2022年10月7日(金)
徹底追及と建設的提案 岸田政権の姿勢を問う
衆院本会議 志位委員長の代表質問
日本共産党の志位和夫委員長は6日の衆院本会議で代表質問し、岸田政権による国葬強行、政府・自民党と統一協会の癒着を厳しく追及。また、物価高騰から国民のくらしと経営を守る二つの緊急提案を示し、岸田文雄首相の姿勢をただしました。
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「国葬」の強行
志位氏 敬意と弔意強制 憲法違反は明瞭
首相 中心問題に一切こたえず
志位氏は、岸田首相が国民多数の反対を無視し安倍晋三元首相の「国葬」を強行したことへ抗議。その上で「強行したことへの反省はないのか」とただしました。
岸田首相は、国民の批判を「真摯(しんし)に受け止めなければならない」とし、「検証を行う」と述べました。
志位氏は、岸田首相が8月10日の記者会見で「国葬」を「故人に対する敬意と弔意を国全体として表す儀式」と明確に定義したが、日本の国の主権者は国民であり、「国全体として」とは「国民全体として」ということになると強調。「国葬」の実施は敬意と弔意の強制になり、憲法19条の「思想及び良心の自由」の侵害になることは明瞭だと迫りました。
志位氏はまた、岸田首相が「一人ひとりに弔意を強制するものではない」としながら、実際の「国葬」の場では首相や菅義偉前首相が「安倍氏を天まで持ち上げる礼賛演説を行い、それをほとんどのテレビ局が生中継した」と指摘。「中央官庁は職員に黙とうを指示し、ほとんどの都道府県が半旗や弔旗を掲げた」として、「直接・間接に敬意と弔意の強制が行われたではないか」と追及しました。
岸田首相は、「弔意表明の強制であるとのご指摘はあたらない」と強弁し、「国葬」が憲法違反だとの認識を一切示しませんでした。
統一協会問題
志位氏 「反社会的」の認識あるか 「断絶」いうなら調査こそ
首相 「新たな調査は予定していない」
志位氏は、統一協会について、正体を隠した「伝道」活動、霊感商法や高額献金、当事者の意思を無視した集団結婚など、数々の反社会的行為のいずれも違法判決が確定している事実を提示。「統一協会が反社会的団体であるという認識があるのか」と首相自身の認識を改めてただしました。岸田首相は、「社会的に問題が指摘されている団体である」と事実を指摘するのみで、自身の統一協会への認識は依然として示しませんでした。
志位氏は、統一協会と自民党の深刻な癒着が、統一協会による被害を拡大してきたと批判。「自民党の多くの政治家が、統一協会の『広告塔』として利用され、被害を拡大してきたという反省はあるのか」と迫りました。岸田首相は「結果として、当該団体の信頼を高めることがあったとの指摘については、重く受け止める」と述べる一方で、反省の言葉は一つも語られませんでした。
志位氏は、岸田首相が「統一協会との関係を断つ」と発言したものの「行動が伴っていない」として五つの問題点を提起しました。
第一は、自民党の対応が、統一協会との「接点」を所属国会議員個々人に「自己申告」させるという議員まかせの対応であることです。岸田首相は、自民党としての調査を否定し、「今後は関係を持たない」との釈明に終始しました。
第二に、大臣、副大臣、政務官、補佐官など第2次岸田政権の国会議員80人のうち、統一協会と接点や関係があった議員が36人にものぼっているにもかかわらず、「政府としては、何の対応も行っていない」ことです。この点でも岸田首相は、「それぞれが旧統一協会との過去の関係を調査説明する」と、政府としての調査も否定しました。
第三は、統一協会の「名称変更」をめぐって行政がゆがめられた疑惑について放置していることです。岸田首相は、「政治家や大臣の政治的な関与や圧力はなかったと報告を受けている」と強弁。「今後新たな調査は予定していない」と疑惑への説明責任を放棄する態度をあらわにしました。
第四に、統一協会の最大の「広告塔」だった安倍晋三元首相の調査に「限界がある」と背をむけていることです。岸田首相は「ご本人の心の問題」「十分な調査はできない」などと無責任な答弁を繰り返しました。
第五に、自民党と統一協会が、笹川良一ら日本の右翼と岸信介元首相らが発起人となって、統一協会と一体の「勝共連合」を日本で発足させて以来の歴史的癒着関係にあることです。岸田首相は、「特定の団体と癒着し、不当な影響を受けていることはない」とはぐらかしました。
志位氏は最後に、重大な反社会的行為をいまなお続けている統一協会に、「宗教法人としての税制上の優遇などを続けることにはまったく道理がない」と批判し、宗教法人法に基づく解散命令を請求すべきだと迫りました。岸田首相は、「判例を踏まえて慎重に判断する必要がある」と述べるにとどまりました。
物価高騰・暮らしと経営
志位氏 中小企業の賃上げ支援 消費税5%への減税を
首相 「慎重な検討必要」「減税考えていない」
物価高騰の最大の要因は、異常円安です。日銀は9月22日、「異次元の金融緩和」政策の維持を決定。政府は、異常円安と物価高騰がさらに進むことは分かっているのに、やめるにやめられません。
志位氏は「アベノミクスによる金融政策が完全に手詰まりに陥っているという事実を認めるのか」と質問。岸田首相は「金融政策については、出口の考え方を含め、具体的な手法は日銀に委ねられるべきだ」などと責任転嫁しました。
志位氏は、「日本が『賃金が上がらない国』から抜け出せないところに(金融政策の手詰まり)の最大の原因がある」と指摘し、首相に対して二つの緊急提案をしました。
第一は、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強化することです。
この10年間、政府が賃上げ政策の柱としてきたのは「賃上げ減税」でしたが、この制度は黒字企業しか対象にならず、実質賃金は上がるどころか年間平均27万円も減少しました。志位氏は「この政策の失敗を直視し、実効ある賃上げ政策への抜本的見直しをはかるべきだ」と主張。とりわけ、最低賃金1500円の実現に向け、中小企業の賃上げへの直接支援を抜本的に強めるよう要求しました。
岸田首相は、最低賃金について、「過去最高となる全国の加重平均で31円の引き上げを行っている」と不十分な引き上げを誇ってみせました。
日本共産党は、大企業の内部留保の増加分に時限的課税を行い、大企業で働く労働者の賃上げを促進するとともに、10兆円の税収を中小企業の賃上げ支援に使う政策を提案しています。志位氏は、「この提案を真剣に検討すべきではないか」と迫りましたが、岸田首相は「慎重な検討が必要」と拒否しました。
第二は、消費税を緊急に5%に減税し、医療費の負担増を撤回することです。
物価高騰の影響は、所得の少ない人ほど深刻です。志位氏は「消費税5%への減税こそ暮らしを守るうえで最も効果的な対策であることは明らかだ」と強調。消費税減税とインボイス導入の中止を求めました。
岸田首相は「消費税減税は考えていない」と拒否。インボイス導入も強行する考えを示しました。
物価高騰の最中、年金が減らされ、さらに10月から75歳以上の医療費窓口負担を2倍に増えました。志位氏は、「受診控えが健康悪化を招き、逆に医療費の増大につながる悪循環を引き起こす」と危険性を指摘。医療費負担増政策を中止し、軽減のかじを切るよう求めました。岸田首相は「配慮措置を講ずることで、必要な受診の抑制を招かないようにする」などと述べるのみで、2倍化を強行する姿勢を示しました。
新型コロナ対応
志位氏 医療供給体制の抜本的強化こそ政治の責任
首相 無為無策の反省なし 拡充・強化触れず
志位氏は、岸田首相が3日の所信表明演説で「行動制限を行わずに、今年の夏を乗り切れた」と語ったことを「おどろいた」と批判。「(コロナ拡大の)『第7波』による死者が1万3000人を超え、最悪となっている現実が見えないのか。無為無策、成り行き任せの対応への厳しい反省を強く求める」と迫りました。
岸田首相は「約1100万人が感染し、1万人以上が亡くなった」と事実を認めましたが、反省はしませんでした。
志位氏はまた、政府が今後、発熱外来の受診対象を、高齢者や基礎疾患のある人、子ども、妊婦に絞り、それ以外の患者は、自己検査と自宅療養を求める「療養の考え方の転換」を進めていることに言及。
「今年の冬にかけて新型コロナとインフルエンザの同時流行が危惧されるもとで、高熱に苦しむ患者が医療を受けられない事態が、さらに深刻化しかねない」と警鐘を鳴らしました。
その上で、医療へのアクセスを制限する制度改変ではなく、「医療供給体制を抜本的に強化、拡充することこそ政治の責任ではないか」と質問しました。
岸田首相は、現行の体制を述べるだけで、医療提供体制の拡充・強化には全く触れませんでした。
辺野古新基地反対
志位氏 沖縄知事選で明確な争点となり県民審判
首相 民意無視、「唯一の解決策」に固執
「オール沖縄」の玉城デニー知事が自公推薦候補に圧勝した沖縄県知事選挙。志位氏は「この選挙で示された民意をどう受け止めるか」と岸田首相に問いただしました。しかし岸田首相は、「世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化を絶対に避けなければならない。これは地元の皆さんとの共通認識だ」と述べるのみ。辺野古反対を明確に掲げた知事を県民が選んだことについて全く触れませんでした。
志位氏は、知事選での「オール沖縄」候補の勝利は3回連続だと指摘。さらに、「自公推薦候補が辺野古新基地建設の加速を公然と公約に掲げ、辺野古問題が明確に争点になった上での審判だ」と強調し、「『辺野古移設は主要な争点ではなかった』などの言い逃れをする余地はもはや全くない」と断じました。
その上で志位氏は、知事選で示された民意は「辺野古新基地建設中止、普天間基地閉鎖・撤去」にあることをはっきりと認めるよう要求。「『辺野古が唯一の解決策』などという破綻した理屈は撤回すべきだ」と強く迫りました。
岸田首相は、「辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づき着実に工事を進めていく。引き続き地元の皆さまの理解を得る努力をする」と従来の答弁に終始。民意無視を貫き、新基地建設を推し進める強権的な姿勢をむき出しにしました。