2022年4月13日(水)
シフト制で「留意事項」
活用して生活守ろう
勤務削減歯止め、休業手当の根拠に
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コロナ禍からシフト制労働者の雇用と生活を守る労働組合と日本共産党のたたかいが政府・厚生労働省を動かし、シフト制労働に関する使用者の「留意事項」の策定に結び付きました。
2020年4月のコロナ緊急事態宣言で、飲食店の店舗閉鎖が広がり、シフト制労働者に休業手当が支払われないという労働相談が多発しました。
飲食大手フジオフードシステムのカフェで働く30代の女性は2カ月の収入がほぼゼロに。同僚と一緒に首都圏青年ユニオンに加入し、雇用調整助成金を活用して休業手当を出してほしいと求めましたが、会社側は「金をくれと言えばもらえると思うのは甘えではないか」などと暴言をはいて拒否しました。女性は横浜地裁に提訴してたたかっています。
とんかつ・カツ丼の大手チェーン「かつや」では、会社が発熱した社員を出勤させたため、シフト制労働者たちが感染防止の判断で店舗を閉鎖したところ、大幅シフトカットの報復を受けました。40代の男性が青年ユニオンに加入し、労働審判を申し立てシフト回復を求めています。
コロナ以前から、シフト制を悪用して、脱法的な解雇、退職強要が行われていました。接骨院チェーン最大手(当時)のMJG(メディカルジャパングループ)は19年、受付職員300人を勤務シフトから外して賃金を支払わず、事実上の解雇。社長が雲隠れして倒産しましたが、神奈川県医労連MJG労働組合準備会を結成し、未払い賃金の解決や、事業譲渡先での労働条件確保に取り組みました。
支援金活用できず
政府はコロナ禍で休業補償を求める運動に押されて緊急に「コロナ休業支援金」を創設しました。しかし、事業主がシフトカットを「休業」と認めないため、活用できないシフト制労働者が多くいました。青年ユニオンと宮本徹衆院議員の厚労省要請で、月4日以上の勤務を6カ月以上していれば支援金を支給する「判断基準」をつくらせました。
首都圏青年ユニオンは21年5月、労働相談事例をもとに「シフト制労働黒書」を作成し、休業手当を支払うべき労働日・時間を確定する▽最低保障労働時間・賃金をつくる▽休業、失業時の生活保障拡充―などを厚労省に要請しました。
こうしたたたかいが今年になって策定された「留意事項」に反映されました。事業主が「コロナ禍は経営者の責任ではない」などと休業手当支払いを拒否した場合、「留意事項」では、事業外の事故が原因であっても、自宅勤務も含め他にできる業務があるのに休業させた場合などは、休業回避の努力を尽くしたとはいえないとの判断を示しています。
厚労相も認める
山下芳生副委員長は3月18日の参院予算委員会で「留意事項」で呼びかける最低限労働日数・時間数の合意が、シフトカットを受けた場合の休業手当支払いの根拠になるのかと確認。後藤茂之厚労相は「指摘の通りだ」と根拠になることを認めました。
青年ユニオンの原田仁希委員長は、「留意事項を活用し、最低保障労働時間・賃金の労使合意を結ぶよう求めていきたい」と強調。同時に、「企業が留意事項を無視しても罰則がない部分も残されている。引き続き、労働者保護の規制強化を求めて取り組む」と話しています。