2021年12月26日(日)
医療動員6542人
第5波下のオリパラ
現場逼迫 批判のなか
東京五輪・パラリンピックに動員された医師や看護師など医療スタッフは、計6542人に上ることが分かりました。五輪・パラリンピックの期間は、国内で新型コロナウイルスの新規感染者数が爆発的に増加し、医療体制が逼迫(ひっぱく)した“第5波”と重なります。当時は医療界などから、医師、看護師らを動員することに強い懸念と批判が出ていました。(オリパラ問題取材班)
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五輪組織委員会が公表(22日)した資料で明らかになったもの。これによると、五輪期間(7月23日から8月8日)に動員された医師は1468人、看護師が1247人でした。ほかに理学療法士、臨床検査技師、歯科医師らも動員しており、五輪の医療スタッフは計4449人となっています。
パラリンピック期間(8月24日~9月5日)は、医師749人、看護師591人を動員。医療スタッフ全体では計2093人でした。
1日当たりのピークでみると、医師、看護師は約540人がいました。
厚生労働省の統計によると、全国の新型コロナ新規感染者数は、五輪の開会式当日に4212人でした。その後も増え続け、閉会式の日には1万4592人になっていました。東京都内では五輪期間中の8月5日に5149人が確認されました。
パラリンピックでは開会式当日の全国の新規感染者が2万1664人。その後は減少していったものの、閉会式の日はまだ1万2891人に上りました。都内では8月26日に4783人となっています。
感染が急拡大した第5波の時期には、入院できる病床が不足し、自宅で亡くなる人が相次ぎました。本紙は4月25日付で、五輪組織委が日本看護協会に看護師を約500人動員するよう要請したことを特報。この報道をきっかけに、医療スタッフ動員に抗議する行動がネットなどで広がり、五輪中止を求める世論が高まりました。他方、政府は五輪開催を強行しました。
この問題で、日本共産党の池川友一都議は24日の都議会五輪特別委員会で質問。池川氏は「五輪の時期に医療崩壊と呼ぶべき事態になった。コロナ対応に集中していた病院からの医療スタッフ派遣で(医療現場に)支障が出たことは明らかだ」と批判しました。(詳報)