しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年7月27日(水)

徹底追及 統一協会

協会と関係 政治家に恨み

容疑者の手紙とツイート

安倍元首相銃撃事件

「一生を歪ませた反社会的組織だ」

 安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件は、国内外に大きな衝撃を与えました。殺人容疑で逮捕された山上徹也容疑者(41)は、自身の母親が入信した旧統一協会(世界平和統一家庭連合)を恨み、協会側と「つながりがある」と考えて安倍氏を狙ったとされます。どんな理由があっても暴力は許されません。ただ、事件の背景にある旧統一協会の闇は徹底的に解明が必要です。山上容疑者は協会をどう見ていたのか―。(統一協会取材班)


写真

(写真)安倍晋三元首相が銃撃された現場の近くにある旧統一協会の施設=奈良市

 「母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産、この経過と共に私の10代は過ぎ去りました」

 山上容疑者は犯行の直前、旧統一協会を批判するブログを運営している男性に手紙を送り、同協会への約30年間の「因縁」をつづりました。

 「その間の経験は私の一生を歪(ゆが)ませ続けたと言って過言ではありません」と積年の恨みを書き連ねています。旧統一協会の開祖・文鮮明(2012年に死去)一族への強い殺意に触れながらも「私にはそれが不可能な事は分かっています」としています。

 なぜ、山上容疑者は安倍元首相を狙ったのか―。手紙で同容疑者は、安倍氏について「本来の敵ではない」とする一方で「現実世界で最も影響力のある統一協会シンパの一人」と記しています。

 安倍氏は21年9月12日、旧統一協会系の天宙平和連合(UPF)がオンラインで開いた集会にビデオメッセージを贈り、文鮮明の妻で同協会トップの韓鶴子総裁に「敬意を表します」と持ち上げました。ライブ配信された集会の動画は、複数のウェブサイトに転載されました。

 山上容疑者は逮捕後、ビデオメッセージの動画などをみて「(協会側と)つながりがあると思った」と供述したと報じられました。

 山上容疑者は、手紙の末尾に自身のツイッターのアカウント(現在は閉鎖)を記していました。

 本紙は、ツイートの内容を確認。山上容疑者は「オレが14歳の時、家族は破綻(はたん)を迎えた」とし、別のツイートで旧統一協会を「何十年も前から社会問題化し、もはや反社会的組織である事を覆しようもない」と批判していました。

 安倍氏が首相在任中の19年10月、山上容疑者は「オレが憎むのは統一協会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」と投稿。翌年11月にはニュースサイトを引用する形で「統一協会系閣僚9人」などと書き込んでいました。政治家との関係に注目していたとみられます。

 旧統一協会やその関連団体の行事への参加、会費の支出、それらの団体から選挙で支援を受けるなど、自民党を中心に少なくない国会議員が協会側と関わりをもっています。しかし、自民党は事件後も旧統一協会と政界の関係をめぐる調査と実態解明に背を向けています。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会は12日の会見で、山上容疑者の犯行を「いかなる理由があろうとも決して許されない」と批判。その上で、政治家が旧統一協会や関連団体の活動を支持するような行為は「厳に慎んでいただきたい」と重ねて強調しました。


pageup