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2022年1月27日(木)

アルプスの雪にプラ

大西洋から 2000キロ飛来のものも

 ヨーロッパアルプスには、目に見えない小さなプラスチックを含む雪が降り注いでいる―。スイス連邦材料科学技術研究所が25日、発表しました。周辺の大都市圏だけでなく、はるか遠くから飛んできたものも含まれているといいます。

 同研究所などの国際グループは、2017年の2月8日から3月19日にかけてヨーロッパアルプスの一角にあるオーストリアのホーエ・タウエルン山脈の標高3106メートルの地点に降った雪の表面を午前8時に採取し、含まれているナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)サイズのプラスチックの量を測定しました。

 その結果、溶かした雪1ミリリットル中に平均して46ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)のナノメートルサイズのプラスチックが含まれていることがわかりました。この値を1平方キロメートルに当てはめると1年間にナノメートルサイズのプラスチックが42キログラム降っている計算になるといいます。

 ヨーロッパの気象データをもとに、ナノメートルサイズのプラスチックの起源を推定したところ、主に半径200キロメートル以内の都市部から飛んで来たことがわかりました。しかし、中にはそれよりも遠いところから飛んで来たものも多く、大西洋など2000キロ以上離れたところから来たとみられるものも約10%を占めていると推定されました。

 研究グループは、今回の研究が空気中にナノメートルサイズのプラスチックが含まれていることを示すものだと指摘。人間が空気を吸うことでナノメートルサイズのプラスチックが血液中に入り、健康上の問題を引き起こす懸念があるとして、都市部や農村部、遠隔地での測定の重要性を訴えています。


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