2021年12月25日(土)
軍事費増10年連続 暮らし圧縮
22年度予算案閣議決定 最大の107兆円超
コロナ対策 予備費5兆円のみ
岸田文雄政権は24日、2022年度政府予算案と「税制改正大綱」を閣議決定しました。新型コロナウイルスのオミクロン株が登場するなど収束が見通せない中、対策は予備費の計上だけと極めて不十分です。社会保障はコロナ禍で脆弱(ぜいじゃく)性が明らかになったにもかかわらず、自然増すら圧縮するなど国民いじめが鮮明です。一方、軍事費は最高額に膨れ上がりました。「税制改正」には大もうけしている大企業にしか恩恵がない賃上げ減税が盛り込まれました。日本共産党の小池晃書記局長は同日、談話を発表しました。
国の基本的な予算規模を示す一般会計の総額は107兆5964億円と、当初予算として過去最大を更新しました。当初予算が100兆円を超えるのは4年連続で、過去最大を更新するのは10年連続です。
社会保障費として36兆2735億円を計上しました。社会保障費の自然増は4400億円としました。概算要求時の6600億円増から2200億円の圧縮です。診療報酬改定で薬価を引き下げたほか、後期高齢者医療の窓口負担を年収200万円以上の人を対象に現行の1割から2割に増やす制度改悪などで削減しました。
コロナ関連は5兆円を計上した予備費が中心。社会保障費に保健所の体制強化や水際対策の推進などが盛り込まれましたが、コロナ禍で経営危機となっている医療・介護施設への減収補填(ほてん)は盛り込まれていません。中小業者の事業支援や困窮者向けの給付金も盛り込まれませんでした。
沖縄振興予算は2684億円を計上。21年度当初予算から1割以上の削減です。3000億円を割り込むのは10年ぶり。とりわけ県が使途を決められる一括交付金は2割以上削減されました。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県へのいじめです。
軍事費は5兆3687億円(デジタル庁計上分318億円を除く)と過去最大になりました。当初予算で5兆円を超えるのは8年連続。第2次安倍晋三政権発足後の13年度から10年連続で前年度を上回り、8年連続で過去最大を更新しました。軍事費は21年度補正予算との合計で6兆1744億円となり、国内総生産(GDP)比で1・1%を超えました。
文部科学省は小学校での35人学級の推進などのために教職員定数を増やしました。ただ、増員以上に少子化の進展による自然減が大きいため、差し引きで3302人分の純減です。
内閣官房は情報収集衛星(スパイ衛星)の開発・運用のために21年度と同額の625億円を計上しました。9月に発足したデジタル庁は初の通年予算として4720億円を盛り込みました。デジタル庁の予算とは別に総務省はマイナンバーカードの普及に1027億円を計上しました。
「税制改正大綱」には岸田首相が総裁選時に提唱していた金融課税の見直しは盛り込まれませんでした。一方、政権の目玉とする賃上げ減税が盛り込まれました。ただ、法人税減税として実施するため、赤字企業や少額しか法人税を納めていない企業には恩恵がなく、賃上げ効果は見通せません。