2021年12月23日(木)
診療報酬0.94%引き下げ 75歳以上2割負担10月から
予算閣僚折衝 自然増2200億円圧縮
2022年度予算編成をめぐる鈴木俊一財務相と後藤茂之厚生労働相の「閣僚折衝」が22日行われ、医療機関に支払われる診療報酬の22年度改定で全体を0・94%引き下げるなど、社会保障費抑制ありきのメニューを決めました。診療報酬全体の引き下げは実質5回連続で、コロナ禍があらわにした脆弱(ぜいじゃく)な医療体制の再生・強化に背を向けています。
診療報酬全体は2年に1度改定されます。今回は、薬の公定価格「薬価」部分などを市場価格との差を踏まえマイナス1・37%とする一方、医療従事者の人件費などにあたる本体部分は前回20年度改定すら下回る0・43%の引き上げにとどめ、診療報酬全体ではマイナス0・94%にします。国費約1300億円の削減となります。
12年末の安倍政権発足以降、全体の引き下げは14年度の消費税増税対応のプラス分を除いて毎回繰り返されてきました。こうした社会保障費抑制路線がコロナ禍のもと医療逼迫(ひっぱく)を現実にしたと批判が相次いでいます。
にもかかわらず、閣僚折衝では75歳以上の高齢者の医療費窓口負担(現行原則1割)に2割負担を導入する時期を、22年10月からとすることも決めました。「現役並み」とされた所得ですでに3割負担とされている人を除き、単身世帯で年収200万円以上、夫婦世帯で年収計320万円以上(ともに課税所得の要件あり)の約370万人が対象です。
年を重ねれば病気になりやすいのに、家計の苦しさで受診控え・健康悪化につながるのは必至です。一方、負担増によって22年10月からの半年で国費290億円を削減します。
診療報酬のマイナス改定や窓口2割負担の導入で生まれる財源を使って、高齢化などで当然増える社会保障費の伸び(自然増)の22年度見込み額6600億円を4400億円に圧縮することも決定。差額の2200億円が削減されます。9年間の安倍・菅政治で自然増分を約2兆円削り込んできた路線を継承・強化するものです。