2021年12月21日(火)
香港立法会選 投票率30.2%
過去最低 制度改変に「不信任」
親中派が議席独占
【北京=小林拓也】19日投票の香港立法会(議会、定数90)選挙は、20日に開票が終了し、1議席を除き親中派が議席を独占しました。投票率は過去最低の30・2%で、選挙制度改変や政権に不満を持つ多くの市民が棄権しました。
今回は、「愛国者による香港統治」原則により選挙制度が改変されてから初めての立法会選。民主派がほぼ排除されたため、市民の投票意欲が低下しました。直接選挙枠(定数20)の投票率は、過去最低の30・2%で、前回2016年の58%、19年区議選の71%を大幅に下回りました。香港メディアによると、「白票」などの無効票が投票総数の2%を占め、過去最高でした。
香港紙・明報が19日に行った調査によると、市民が投票を棄権した理由のうち「選挙制度への不満」が42・9%、「適当な候補者がいない」が40%を占めました。立法会選の投票を毎回してきたというある男性は明報に「選挙制度改変後はどの候補も同じになってしまい、投票は無意味になった」と棄権した理由を語りました。香港浸会大学の陳家洛(ちん・からく)准教授は20日付明報に「投票率の低さは、いまの制度に対する不信任だ」と強調しました。
立法会選で、約10人が「民主派」を名乗って立候補しましたが、全員大差で落選しました。選挙制度改変で、こうした候補も親中派の推薦を受けなければ立候補できないため、民主派を支持する市民の信頼を得られませんでした。
中国政府の香港出先機関である中央駐香港連絡弁公室(中連弁)は20日の声明で選挙結果について「『愛国者による香港統治』原則がさらに実行され、香港の特色ある民主主義の成功の実践となった」などと述べました。