しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年1月24日(火)

日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ

 日本共産党の志位和夫委員長が23日の通常国会開会にあたって開かれた党国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。


 みなさん。おはようございます(「おはようございます」の声)。連日のご奮闘に心からの敬意を申し上げます。

 通常国会の開会にあたりまして、ともにたたかう決意を込めて、ごあいさつをいたします。

新型コロナ――医療体制の抜本的な充実を強く求める

「医療崩壊」が深刻――無為無策を続けた岸田政権の責任はきわめて重い

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=23日、衆院第1議員会館

 冒頭、新型コロナ感染症への対応についてのべます。

 感染拡大の「第8波」による「医療崩壊」が深刻であります。亡くなられた方の数が過去最悪、「救急搬送困難事案」も過去最悪、119番がなかなかつながらないという異常事態も起こっています。高齢者施設でクラスターが多発し、犠牲が拡大していることも、たいへんに深刻であります。

 「第7波」と同様の事態が、より大規模に起こることが警告されていたにもかかわらず、無為無策を続けた岸田政権の責任はきわめて重いと言わなければなりません。

あしき連鎖を断ち切るカギ――危機に対してゆとりのある強靱な医療体制を

 感染拡大の波のたびに多くの犠牲者が出る――このあしき連鎖をどうやって断ち切るのか。決定的なカギは、あまりに脆弱(ぜいじゃく)な医療体制を抜本的に充実させることにあります。

 この期に及んで「地域医療構想」の名で、急性期ベッドの削減計画にしがみついていることは許しがたいことです。これをキッパリ中止し、危機に対してゆとりのある強靱(きょうじん)な医療体制をつくることを強く求めていこうではありませんか。(拍手)

「5類」への引き下げ――医療への公的責任放棄は断じて認められない

 岸田首相は、新型コロナを季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げる方針を出しました。しかし、医療体制の強化ぬきにこの方針を押し付けたら、医療現場の大混乱はさけられません。医療費を自己負担にすることは、ただでさえ高くなっている医療へのアクセスのハードルをさらに引き上げることになり、犠牲を拡大することになります。

 犠牲者が最悪という深刻な事態のもとで、医療への公的責任を放棄する方針を推進することは、断じて認められません。国民の命を守る責任を果たせということを強く求めていきたいと思います。(拍手)

自民党と統一協会との癒着、「政治とカネ」――手を緩めず徹底究明をはかる

 自民党と統一協会との深刻な癒着、「政治とカネ」をめぐるモラル破壊の問題は、前国会で未解決のままこの国会に持ち越されました。手を緩めず徹底的に究明し、うみを出し尽くしていくことも、冒頭に確認しておきたいと思います。(拍手)

文字通りの歴史的国会――党の存在意義をかけてたたかいぬく

 私は、この通常国会にのぞむ日本共産党国会議員団の基本姿勢について、3点ほど表明したいと思います。

 第一に、この国会は、戦後の日本の歴史のなかでも、文字通りの歴史的国会になります。日本共産党の存在意義をかけてこの歴史的国会をたたかいぬきたい、この決意を申し上げたいと思います。

「専守防衛」をかなぐり捨て、日米が完全に融合した「戦争国家」づくりを許さない

 いま岸田内閣が進めている敵基地攻撃能力保有と大軍拡は、戦後日本の安全保障政策を文字通り大転換させるものです。「専守防衛」という歴代政権が掲げてきた原則すら完全にかなぐり捨てて、自衛隊が米軍と完全に融合する形で海外での戦争にのりだす「戦争国家」づくりを進めようというものです。

 一部メディアは「防衛増税が焦点」だと書いています。私は、これは率直に言って、「争点そらし」だと言わなければなりません。もちろんわが党は、軍拡増税に断固反対ですが、大軍拡を前提にして、その「財源さがし」をするという議論は、きっぱり退けることが重要ではないでしょうか。問題の核心は、「敵基地攻撃能力保有と大軍拡を許していいのか」、ここにあります。大軍拡を中止すれば、その「財源さがし」など、はなから無用になるではありませんか。

 このたたかいは、党をつくって今年で101年、一筋に反戦平和を貫いてきた日本共産党の存在意義がかかったたたかいであります。大軍拡の正体を、事実と道理にそくして徹底的に究明し、「岸田政権の大軍拡を許さない」――この一点での広大な国民的共同をつくりだすことに貢献する国会論戦に、あらゆる知恵と力を尽くしてとりくもうではありませんか。(拍手)

労働者の賃金が減り続けるもとでの物価高騰――国民の苦しみに心よせ奮闘しよう

 物価高騰からいかにして暮らしと経済を立て直すかも、この国会の大きな課題です。

 「41年ぶりの物価高騰」と言われますが、41年前とは大きな違いがあります。それは、弱肉強食の新自由主義とアベノミクスによって労働者の実質賃金が減り続けているところに、物価高騰が襲いかかっているということです。終戦直後の混乱をのぞけば、こんなことは戦後かつてなかったことです。暮らしと経済は、かつてない危機と困難のもとに置かれています。

 ここでも国民の苦難軽減という日本共産党の存在意義が問われています。この原点に立って、「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」を縦横に活用して、国民の苦しみに心を寄せ、それをともに打開していくために、大奮闘する決意を固めあおうではありませんか。(拍手)

岸田政権に正面対決、国民の立場に立った対案を堂々と掲げてたたかう

 第二の基本姿勢として強調したいのは、岸田政権に正面から対決するとともに、どんな問題でも国民の立場に立った対案を堂々と掲げてたたかいぬこうということです。

「日本が直面する課題」への解決策をもたない「空っぽ」政権

 岸田内閣の著しい特徴は、外交でも、内政でも、「日本が直面する課題をどう解決するのか」ということに対して、まともな方策を何らもちあわせていない、「空っぽ」政権だというところにあります。

 この政権に「外交」と呼べるものがあるでしょうか。「安保3文書」を読みますと、「危機を未然に防ぐ外交を中軸にした取り組み」という項目がありますが、驚くべきことにその筆頭に書かれているのが「日米同盟の強化」であります。「外交とは軍事なり」ということでしょうか。これは、この政権が、外交不在、軍事一辺倒であることを象徴するものではないでしょうか。

 「内政」でも事情は同じです。首相は「物価上昇を超える賃上げ」といいますが、それではどうやって実現するのか。具体策は何もありません。「経済界にお願いする」というだけです。「お願い」だけで賃上げが進みますか。進まないことは、安倍政権以来、同じような「お願い」を10年間続けながら、この10年間で、労働者の実質賃金が20万円も減ったことが証明しているではありませんか。だいたい、働く人の7割は中小企業です。新型コロナ、物価高騰、過剰債務の苦境にあえぐ中小企業が、抜本的支援なしに、言葉だけの「お願い」で賃上げができるわけがないことは、誰の目にも明らかではないでしょうか。

 岸田首相は「異次元の子育て支援」と言い出しました。しかし、そのメニューからは最も大事なものが抜け落ちています。「重すぎる教育費負担を軽減する」ということであります。政府の意識調査でも、これこそが国民の最も切実な願いだということが示されているのに、まったく視野の外に置かれています。来年度の政府予算案を見てみましても、文教費は微増、実質マイナスです。文教費を実質マイナスにしながら、「異次元の子育て支援」をいうとは、羊頭狗肉(くにく)の最たるものではないでしょうか。

 岸田首相の言う「グリーン」に至っては最悪です。最悪の環境破壊をもたらす原発への回帰を、被災者の苦しみを忘れ、原発事故の教訓を忘れて、「グリーン」を口実に進めるなど、言語道断といわなければなりません。

国民的意義をもつ日本共産党の提案を大いに掲げて論戦にとりくもう

 各分野について、見てまいりましたが、このように、この政権は、「日本が直面する課題」への解決策を何らもちあわせていません。「対案」という言葉を、私は辞書で引いてみました。そうしますと、「すでにある案に対して示す別の案」とあるわけです。しかし、この政権には、「すでにある案」が何一つないのであります。

 そうしたもとで、日本共産党が掲げている憲法9条を生かして東アジアに平和を創出する「外交ビジョン」、「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」、「気候危機打開の2030戦略」、「ジェンダー平等へ いまこそ政治の転換を」などの提案は、「対案」にとどまらず、「日本が直面する課題」に対する抜本的解決策を指し示す、国民的意義をもつと確信するものであります。これらの到達点を大いに掲げて、論戦にとりくむことを訴えたいと思います。(拍手)

「130%の党」づくり、統一地方選勝利に貢献する論戦を

 第三の基本姿勢は、第7回中央委員会総会にもとづいて、いま全党がとりくんでいる「130%の党」づくり、統一地方選挙勝利のとりくみに貢献する論戦を展開しようということであります。

「新たな潮の流れの変化」――「この道は危ない」と多くの方々が感じ始めている

 私は、年末から年始にかけて「新たな潮の流れの変化」を強く感じます。

 年末に、タモリさんが「新しい戦前」という警告をのべました。年始に、吉永小百合さんが、議論もなしに大軍拡を進めることは「怖い」と、強い危惧をのべました。元衆院議長の河野洋平さんは、テレビのインタビューで「この政策転換はあり得ない」と、強い口調で批判をされました。福田康夫元首相は、「まずは外交をしなければいけない」と苦言を呈しました。各種世論調査でも、大軍拡に「反対」が「賛成」を上回る結果も出てきています。「この道は危ない」と多くの方々が感じ始めているのではないでしょうか。

不安と批判を正面から受け止めることができる政党は、日本共産党をおいて他にない

 こうした多くの方々の不安と批判を正面から受け止めることができる政党は、日本共産党をおいて他にないのではないでしょうか。

 力を尽くせば、いま強く大きな党をつくる広大な条件が私たちの目の前に広がっています。この条件を生かして、強く大きな党をつくり、その力で統一地方選挙に勝ち、さらに強く大きな党をつくる新たなとりくみを、全党のみなさんと力を合わせて、必ず成功させようではありませんか。(拍手)

 そうした新たな挑戦に貢献する論戦と活動を、この国会で縦横に展開することを誓い合いまして、私のごあいさつといたします。私もがんばります(拍手)。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)


pageup