2022年8月17日(水)
徹底追及 統一協会 闇勢力編(中)
勝共連合と公安
「反共」で ずぶずぶの関係
消えた「特異集団」
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東日本地域にある公安調査庁の出先機関。部署内で幹部らが、オウム真理教を調査する段取りなどを議論していました。
「こんちは」。突然、部外者の男性が気軽な様子で部屋へ入ってきました。
議論を横で聞いていた公安調査庁職員の西道弘氏は、男性を外につれだそうと走り寄ります。あわてていたためか、西氏は滑って転倒。上の前歯を折ってしまいました。
入室してきたのは、国際勝共連合の地方組織の幹部。勝共連合は、統一協会(世界平和統一家庭連合)の開祖、文鮮明がつくった反共謀略集団です。
部外者入室
「部外者が勝手に入ってくることなんてありえない。そんなことできるのは、この男性だけだった。私が統一協会を担当する前は、よく部署内にきていた。ずぶずぶの関係だった」と西氏は振り返ります。
公安調査庁の公表資料『内外情勢の回顧と展望』では、かつて「社会通念とかけ離れた主義・主張」を掲げた「特異集団」として統一協会を指す記述がありました。それが2007年の資料からは、「特異集団」の項目そのものが消えます。当時は第1次安倍晋三政権でした。
「以前、内部資料に『特異集団』という項目があった。統一協会は、たしか『A1』と記されていた。アルファベットと数字が若いほどカルト性が高いということだったと思う。『回顧と展望』から消えた経緯は知らない」
公安調査庁自らが「特異」とする団体となぜ、ずぶずぶの関係となるのか―。
西氏はかつて先輩職員と宿直勤務をしていたとき、統一協会についてこんな議論になったと振り返ります。
西氏 「統一協会はカルト集団です。なぜ当庁(公安調査庁)はああいうやつらと付き合うのでしょう」
先輩職員 「何をいうか! あの人たちは共産主義とたたかっている立派な人たちで、ウチにもよく協力してくれているんだ!」
統一協会の政治団体である勝共連合は、単なる「反共」ではなく、共産主義の思想そのものを撲滅しようという団体です。
密接不可分
統一協会の田中富広会長は10日の記者会見で「協会の基本姿勢は共産主義との対峙(たいじ)だ。その視点から言うと自民党の議員の方々がより多く接点を持つことがある」と本音を語りました。
勝共連合初代会長の久保木修己・統一協会初代会長(当時)は、さらに踏み込んで勝共連合の役割を著書に記しています。
―勝共運動は「神主義」を基本としている。単なる政治運動ではなく、宗教理念をベースにした国民教育運動だ。共産主義の本質は神への反逆思想である…。
勝共運動と自民党の支援は、統一協会の理念や活動と密接不可分だというのです。
西氏ははっきりとした口調でこういいます。
「社会問題になった霊感商法を半世紀も続けている団体だと知ったうえで公安調査庁や自民党は統一協会と付き合っている。左翼勢力に対して共闘する仲間意識がある。『反共』であればなんでもいいわけです」(つづく)