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2021年12月23日(木)

南京大虐殺犠牲者数 政府見解に疑問

中国 発言の教員を解雇

「議論さえ許されない」の声

 【北京=小林拓也】中国の専門学校「上海震旦職業学院」の学部の一つ「東方映画学院」はこのほど、「南京大虐殺」の犠牲者数について政府の見解と異なる発言をした教員を解雇処分としました。学校側は、この教員が14日の「ニュース取材」に関する講義で「誤った発言をし、社会に深刻な悪影響を与えた」としています。中国の知識人からは、討論すら許されないとの声も聞かれます。

 中国メディアによると、解雇された教員は講義で、南京大虐殺の犠牲者数について、中国政府が主張する「30万人以上」という数字に対し「明確な証拠がない」と疑問を呈しました。受講していた学生がその動画をインターネット上に公表し、教員の発言を通報しました。一方、教員は南京大虐殺の事実については否定せず、「日本軍の行為は残虐で反人類的なものだ」と語っています。

 中国共産党の機関紙・人民日報は16日、SNSで「南京大虐殺で犠牲になった同胞の数30万以上には動かぬ証拠がある。勝手に推測し、歴史の真相を疑うとはそれでも教師か。苦難を忘れ、他国の悪行を否定するとは、それでも中国人か」と強く非難しました。

 中国のある大学教授は本紙に「南京大虐殺の犠牲者数は学問的問題ではなく、政治問題になっている。いまは討論すら許されない」と指摘。「ここ数年、学生が授業での教師の発言を問題視して通報などをするため、自分の考えを語ることができなくなっている。多くの教師は身の安全を考え、授業では教科書を解説するだけにしている」と大学の実情を語りました。

 南京大虐殺の犠牲者数については、1946年に中国国民党政府が行った南京軍事法廷で34万人以上と認定。中国政府はこれを犠牲者数30万人以上の根拠としています。


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