2022年11月23日(水)
統一協会・被害救済新法 政府案「概要」について
2022年11月22日 日本共産党
寄付の勧誘に関する一定の行為の禁止
政府案では、寄付の勧誘に際して、「寄付をすることが必要不可欠であることを告げること」により「個人を困惑」させることを要件としている。しかし、いわゆる「マインドコントロール」下を利用する場合、その都度「必要不可欠であることを告げる」わけではなく、「困惑させる」ことが多いわけでもない。統一協会による被害救済を図る上で大きな問題がある。
したがって、例えば「正常な(合理的に)判断ができない状態にあることに乗じた」勧誘を禁止するなどとするべきではないか。
借り入れ等による資金調達の要求の禁止
・法人側の「要求」が要件とされ、自ら進んで寄付することは禁止されないのではないか。
・「借り入れや、個人等が居住する建物等の処分」が対象とされるが、事業用資産や生命保険金など重要な個人資産の処分についても含むべきではないか。
寄付の取り消し
・過大な寄付の勧誘についても取り消しの対象とすべきではないか。
・マインドコントロールから抜け出し、取消権を行使できるようになるまでには時間がかかる。政府案は取消権の行使期間を、マインドコントロールが解けたとき(本人が取り消しできるようになったとき)から3年、寄付した時から10年としているが短すぎる。少なくとも民法(126条)に準じて寄付した時から20年とすべきではないか。
子や配偶者に生じた被害の救済を可能とするための特例
「債権者代位」の仕組みを使うと、取り戻せる範囲が養育費などに限られ、金額が少なすぎるうえに、寄付した本人である親が「無資力」であることが必要で要件が厳しい。また、未成年の信者2世が親による寄付を取り消そうとしても、親権者である親が信者である場合には事実上、裁判ができず、救済が困難である。再検討が必要ではないか。
寄付等の受領についての記録の作成、開示の義務規定
統一協会は、信者に献金等をさせる際、領収書など受領の事実を示す書面を交付することがほとんどなく、長年にわたる被害の末に賠償請求しようとしても被害者側に記録がなく、被害の全体像を把握すること自体が困難となる。
1回につき一定額(例えば10万円)以上の寄付等を受領した場合には帳簿の作成を要することとし、寄付をした本人等から請求されたときは帳簿の開示を義務づける仕組みを設けるべきではないか。