2023年1月31日(火)
徹底追及 統一協会
22年の沖縄・名護市長選
統一協会、自民系候補を支援
動画から判明 ビラ配布も
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米軍辺野古新基地建設問題が最大争点になった2022年1月の沖縄県名護市長選で、統一協会(世界平和統一家庭連合)が渡具知(とぐち)武豊市長=自民、公明推薦=を組織的に支援したと報告されていることが30日、本紙の調べで分かりました。また、同じ日に投開票された同県南城市長選でも同協会は自民党系候補を応援していました。統一協会の韓国組織がユーチューブで公開した動画から判明したもの。(統一協会取材班)
南城市長選でも自民系候補応援
この動画には、九州・沖縄の統一協会を統括する第5地区長だった朴鍾泌氏の発言が公開されていました。
動画で朴氏は、名護市長選で渡具知氏が当選したと報告。渡具知氏の選挙事務所で撮られたとみられる記念写真をモニターで紹介し、支援の内容を次のように明かしました。
「独自のチラシを渡具知市長と選対幹部と打ち合わせの上作成」「弱い地域に12000枚配布」「電話宣伝のお手伝い」
渡具知氏を支援した佐喜真(さきま)淳・前宜野湾市長からも「大きな感謝の連絡」があったと振り返っています。
名護市長選では、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」の岸本洋平氏(現名護市議)が立候補。新基地建設を推進する自公政権が全面的に支援した渡具知氏と激しく争いましたが、5085票差で惜敗しました。
当時、岸本氏の選対本部長を務めた山里将雄県議(会派・てぃーだ平和ネット)は「統一協会が市長選で渡具知氏を支援したというのは、全く知らない話だ」と驚きます。山里氏によると、事実に反する内容で岸本氏のイメージダウンを狙った出所不明のビラも市内で配られていたといいます。
日本共産党の吉居俊平・名護市議は「統一協会との協力関係が実際にあったのか、渡具知氏の説明責任が問われる」と指摘します。
ダミー団体から「平和大使任命状」
沖縄 応援受けた古謝・南城市長
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沖縄県内で名護市長選と同日に投開票された南城市長選で、統一協会が古謝景春氏=自民、公明推薦=を応援していた実態も協会の韓国組織がユーチューブで公開していた動画で明らかになりました。
動画で朴氏は、元職の古謝氏が市長に復帰したことを報告しました。統一協会日本本部の李成萬副会長(当時)が沖縄教区長と「陣中見舞い」に訪れ、古謝氏と並んだ写真も紹介しています。
政治家取り込む
日本共産党の松田兼弘・南城市議は、2022年10月13日の市議会一般質問で古謝氏と統一協会の関係を質問。市側は「統一協会や関連団体との関わりや市長選における何らかの支援を受けたことはない」(総務部長)と答弁していました。
古謝氏のフェイスブックには同年1月15日、統一協会のダミー団体「天宙平和連合(UPF)」が同氏に贈った「平和大使任命状」の写真も投稿されています。UPFは、統一協会の開祖・文鮮明と妻の韓鶴子総裁が創立した団体です。安倍晋三元首相から集会でビデオメッセージをもらうなど、政治家を取り込むことなどに使われています。
宣伝材料に利用
沖縄県内で霊感商法の被害者救済に取り組んできた三宅俊司弁護士は「選挙に協力することで統一協会が権威を示し、問題のない団体だと思わせる宣伝材料に利用する可能性があります。家庭教育支援条例など、自分たちの政策を実現させたい思惑もあるのではないか」と述べています。
本紙は渡具知氏と古謝氏に質問状を送りましたが、期限内に回答はありませんでした。