2022年9月27日(火)
安倍氏と統一協会 深い関係
議員レベルにとどまらず
自民と癒着の疑惑
「国葬」の対象である安倍晋三元首相こそが統一協会の最大の広告塔だった―。安倍「国葬」をめぐる国民の最大の疑念の一つがここにあります。
「しんぶん赤旗」(昨年9月18日付)は、安倍元首相が統一協会系の「天宙平和連合(UPF)」が開いた集会にビデオメッセージを送り、「朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁(統一協会総裁)をはじめ、皆さまに敬意を表します」と述べていたことを特報しました。
頂点に元首相
いま自民党議員と統一協会との底知れぬ癒着が問題となっていますが、いわばその「頂点」にいたのが安倍元首相です。
その背景には、安倍氏の父・安倍晋太郎元外相、祖父・岸信介元首相にさかのぼる「安倍3代」の統一協会との深い結びつきがあります。
岸元首相は、統一協会と表裏一体の「国際勝共連合」を日本に導入した際(1968年)の発起人の一人。統一協会と国際勝共連合は、岸氏が主唱した「自主憲法制定」運動を支援し、草の根で革新自治体の転覆に狂奔します。
岸氏の娘の夫である安倍元外相も統一協会と関係があり、1973~75年の3回、国際勝共連合の機関紙に名刺広告を出しています。
UPFジャパンの梶栗正義議長(勝共連合会長)は昨年10月中旬、都内で行われた統一協会の日曜礼拝で、「(晋三氏との)信頼関係がいったいどうやってできたのか。一朝一夕の話ではないんです」として、晋三氏と会食した際、岸元首相や晋太郎氏と協会幹部の写真を持参し、「『3代のお付き合いだ』『3代の因縁である』とお見せした」と語っています。また、安倍氏の実弟、岸信夫前防衛相(現首相補佐官)も、統一協会とは選挙応援を含む深い関係をもってきました。
岸元首相を源流とする自民党の派閥「清和政策研究会」では、晋三、晋太郎両氏も会長を歴任し、同じく会長だった福田赳夫元首相、三塚博元運輸相、細田博之衆院議長も統一協会との浅からぬ関係がありました。
安倍元首相と統一協会の関係の深さは、「票」の差配にまで及んでいます。
司令塔の役割
元参院議長の伊達忠一氏が、北海道テレビ放送に対し、2016年の参院選に全国比例で出馬した自民党の宮島喜文氏を応援するにあたり、安倍氏に統一協会の組織票を回すよう依頼したと証言。この時、安倍氏の了解を得て宮島氏は初当選を果たしたものの、今回の参院選では安倍氏から「今回は井上(義行)で」などと拒否されたため、宮島氏は出馬を辞退する展開になったというのです(7月28日放映)。
安倍元首相の秘書官だった井上義行氏は、19年の参院比例代表では8万8000票余りで落選しましたが、今夏の参院選では約16万5000票と、19年の倍近い得票で当選しました。井上氏は、自身が統一協会の賛同会員であったと認めています。
安倍元首相が、首相の地位にあって統一協会の会員「票」を差配する司令塔の役割を担っていたとすると、まさに、個々の議員レベルにとどまらない自民党と統一協会の明確な癒着関係に発展する重大な疑惑です。その解明なしに自民党の責任は果たされません。(中祖寅一)