2022年11月7日(月)
徹底追及 統一協会 信者2世編III(下)
青春を奪われた
集団結婚で海外へ
|
統一協会(世界平和統一家庭連合)信者の親が集団結婚して生まれた「祝福2世」の女性Aさん(30代)は、子どものころから信仰を強いられてきました。
「バイトをしたり、旅行をしたりなど普通の青春を送れませんでした。将来について考える時間もなかったです」とAさんは振り返ります。
幼いころから祈とうや断食、学生になってからは統一協会の学生団体であるCARP(原理研究会)で、ニセの募金活動などもやらされました。自由に恋愛をすることもできませんでした。
搾取され続け
そんなAさんは、18歳で開祖・文鮮明が相手を決める集団結婚をします。
「ずっと恋愛が禁止されていたため、誰かを好きになりたい気持ちが強く、若くして祝福を受ける人が多かったです」
夫は海外に暮らしていました。大学を卒業してから夫のいる国へ向かいました。その間に夫に会えたのは3回だけ。CARPの活動で忙しく、旅費をためる時間がなかったといいます。
統一協会は、結婚相手を決めるだけで、ビザや渡航費用を用意しません。Aさんらは、日本で夫婦生活を送っていないため、ビザを取るのも一苦労。国際カップルのブログを見ながら、ひとりで準備しました。
夫は学生でまともな収入はありません。言葉もままならず、右も左も分からない土地で出産。その直後から生活費を得るためスナックで働きました。
一緒に暮らしていた義両親も統一協会の信者でした。しかし、日本と比べて高額な献金がなく、先祖の怨念を解くなどと称する「先祖解怨(かいおん)」の金額も安いことにショックを受けました。
それでも、周りの家庭と比べて貧しく、Aさんは毎月義両親に6万円の生活費と、孫の世話代として数万円を払いました。さらに、夫の奨学金ローンを支払うと、手元に残るお金はわずかだったといいます。
「スナックに来るお客さんはみんな幸せそうなのに、どうして自分は搾取され続けているのだろう。文鮮明が望んでいることなのか」
お金を借りて
洗脳され、信じていれば救われると思っていたAさんでしたが、夫の奨学金ローンは1000万円に膨らんでいました。
「このまま生きていたら自分の人生を楽しめない。子どもも苦労する」。離婚を決意します。
しかし統一協会では離婚がタブーです。母親は、Aさんの離婚の話を聞き駆け付けました。離婚をやめるよう説得するため、渡航費を親戚に借りてまで来たのです。
「私が子どもを出産し大変だった時、親は献金を優先し『お金がない』と言って、来てくれませんでした。私の苦労よりも統一協会が大事なんだと知りました。信者になっていいことはありませんでした」(信者2世編その3 おわり)