2023年8月27日(日)
徹底追及 統一協会
研修施設拠点に訪問販売
若手2世を“実践教育”
統一協会(世界平和統一家庭連合)が協会の研修施設で、1年にわたり“実践教育”として若い2世信者を訪問販売や伝道に従事させていた―。本紙が入手した協会の内部資料や信者2世らの証言から、そんな実態が明らかになりました。(統一協会取材班)
本紙が入手したのは『新成和青年のための進路ガイドブック 2022』です。協会の未来人材局が、信者2世の青年向けに出した2022年度の進路資料です。
ガイドブックでは、茨城県土浦市にある「土浦研修センター」で研修する2世を募集しています。協会はここで2003年から「STF(スペシャル・タスク・フォース=特別任務部隊)プログラム」と称する実践教育を開始。高卒以上の信者2世を対象に1年間、共同生活をします。目的は開祖文鮮明、韓鶴子夫妻の教えを学び実践することです。
特別信仰的訓練
教育の中心に据えられているのは、「特別信仰的訓練」です。一体どんな訓練なのか―。
2005年以降に土浦研修センターに滞在したことがある信者2世は、「センターを拠点に『万物復帰(ばんぶつふっき)』と呼ばれる訪問販売をした」と証言します。万物復帰とは、活動資金稼ぎの物販のことです。協会は、世の中の財物をサタンから神に取り返すと信者を洗脳し、訪問販売に駆り立てます。
この2世は「集団で車に乗って移動し、訪問販売をした。布巾3枚を2000円とかで売っていた。ボランティアで売り上げは寄付するなど、うそを言って売り歩いた。実際には協会の活動費だった」と振り返ります。
ガイドブックは、特別信仰的訓練を集中して行う期間を「路程」と呼んでいます。路程は年8回で、1回の期間は3~4週間。1週間のスケジュールで見ると、火曜日から日曜日までの6日間は訪問販売などの訓練をし、7日目は「調整日」として礼拝をするという過酷な内容です。
ほかにもSTFでは、伝道を2週間行う内容もあります。
ある統一協会関係者は、STFについて、こう説明します。「内的な動機付けは、信仰訓練として実施するものの、対社会的には、一会社の社員として、うそ偽りのないビジネスとして訪問販売を行った」。だますような訪問販売は2世教育にとって逆効果になるので「純粋なビジネス」としたというのです。
ただガイドブックには、会社員として訪問販売することを記していません。「訓練に集中できる環境がある」「共に歩む兄弟姉妹との強い絆」などと、信仰強化の場であることを全面に出しています。統一協会の実践教育の一環という正体を隠した“ビジネス”というのが実態です。
多摩施設に懸念
現在、統一協会は東京都多摩市で約6300平方メートルの敷地に400人が宿泊できる研修施設を建設しようとしています。地域住民からは、この施設を拠点に伝道が行われるのではないかと懸念する声が上がっています。
前出の信者2世は、こう指摘します。「千葉市にある研修施設での研修では、駅前で伝道をしています。やはり研修施設ができると、そこを拠点に万物復帰や伝道が盛んになるのではないかと懸念している」
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