2022年3月30日(水)
甲府上空 米軍機空中給油
墜落多発 危険な訓練
「海域しか実施せず」 防衛相答弁と矛盾
市民撮影で判明
米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)所属のKC130空中給油機が山梨県甲府市上空で空中給油を強行していたことが、市民が撮影した写真で明らかになりました。空中給油は難度が高く、墜落・衝突事故が頻発しており、陸地上空での給油は住民の命を脅かす極めて危険な行為です。
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写真は、甲府市在住の福田良二さん(64)が23日に撮影したもの。福田さんは同市を流れる荒川にかかる千秋(せんしゅう)橋付近でカワセミの撮影中、頭上を軍用機が飛行しているのに気づきました。主翼には「MARINES」(海兵隊)と記されており、機体番号は「109」となっています。同機は甲府市上空を東から西へ飛行し、左旋回。戦闘機2機が接近し、ホースを接続して空中給油を開始しました。福田さんは9日にも、ホースを伸ばしている軍用機と戦闘機を確認しており、甲府市上空での給油が常態化している可能性もあります。
米軍横田基地(東京都)の監視を続けている羽村平和委員会によると、24日に機体番号109のKC130が離陸。KC130は近年、横田への飛来を繰り返しています。
岩国基地所属の同型機は2018年12月にも高知県沖で空中給油中に戦闘機と接触し、両機とも墜落。乗組員6人死亡という大惨事を引き起こしました。
16年12月には、沖縄県名護市の海岸の浅瀬にMV22オスプレイが墜落。空中給油中、給油ホースがプロペラに接触したことが原因でした。翌年1月5日、空中給油訓練が再開されましたが、稲田朋美防衛相(当時)は同日の記者会見で「今後とも空中給油訓練は陸地から離れた海域の上空でしか実施しないと、陸地の上空では実施しないということも確認をした」と明言。稲田氏は同年2月22日の衆院予算委員会分科会でも「(陸地上空での給油制限は)オスプレイだけでなく、全ての米軍機にあてはまる」と答弁しており、今回の甲府市上空での給油との矛盾は明らかです。
第1海兵航空団は本紙の取材に、甲府市上空での給油の有無については回答を避けましたが、「われわれの運用は2国間の合意に基づいて行われている」と回答。陸地上空での給油自体は問題ないとの見解です。
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