2022年8月5日(金)
徹底追及 統一協会
霊感商法で引責辞任の会長
復帰後に名称変更申請
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2009年に霊感商法が摘発され引責辞任した旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の徳野英治会長(当時)が、その後会長に復帰し15年に名称変更を文部科学相に申請していたことが4日、分かりました。申請当時も霊感商法の被害は続いており、変更を認証した政府の責任が問われます。
捜査当局は09年ごろに旧統一協会の霊感商法を全国で摘発しました。同年6月には同協会ダミーの印鑑販売会社「新世」(東京都)社長らを、「先祖の因縁がある。このままでは家族が不幸になる」と不安をあおって高額な印鑑を購入させた特定商取引法違反容疑(威迫・困惑)で逮捕。協会の施設にも家宅捜索が入りました。
新世事件は東京地裁で有罪が確定しています。判決は、「信仰と混然一体となっているマニュアル」をもとに、「統一協会の信者を増やすことをも目的」として行われたと認定しています。
徳野氏はこの事件をうけて09年7月13日に会長職を辞任すると表明。旧統一協会系の「世界日報」(同14日付)によると、徳野氏は会見で、家宅捜索などに「道義的責任を痛感する」「世間をお騒がせし、多大な迷惑を掛けた」と謝罪していました。
徳野氏は12年12月27日に会長に復帰(20年10月に会長交代)。15年6月2日には、当時の下村博文文科相に名称変更を申請し、認証を受けました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、徳野氏が再就任した直後の13年から名称変更申請があった15年までの3年間で、被害相談件数は598件、被害額は約30億円にのぼります。同弁連は会長に復帰した徳野氏に、被害者への返金などを求め公開質問状も出していました。
文科省の外局、文化庁は霊感商法を繰り返す旧統一協会に名称変更を申請させてきませんでした。安倍晋三政権下の15年に突然方針を変更して申請を受理。事前に下村文科相へ報告していました。(統一協会取材班)