2022年8月4日(木)
旧統一協会系イベント
実行委に地方議員ら 各地で開催、自治体が「後援」
「平和」を隠れみのに
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旧統一協会(世界平和統一家庭連合)関連団体が開催するサイクリングイベント「ピースロード」が、実行委員会に地元選出の国会議員や地方議員を参加させたり、自治体に「後援」させるなどして、旧統一協会の隠れみのとなっていることが明らかになりました。来春の統一地方選に向けて、地方政治の場でも反社会的カルト集団・旧統一協会との決別が争点となりそうです。
イベントは毎年、中央実行委員会と、都道府県に一つか複数の実行委員会を設け、地元選出議員や旧統一協会関係者が参加。「ピースロード」の公式ホームページ(HP)上では、SNSや報道などで議員・首長の参加が問題となるなか、過去のイベントを記録したページが相次ぎ削除されています。
本紙が入手した削除前の2020年の記録を残したページでは、同年の中央実行委の中に岡山県議の名前が記されていました。また、地方ごとの実行委には、少なくとも16道府県で、実行委員長、副実行委員長、顧問といった役職で国会議員4人、地方議員21人の名前を確認しました。構成メンバーを明らかにしていない実行委もあり、さらに多くの地元選出議員が参加していた可能性があります。
このイベントは、旧統一協会の関連団体「平和統一連合」が主催し、13年に始まった「ピースバイク」が起源。旧統一協会が編さんした雑誌『トゥデイズ・ワールド・ジャパン』によると、統一協会の創始者である文鮮明の死去1年を追慕する記念行事の一環として企画されました。
文鮮明の妻で、家庭連合総裁である韓鶴子は翌年、このイベントを高く評価し、「ここに参加した全ての兄弟姉妹たちは、一つの心、一つの志となりました」と絶賛しました。
旧統一協会が家庭連合に名称を変更した15年、同イベント名も「ピースロード」と改称。旧統一協会の関連団体が前面に立ったイベントから、地方ごとの実行委に地元選出の国会・地方議員を取り込んで協会色を薄め、さらに自治体に「後援」を申請することで、公益イベントであるかのようなお墨付きを得ることに成功しました。
自転車のライダーたちは、各地で自治体の首長を表敬訪問し、千羽鶴を渡すなど、「平和」をアピール。地元議員や首長と写真を撮って、SNSを通じて“蜜月ぶり”が拡散されました。なかには、イベント自体に参加した議員もいたといいます。自転車に乗るライダーの多くは旧統一協会の信者2世です。
地方議員のイベント参加や、自治体の「後援」が明らかになると、関係者から「旧統一協会との関係は知らなかった」という釈明が聞こえてきます。本紙の取材でも、「後援」を出した自治体の担当者は「申請書類だけでは旧統一協会とは確認できなかった」と答えています。しかし、公式サイトでは「文鮮明」の名前を出してイベントの理念を説明しており、「知らなかった」で済まされることではありません。(森糸信)