2022年8月16日(火)
徹底追及 統一協会 闇勢力編(上)
勝共連合と公安
“汚れ仕事”担当
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東京都近郊のターミナル駅近くにある喫茶店で、50歳がらみの男性2人が向き合っていました。
色白で眼鏡をかけた小太りの男性が、もう片方の男性に1冊の雑誌を渡します。『世界思想』。統一協会(世界平和統一家庭連合)の政治団体「国際勝共連合」の機関誌です。
渡された男性は、雑誌と引き換えのように、茶封筒を取り出し渡しました。封筒の中身は1万円札1枚です。『世界思想』の定価は1千円にもかかわらず…。
封筒を渡した男性は、当時、公安調査庁職員だった西道弘氏。
情報提供料
「情報提供料ですよ。1万円は資料代として公安調査庁に請求していたように思います。まあ『世界思想』なんて統一協会のプロパガンダで役にたちませんが」。西氏は少し甲高い声でそう証言します。
相手の男性は何者か―。
「勝共連合の地方組織の幹部でした。月に1回ぐらい会っていたかな。相手から連絡が来ることが多いが、こちらから『そろそろ会わないか』ということもあった。だいたい30分から1時間程度でした」
勝共連合は統一協会が1968年4月1日に設立。統一協会は共産主義=悪魔と位置づけ撲滅の対象としています。勝共連合は反共謀略ビラの配布など、自民党が公然とできないような“汚れ仕事”を担当。まさに日本政治の闇勢力です。
勝共連合の男性は、統一協会の開祖、文鮮明を「文先生」と呼び、妻の韓鶴子・現総裁ら文一族を「様」付けで呼んでいたといいます。「統一協会の信徒に間違いないですね」と西氏は振り返ります。
西氏は公安調査庁の出先機関にいた十数年前に、業務で統一協会関連も担当していました。
公安調査庁とは国民に対して日常的にスパイ活動をしている政府の組織。盗聴、脅迫、金品の提供などによるスパイ工作といった違法で卑劣な手法をとってきました。とくに日本共産党や民主団体を目の敵として監視している、いわば“秘密警察”です。
大衆協力者
西氏に質問しました。
―スパイ組織が勝共連合=統一協会のメンバーと会ってどんな話をするのか。
「相手は地元の共産党の動向を話していました。地方選挙の情勢とかでしたね。自民党国会議員の選挙を手伝ったとかも話していました。正直たいした情報はないのです」
―それでも会っていた?
「『大衆協力者』という位置づけでした。企業の危機管理担当や官公庁の労務担当とかと同じです」
統一協会は公安調査庁にとってどんな利用価値があったのか―。西氏はこう続けます。
「公安調査庁にとって『反共』という点で統一協会は友好団体みたいなものなのですよ」(つづく)
(統一協会取材班)
統一協会の正体、政界との関係、そして被害の実態を連載で追及していきます。