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2022年12月24日(土)

徹底追及 統一協会

被害者の多くが女性

悩み抱え ターゲットに

 統一協会(世界平和統一家庭連合)では、女性をターゲットにした勧誘が繰り返されてきました。霊感商法や高額献金などの被害に遭うのは圧倒的に女性が多いとされています。なぜ女性なのか―。(統一協会取材班)


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(写真)統一協会本部=東京都渋谷区

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(写真)冠木さんの母親がはまった天地正教のチラシ

 統一協会の信者2世で作家の冠木結心(かぶらぎ・けいこ)さんは、母親が1991年ごろに、統一協会のダミー団体である天地正教にはまりました。天地正教は仏教系を装った教団で、統一協会が正体を隠して信者を獲得する手段の一つでした。

 天地正教から統一協会へ入信した母親は水を得た魚のように生き生きとしていったと言います。

孤独に付け入る

 「家庭内での存在が薄かった母が、統一協会と出合い、献金し、褒められることを通じて、承認欲求が満たされていくのを感じたのでしょう。ある意味では強い依存状態に陥っているようにも見えました」

 母親には「ママ友」もいましたが、深い関係までは築けなかったのではないかと冠木さんは考えています。

 「まだ昭和で女性が男性を立てる時代でした。しゅうとや、しゅうとめと同居することも多く、母も少なからずそのことで悩みを抱えていたと思います」

 統一協会の側も女性の勧誘を重視していました。古参の元信者によると、初期には青年を勧誘していましたが、その後、壮年の女性に重点を置いたと証言します。「若い人は活動的だがお金を持っていない。金銭的に余裕がある壮年の主婦を狙うようになった」とこの元信者は話します。

 子どもが親から離れはじめ、夫は管理職となって家庭を顧みない―。そんな孤独や悩みを抱える女性たちを、統一協会はターゲットにしていた構造が浮かび上がります。

“因縁”で脅す

 子育てや病気など家庭生活で悩みを持つ人を統一協会は「先祖が人を殺して地獄で苦しんでいるため起きた」などと“因縁”で脅します。因縁を絶つためとして高額なつぼを買わせるなど霊感商法にはめこみ、ついには開祖文鮮明をメシア(救世主)と思い込ませるようマインドコントロール(洗脳)します。

 冠木さんはこう振り返ります。

 「同じ時代に生きたメシアと出会えたことを母はとても喜んでいました。恐らく、私にも理解することのできない喜びであったのだと思います。統一協会はそんな母につけ込んだのです」

優しく声かけ犠牲に

 北海道大学大学院の櫻井義秀教授の話 統一協会の約3分の2が女性信者です。女性と男性では入信する動機づけが異なります。女性は家族や自分の先祖を救うためなど、自分以外のものに対して奉仕的だったり、犠牲的だったりで、信者になる人が多い。

 日本社会にあった「女性は結婚して家庭に入る」という考えと、統一協会の考えが合致していたため、女性が勧誘されやすかったのだと思います。

 一方で男性は統一協会が行っている社会活動、政治活動に関心を持つ人が多い。

 統一協会が接近する機会が多いのも女性です。女性は家にいる時間が長いからです。統一協会は、中高年になり子育てがひと段落し、ある程度お金も時間もある人や、子どもたちが独立し独居になった人に、優しく声をかけます。その結果、女性が犠牲になってしまうのです。


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