2022年12月19日(月)
徹底追及 統一協会
「祝福2世」5万人か
救済体制 新法に課題
幼児期に「信仰の原型」
統一協会(世界平和統一家庭連合)で集団結婚をした両親から生まれた「祝福2世」と呼ばれる信者2世が5万人近くいることが、関係者の証言で分かりました。祝福2世は出生時より信者扱いされ、子どものころから韓国での洗脳合宿に参加させられるなどの被害を受けています。10日に成立した被害者救済法では、信者2世が請求できるのは養育費など限定された範囲であり、脱会支援や脱会後のケアなど被害救済の体制を整える課題が残されたままです。(統一協会取材班)
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統一協会の信者数について勅使河原秀行・改革推進本部長は会見で約10万人と述べました。他方、祝福2世の人数については公表されていません。
教義を教え込む
関係者によると、祝福2世は出生した時点での把握で、「5万人近い4万人台の後半だ」といいます。ただ日曜礼拝などに参加している信者は1世と2世をあわせて約4万人だといい、実際に協会で活動している2世はさらに少なくなる見込みです。
統一協会は、人類の祖先のエバ(イブ)がサタンと淫行したことで人類すべてが「サタンの血統により生まれるようになった」としています。サタンの血統から逃れるためには、「祝福結婚」=集団結婚し、祝福2世を生むことが必須だと洗脳します。
統一協会内で祝福2世は「神の子」とされ、早くから協会行事に参加させます。協会の内部資料によると、▽幼児期に「信仰の原型」をつくる▽学童期に親の信仰を模倣するなど「習慣的信仰」をつける▽思春期に2世同士で信仰する仲間と「共同体信仰」をつくる―などの流れで2世に教義を教え込みます。
恐怖心植え付け
複数の祝福2世は、協会の本部がある韓国・清平(チョンピョン)で小学生から高校生までの子ども数百人が夏休みに21日間の洗脳合宿に参加させられていたと証言します。合宿では漫画やゲームが禁止され、朝から晩まで、『原理講論』を訓読するなどの講義が続いたといいます。
また脱会すると「地獄に落ちる」「堕落する」と恐怖心を植え付けられています。これらの洗脳のため、祝福2世は容易に信仰から抜け出せなくなっています。
洗脳だけでなく祝福2世は、両親が高額献金をするため経済的に困窮したり、集団結婚を強要されたりするなどの被害を受けています。
祝福2世で宗教2世問題ネットワークの副代表の山本サエコさん=仮名=は「祝福2世は基本的人権を侵害された被害者という視点が大切です」と強調します。そのうえで「統一協会の教えがおかしいと感じた2世が相談できるホットラインや、同じ悩みを抱えた人が支えあうピアサポートなどの体制整備が必要です。また経済的に困窮していることが多いのでセーフティーネットを充実することも大切です」と指摘しています。