2021年12月28日(火)
主張
在沖米軍集団感染
米軍の「管理能力欠如」は明白
沖縄県の米海兵隊キャンプ・ハンセン(金武町など)で新型コロナウイルスの大規模クラスター(感染者集団)が発生している中で、同基地所属の隊員(伍長)が25日、那覇市内で酒気帯び運転で逮捕されました。21日にも同基地所属の隊員(上等兵)が北谷町で同じ容疑で逮捕されたばかりです。玉城デニー知事は「感染防止対策を徹底してきた県民の不安を全く理解していないだけでなく、軍の規律が著しく緩んでおり、管理能力も欠如している」(25日)と強く非難しています。これ以上、米軍任せにはできません。
基地外でまたも飲酒運転
キャンプ・ハンセンのクラスターは、27日朝の時点で感染者が計258人に上っています。これまで同基地の日本人従業員にはオミクロン株の感染者も出ています。
しかし、クラスター発覚後もキャンプ・ハンセンに所属する隊員らは行動の制限なく基地の中と外を行き来し、自由に飲み歩くことも許されています。同基地所属の隊員が酒気帯び運転で最初に逮捕された21日、デニー知事は、在沖縄米軍トップのビアマン四軍調整官に電話で直接申し入れ、同基地からの全軍人らの外出禁止を求めていました。
ところが、その4日後、同基地所属の隊員がまたも基地の外で酒気帯び運転で逮捕されました。しかも、容疑者はヘルメットを着けず、2人乗りで原付きバイクを運転していたといいます。デニー知事の申し入れはまったく無視されていることになります。
今回クラスターが発生したキャンプ・ハンセンの部隊では、米国からの出国時にPCR検査が実施されず、日本に到着してから5日後に初めて検査が行われていたことが判明しています。その後、在日米軍基地のすべてで同様の対応が9月以降取られていたことが明らかになりました。
松野博一官房長官の27日の記者会見によると、在日米軍は26日から日本に向かうすべての米軍関係者が出発72時間前に検査を実施することになったとしています。しかし、入国時の検査については「追加的に何ができるか検討したい」としているだけです。
デニー知事は21日の時点で感染症収束までのキャンプ・ハンセンからの外出禁止に加え、米本国から沖縄への軍人らの移動停止や水際対策徹底を求めていました。沖縄県の要望を正面から受け止めず、極めて不十分な措置しか取っていなかった米軍の姿勢は重大です。
林芳正外相は、新型コロナの感染防止対策で、在日米軍による措置が「日本側の措置と整合的でない」ことを認めています。その原因には、米軍に治外法権的な特権を保障している日米地位協定の問題があります。
日本側の検疫可能にせよ
地位協定によって米軍人は、旅券、査証(ビザ)、外国人の登録・管理に関するすべての日本の法令から適用が除外されています。検疫の規定はありませんが、同協定に基づく日米合意で「米軍関係者が直接、米軍施設・区域内に入国する場合は、米国が検疫手続き等を行う」(林外相)とされ、日本には権限がありません。
今や米軍の「管理能力の欠如」は明白です。地位協定を改定し、国内法を適用できるようにすることが必要です。