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2022年8月7日(日)

主張

統一協会名称変更

岸田政権は全経過を公表せよ

 旧統一協会と自民党との深い関係をめぐり、旧統一協会の名称変更を文化庁が認めた経過の解明が焦点の一つになっています。長年認められなかった改称は2015年、安倍晋三政権下で認証されました。当時、文化庁を所管する文部科学相は下村博文衆院議員で、安倍元首相側近の一人です。下村氏は「直接指示したわけではない」などと関与を否定しますが、文化庁は必要な情報を開示しようとせず、疑惑は深まります。名称変更は、旧統一協会の被害を拡大させた機会になったとされており、曖昧にできません。岸田文雄政権は全経過を明らかにすべきです。

「下村氏の意思働いた」

 旧統一協会は1997年ごろから正式名称を「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変更することを文化庁宗務課に求めてきました。しかし、同課は、団体の実体が変わっていないのに名前だけ変えることはできないと認めませんでした。ところが、2015年6月に旧統一協会は名称変更を申請すると、同年8月に認証されました。

 方針転換の理由は不明です。文化庁は7月末、日本共産党の宮本徹衆院議員に名称変更を認証した際の文書などを提出しました。しかし、変更理由にかかわる記述は全て黒塗りです。文化庁側は「(旧統一協会の)利益を害する恐れがある」と言いますが、どこが利益侵害にあたるのか説明はありません。黒塗り解除は不可欠です。

 注目されるのは、前川喜平・元文科事務次官の証言です。同氏は旧統一協会の名称変更の求めを拒んだ時期の文化庁宗務課長で、変更が認証された時は、文部科学審議官でした。前川氏は5日、6野党・会派のヒアリングで、15年に当時の宗務課長が認証を行うと説明に来た際、前川氏はすべきでないと意見を述べたものの認証されたと説明し「何らかの政治的な力が働いているとしか考えられない」と述べました。また前川氏は、審議官を上回る判断ができるのは事務次官と大臣しかおらず、「下村さんの意思が働いたことは100%間違いないと思っている」と語りました。下村氏は説明責任を免れることはできません。

 しかし、下村氏は「全く関わっていない」(7月21日)、「受理しろとか申し上げたことはない」(8月3日)、「直接指示したわけではない」「政治的圧力があったのではと言われるのはすごく迷惑だ」(同4日)と否定に躍起です。

 旧統一協会の被害救済にあたる全国霊感商法対策弁護士連絡会は15年3月、下村氏に、正体を隠して資金や人材の獲得をしようとしていると強く警告し、名称変更を認めないよう申し入れていました。危険は認識できたはずです。「今となっては責任を感じる」「社会的な問題を生じさせているのは事実。今後は関係団体を含め一切関係を断つ」(4日、下村氏)と言って済む問題ではありません。

徹底的に解明すべきだ

 岸田首相は6日、内閣改造と自民党役員人事を近く行うと表明しました。内閣改造を機に閣僚らに旧統一協会との関係の点検を求めると述べました。なぜ今まで放置してきたのか。本人任せにせずに徹底解明し、反社会的カルト集団との関係をきっぱり断ち切るべきです。内閣改造で幕引きすることは絶対にあってはなりません。


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