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2022年7月26日(火)

徹底追及 統一協会

自民重鎮に食い込む

岸元首相が「飛躍のきっかけ」

 旧統一協会(世界平和統一家庭連合)は1960年代から自民党議員、それも首相経験がある重鎮に食い込んできました。最大の“功労者”は、岸信介元首相です。(統一協会取材班)


写真

(写真)旧統一協会の日本設立40年の歴史をまとめた『日本統一運動史』。文鮮明と岸信介元首相の会見写真(左側中段)や、文鮮明と福田赳夫蔵相(当時)が握手する写真が掲載されています

 旧統一協会が宗教法人として認証されたのは64年7月です。同協会関係者らがまとめた『日本統一運動史』によると、同年11月に本部を東京都渋谷区にある岸元首相宅の隣に移転。新本部の建物は、岸内閣の時に首相公邸として使われていたとしています。

「精神的連帯感」

 岸氏と同協会は一体どんな関係だったのか―。同協会初代会長の久保木修己氏は著書でこう記しています。

 ―岸氏はしばしば同協会や勝共連合の本部に足を運んだ。

 ―同協会と岸氏には「共有できる精神的連帯感」があった。

 ―岸氏と懇意にしたことは「勝共運動を飛躍させる大きなきっかけになった」。

 岸氏は、同協会の政治団体「勝共連合」の発起人に、右翼の大物、笹川良一や児玉誉士夫とともに名を連ねます。勝共連合は同協会と一体の組織。選挙で反共ビラを配布したり、自民党議員を支援したりしている謀略団体です。

 73年には同協会の開祖である文鮮明が岸氏と会見し、一緒に写真撮影もしています。

 同協会はその後、自民党との関係を深めていきます。74年に文鮮明、韓鶴子(現在の同協会総裁)夫妻が来日した際には帝国ホテルで晩さん会が開かれ、当時の福田赳夫蔵相(後に首相)ら国会議員が出席。福田氏は「アジアに偉大な指導者現る。その名は“文鮮明”である」(『日本統一運動史』)と絶賛しています。

 岸氏の孫で、福田氏がつくった自民党派閥「清和政策研究会」を引き継いだ安倍晋三元首相も同協会と関係を持ってきました。

 2006年には集団(合同)結婚を兼ねて開かれた「天宙平和連合」(UPF)の大会で当時官房長官だった安倍氏が祝電を送っています。UPFは文鮮明夫妻が総裁で、同協会のダミー団体です。安倍氏は「岸信介元総理大臣のお孫さん」と紹介されました。

 21年にはUPFの大会にビデオメッセージを送っています。その中で安倍氏は、「朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁をはじめ、皆さまに敬意を表します」と持ち上げています。

“お墨付き”与え

 全国霊感商法対策弁護士連絡会(対策弁連)は、国会議員に向け繰り返し、旧統一協会から支援を受けたり祝電を送ったりしないよう要請しています。旧統一協会が問題のない団体であるかのような“お墨付き”を与えることになるからです。

 しかし安倍氏は対策弁連からの抗議文を受け取り拒否するなど無視してきました。首相経験者らや自民党が庇護(ひご)、利用するなかで、同協会の活動が広がり、霊感商法の被害者がより多く生み出されてきた―そんな実態が浮かび上がります。


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