2023年8月12日(土)
統一協会と接点あり
自民国会議員、次々“復活”
山際氏ら支部長に選任
|
180人―自民党が2022年9月8日に公表した「点検」結果(追加報告を含む)で、統一協会(世界平和統一家庭連合)と接点があるとした国会議員の数です。自民党は、事実解明や国民への十分な説明がないまま、統一協会と接点のあった議員らを次々と、次期衆院選の候補者となる支部長に決定しています。政治家との結びつきが、霊感商法や洗脳によるメンバー獲得などの反社会的活動を支えてきたことへの反省がありません。
自民党はこれまで批判を受けて、自己申告による「点検」を実施してきました。その中で、自民党所属の議員180人が同協会と関係を持ったとされています。このうち、氏名公表されている77人を次期衆院選の候補となる支部長に選任。選出区は31都道府県におよび、神奈川県が9人と最多です。中には、同協会との癒着関係を指摘され、閣僚を辞任した山際大志郎元経済再生相(神奈川18区)をはじめ、萩生田光一政調会長(東京24区)、下村博文元文科相(東京11区)、平井卓也元デジタル相(香川1区)ら閣僚経験者がずらりと並んでいます。
山際氏は、ネパールで開かれた同協会の関連イベントなどに参加していました。会合出席についてメディアが追及すると、「報道を見る限り出席したと考えるのが自然」と人ごとのような弁明や言い逃れに終始し、閣僚辞任後も説明責任を果たしていません。SNSでは、同氏が神奈川18区の支部長となったことに対し「自民党は反省していない」「自民党は統一協会を容認するのか」など批判の声が上がっています。
組織的・政策的癒着 未解明のまま
自民党は当初、179人の議員に統一協会と接点があったと公表(2022年9月8日)。しかし、外部からの指摘で木原誠二官房副長官(東京20区)が「(記憶が)呼び覚まされた」(22年9月12日)と追加報告するなど、「点検」は杜撰(ずさん)なものでした。
また、自民党所属の議員にもかかわらず、衆院議長として会派を離脱しているとして「点検」に含まれなかった細田博之氏(島根1区)に対する追及も不十分です。細田氏は、同協会の関連団体の会合に出席していただけでなく、関連団体の名誉会長を務め、「清和政策研究会」(現・安倍派)の元会長(14~21年)として、選挙の際に統一協会の票を差配した疑惑があります。細田氏は、統一協会と極めて深い関係があったことを認める文書を発表しましたが、自らは一言も説明せず、次期衆院選へ出馬しようとしています。
自民党はこれまで同協会と癒着し、多大な物的・人的支援を受けながら選挙戦をたたかってきました。
そのことを裏付けるものが、「政策協定」である推薦確認書です。同確認書は、(1)憲法を改正し、安全保障体制を強化(2)家庭教育支援法・青少年健全育成基本法を制定(3)LGBT問題、同性婚合法化の慎重な扱い(4)「日韓トンネル」実現を推進(5)国内外の共産主義勢力の攻勢阻止―など反共反動の政策を列挙していました。同確認書に署名した議員には、大串正樹デジタル副大臣(兵庫6区)、山田賢司外務副大臣(兵庫7区)がいます。同確認書への署名は「点検」項目に含まれておらず、大串氏については党の「点検」では明らかにされていません。
岸田文雄首相は同協会との「関係を絶つ」と言いますが、関係を絶つどころか、全容解明はまったく進んでいません。同協会と自民党の癒着を本当に断ち切る気があるのなら、総選挙前に徹底的な全容解明をすべきです。