2023年9月4日(月)
徹底追及 統一協会
集団結婚8000組
5月世界各地 本人意思で選べず
統一協会(世界平和統一家庭連合)が5月に韓国など世界各地で集団結婚の式典を開き、公式発表で約8000組のカップルが参加したことが3日までに分かりました。統一協会の問題に詳しい弁護士は「信者に婚姻の自由を認めず、教義に基づく結婚をさせることは人権侵害だ」と批判しています。(統一協会取材班)
統一協会は5月7日、本部がある韓国・清平(チョンピョン)の関連施設「清心平和ワールドセンター」で集団結婚の式典を開きました。集団結婚で大規模な式典を開くのは3年ぶりです。その様子を写真つきで報じた統一協会の月刊誌『世界家庭』によると、式典には56カ国から約1300組の新郎新婦たちが集まりました。
開祖・文鮮明(故人)の妻である韓鶴子総裁が金色の衣装で登場し、「祝祷(しゅくとう)」と称したスピーチや新郎新婦たちに指輪を贈るなどして特別なムードを演出。「真の父母様(開祖夫妻)の恩賜で、天宙の前に聖婚が成立したことを宣布します」と述べ、ステージ上で歌を披露しました。
この日は全世界で集団結婚の式典が開かれ、150カ国の約8000組が「祝福を受けた」とされます。日本と台湾からも1270人が参加し、そのうち約600人が韓国での式典に出席したと報告しています。
統一協会で集団結婚は「最も尊い宗教儀式」とされ、1960年から毎年のように式典を開催しています。参加費として信者が70万円、信者2世は20万円を献金することになっています。
当初は開祖・文鮮明が選んだ異性と強制的に結婚させ、どんな相手であっても断ることができないとされていました。
統一協会のホームページによると、現在は専用の“マッチングサイト”に登録し、全国各地の「家庭教会」にいるスタッフから相手の紹介を受けるというシステムです。
集団結婚の式典に参加する時点で入信から6カ月が経過していることや▽統一原理(教義)を学ぶ▽開祖夫妻を“真の父母”として受け入れる▽礼拝への参加▽収入の10分の1を献金する―などの条件があります。
2世については「父母マッチング」として、結婚相手を「父母が決める」としています。
「結婚前に相手との交流を深める」「式に参加する前に断ることは可能」と説明していますが、協会側が結婚相手を決めて式に参加させる仕組みは変わっていません。
信者は、集団結婚した夫婦の婚姻関係が破綻すれば「サタン(悪魔)が喜ぶ」「地獄に行く」と教えられているため、その恐怖心から離婚できずに苦しみ続ける実態も明らかになっています。
90年代から統一協会の被害者救済に取り組む渡辺博弁護士は「近年では『結婚相談』と書かれたチラシを配り、未婚の男性を勧誘する例もあります。統一協会は信者に恋愛を禁じ、本人の自由な意思で結婚相手を選ぶことも認めていません。協会の意のままに信者を振り回すことは人権侵害であり、結婚後の配偶者からの暴力や児童虐待の問題にもつながっている」と指摘します。