2021年12月28日(火)
大阪府が読売新聞と包括連携協定
教育など8分野・万博も協力
大阪府と読売新聞大阪本社は27日、教育・人材育成、情報発信など8分野にわたる包括連携協定を締結しました。府が新聞社と包括連携協定を結ぶのは初めてです。
包括連携協定は「パートナーとして密接な連携により、府民サービスの向上、府域の成長・発展を図ることを目的とする」とし、連携事項は、教育・人材育成、情報発信、安全・安心、子ども・福祉、地域活性化、産業振興・雇用、健康、環境など8分野にわたっています。大阪・関西万博の開催に向けた協力なども盛り込まれています。
協定締結式には吉村洋文知事(大阪維新の会代表)、読売新聞大阪本社の柴田岳社長が出席。「権力監視や中立性はどう保てるのか」「巨大な行政機関が一つのメディアと特別な関係になるのは良くないのではないか」などの記者からの質問に、知事は「締結によって報道活動への制限、優先的な取り扱いはない。表現の自由、知る権利が協定で左右されるものではない」、柴田氏は「取材・報道とはいっさい関係がない協定となっている」と述べました。
ジャーナリズムの役割逸脱
「新聞うずみ火」代表・矢野宏さんの話 新聞社が府と提携協定を結ぶなどあり得ないことです。読売新聞が「広報読売」になってしまうのではないでしょうか。
読売新聞大阪本社社会部長だった恩師の黒田清さんは生前、権力の側ではなく、泣いている人、市民の側に立って物事を見ること、そうすれば見えないものが見えてくると言っていました。それがジャーナリストの一番の役割で権力の暴走を止めることになると、ジャーナリストの立ち位置を教えてもらいました。
大阪は維新政治が10年続いています。「取材・報道とは別」といってもなにがしかの影響はうけ、「大阪都」構想、カジノの問題など、市民、府民を二分するようなことを権力の側に立って論じていくことになりかねません。ジャーナリストのもう一つの役割である公平・中立な報道を逸脱する行為です。
読売新聞は「憲法改正試案」を発表しています。今回の件でもいかに市民から離れたメディアかが明らかになりました。現場の記者は頑張っています。信念をもっていい記事を書いてもらいたいと思います。