2022年12月10日(土)
統一協会 被害者救済法案
山添議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の山添拓議員が8日の参院本会議で行った統一協会の被害者救済法案に対する質問の要旨は次の通りです。
統一協会の加害行為の中核は、正体を隠して勧誘し、知らないうちに教義を植え付け入信させるという「信教の自由」の侵害にあります。法案は、統一協会による被害実態を十分踏まえたものとはいえず、被害者の主張・立証や裁判所の判断次第で救済が大きく左右されます。わが党が衆院で修正案を提出したのは、法案に看過できない不十分さがあるからにほかなりません。
禁止規定の4条6号は「寄付の勧誘をするに際し」、不安をあおりまたは不安に乗じて寄付が「必要不可欠と告げる」ことによって「困惑させてはならない」とし、これらすべてを満たす場合に取消権を行使できるという条文です。しかし、統一協会による被害は、勧誘され入信し、教義を植え付けられたもとで寄付するため、寄付の時点では「困惑」していないケースも多くあります。
岸田文雄首相は、マインドコントロールによる寄付は多くの場合不安に乗じた勧誘であり取消権の対象となると答弁しています。しかし、教義に基づく責任感や義務感から寄付した場合、寄付を勧誘する側には「困惑」しているとは見えず、行為の禁止規定として明確性を欠きます。
岸田首相は、入信から寄付までが「一連の寄付勧誘と判断でき、事後的に寄付当時困惑していたと考えた場合」には取消権の対象になると答弁していますが、「寄付の勧誘に際し」という文言では、入信から寄付までのタイムラグが長期にわたる場合まで含むと読むのは無理があり、被害者が「当時困惑していたと考えた」かどうかが判断基準では明確性も法的安定性も欠くのではありませんか。
寄付が重大な不利益を回避するために「必要不可欠」である旨を告げることも要件とされています。裁判で統一協会が「献金は自発的になされ、困惑していなかった」「不可欠とは言わなかった」などと反論し、被害救済が阻まれることのない明確な条文にすべきです。統一協会などの「宗教2世」らが設立した「宗教2世問題ネットワーク」も法案は被害実態と乖離(かいり)しているとして修正を求めています。
政府は全国霊感商法対策弁護士連絡会などから、統一協会による深刻な被害に関する情報を継続的に得てきましたが、解散命令請求はおろか、調査も行わず、逆に正体隠しに加担する名称変更まで認めました。共同通信の調査では、統一協会や関連団体と接点があった都道府県議は少なくとも334人、うち自民党が8割を超えたといいます。自民党として責任をもって調査し、地方議員を含めて統一協会との癒着を徹底解明すべきです。