「男性へのセクハラだ」と開き直りました。セクハラに対する認識が間違っています。被害を受けた女性を苦しめる心ない発言を続けたことは重大です。細田氏は議長の資格だけでなく、政治家としての資質も失っています。
議院運営委員会で質疑を
細田氏は公の場での説明を拒み続けてきた上、ようやく行った記者会見でも疑念に全くこたえようとしませんでした。国民の不信と怒りは募るばかりです。
不十分極まる記者会見で終わらせることはできません。公開された議院運営委員会で質疑を行い、徹底的に解明することが不可欠です。細田氏をかばい、議長を続けさせた岸田文雄首相と自民党には厳しい反省が求められます。