2022年12月11日(日)
統一協会の被害者救済法
仁比議員の反対討論(要旨)
参院本会議
日本共産党の仁比聡平議員が10日の参院本会議で行った、統一協会の被害者救済法に対する反対討論の要旨は次の通りです。
法案は被害の実態に照らし、極めて不十分であり、実効性を明確にするよう修正されるべきです。わが党は会期を延長し、さらに審議を尽くすべきことを主張してきましたが、このまま採決することに反対します。
法案の最大の問題点は、寄付の勧誘に関する禁止行為について、本法案第4条がいわゆる困惑類型のみを対象としていることです。とりわけ同条6号が、(1)寄付の勧誘をするに際し、(2)不安をあおり、又は不安に乗じて、(3)寄付が必要不可欠と告げることによって、(4)困惑させてはならないと定め、政府もその全てがそろわなければ取り消し権は認められず、政府の勧告・命令の対象にもならないことを認めたことは重大です。
入信から献金まで数年、数十年のタイムラグがあっても「寄付の勧誘に際し」と認められるのか、個々の献金について「重大な不利益を回避するために必要不可欠」と告げられてはいない被害が救済されるのか、重大な懸念があります。
「困惑」類型に固執せず、わが党も修正案で提起したように、「個人を、適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、または当該個人がそのような状態に陥っていることに乗じ、寄付の勧誘をしてはならない」ことを明らかにする条文に改めるべきです。また、統一協会に対して、高額寄付を受け取った場合に帳簿の作成を義務づけ、寄付をした本人から求められた時は帳簿の開示を義務づけるべきです。
第2に、自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥らせないことなどを禁止行為とせず、法案第3条にいう配慮義務にとどめたことです。明確に禁止行為とし、取り消し権、また勧告、命令という行政措置の対象とすべきです。
債権者代位権の特例についても、本人がマインドコントロールされ取り消し権を行使しないとき、家族が取り消す「立証は難しい」ことは明らかです。取り消し権の行使期間は、民法の原則通り、20年とすべきです。
岸田首相は、自民党と統一協会の癒着によって被害を拡大させた責任を問われ、最後まで答弁を避けました。その根本には、岸信介元首相以来、自民党政治が統一協会と反共、改憲、ジェンダー平等への敵対で一致し、相互に利用し合い、重大な人権侵害の後ろ盾、広告塔になってきた、半世紀を超える深い癒着があります。
政府はすみやかに統一協会の解散命令を裁判所に請求すべきです。国会が2年の見直し期間を待つことなく、統一協会問題の議論を正面から続け、全ての被害者の全面救済の方策を具体化していくことを呼びかけます。