2022年10月20日(木)
解散請求 民法も該当
首相、政府解釈を1日で変更
野党の追及と世論に押され
統一協会への対応をめぐって、岸田文雄首相は19日の参院予算委員会で、宗教法人の解散命令請求が認められる法令違反の要件に「民法の不法行為も該当する」として、要件を刑法罰に限定した前日の政府解釈を覆しました。立憲民主党の小西洋之議員への答弁。
岸田首相は、18日の衆院予算委で日本共産党の宮本徹議員の追及に対して「民法は要件には該当しない」と明言しており、わずか1日で逆の答弁に変えたことになります。
岸田首相は、改めて関係省庁と議論を行い、政府の考え方を整理したと説明。「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法の要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入り得る」と発言しました。
政府はこれまで、オウム真理教への解散命令の際に東京高裁が示した「刑法等の実定法規の定める禁止規範または命令規範に違反」などの基準をもとに、「刑法等」の部分を強調して民法上の不法行為は該当しないと主張してきました。
岸田首相は17日の衆院予算委で、民法上の不法行為などを理由に、統一協会に対して業務や管理運営を聞き取る「質問権」の行使を表明したものの、翌18日の衆院予算委では、民法上の不法行為では解散命令を請求できないと繰り返し強弁しました。
これに対し野党は、政府が解散命令請求の要件についての解釈を変えなければ、「質問権をいくら行使しても、統一協会の役員が刑事罰を食らわない限り解散命令請求をしないことになる」(宮本氏)、「解釈を変えない限り解散請求できない」(立民の長妻昭議員)といっせいに批判。こうした野党の追及と世論の批判に押されて、岸田首相は答弁を変更せざるをえなくなりました。