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2022年8月3日(水)

徹底追及 統一協会

親が多額献金 老後資金なし

「信者二世」被害救済求め声あげる

 安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者は母親が旧統一協会(世界平和統一家庭連合)の信者でした。同容疑者は母親が協会に多額の献金をするため子ども時代から経済的に苦しんできたとされます。この事件をうけ、協会に苦しめられてきた信者の子どもたちが救済を求めてネット上で声を上げています。両親が信者だという女性に思いを聞きました。(統一協会取材班)


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(写真)統一協会が被害者に4300万円で購入させていた釈迦(しゃか)塔(全国霊感商法対策弁護士連絡会提供)

協会の集団結婚

 「親は旧統一協会に献金しまくったので、老後資金がまったくない。私たち二世に養わせるのではなく、協会に金を戻させ信者の老後がなりたつようにすべきです」。そう語るのは、「祝福二世」の30代女性です。祝福二世とは両親が旧統一協会の集団結婚で結ばれ生まれた子どものことです。

 「両親は旧統一協会の開祖、文鮮明にマッチングされた。その子である私は、『文鮮明によってこの世に授けられた』という位置づけで信者扱いです」

 父親は協会の元幹部。協会のダミー団体で働いていました。ただ突然解雇されたうえ、社会保険をかけていなかった未納期間があるため、年金は月2万円程度だといいます。

 「旧統一協会は、生存権を侵害しています」とも。女性の実家には協会が高額な値段で買わせるつぼ、五輪塔、弥勒菩薩(みろくぼさつ)像、聖典などがありました。

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(写真)統一協会が信者らに売りつけた本。1冊3000万円の本には協会の開祖・文鮮明と韓鶴子夫妻の写真が掲載されています

法整備で一律に

 「“二世あるある”なのですが、親に借金があるか聞くと怒る。『お金に執着するなんて、あなたはサタンにとられる』『地獄におちる』と言われるので怖くて聞けない。自己破産は『万物復帰している』という考えで歓迎されると聞いたことがあります。サタンのもとにある宝を神=文鮮明にすべて出し切った証拠として祝福されることなのです」

 旧統一協会の霊感商法は2009年ごろに相次いで刑事摘発されます。協会の田中富広会長は事件後にコンプライアンス(法令順守)を徹底してきた、などとしていますが…。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会のまとめによると、10~21年の霊感商法の被害相談は2875件に上ります。女性は「09年以降も無理な献金は続いていると思います。昔のやり方を脱却するのはなかなか難しいでしょうから。それに09年以前の清算、反省はまったくしていない」と指摘します。

 無理な献金のため生活費は、資産家だった母の実家に頼っていたといいます。しかし祖父母が女性に残してくれた大学資金や自身が借りた奨学金も、実家の生活費に消えました。

 「訴訟で被害を救済するには、個人の負担が大きすぎます。法整備で一律に救済が必要だと思います。祝福二世を全員被害者とするなど、被害者を広くとらえて迅速に救済してほしい」

 旧統一協会 旧統一協会のかつての正式名称は「世界基督教統一神霊協会」でした。その実態はキリスト教とはまったく異なる反社会的なカルト集団です。このため本紙では「教会」とせず「協会」を使用しています。


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