2021年12月11日(土)
軍拡・改憲・歴史修正
補完勢力ぶり際立つ維新
臨時国会が始まり、各党が代表質問に臨む中、日本維新の会は、自公政権の補完勢力ぶりを際立たせています。維新の馬場伸幸共同代表は9日、衆院本会議の代表質問で「台湾有事」への対応について、「台湾有事は日本有事」などと発言し、日米同盟による共同の軍事対応と軍事強化を主張しました。
馬場氏は、米国が台湾周辺の平和と安定を維持する上で同盟国の協力を不可欠としているとして、「日本の軍事的役割が大きくなる」と主張。その上で、台湾海峡での有事に備えて「沖縄本島、先島諸島に手厚く自衛隊を配備し、在日米軍とのタッグで防衛施設・機能を充実させていくことが不可欠だ」と述べ、日米同盟強化による軍拡推進を前面に押し出しました。
また馬場氏は、改憲議論の活発化を主張。「今国会は憲法改正に向けた議論が軌道に乗るか否かの重大な試金石になる」として、憲法審査会開会の必要性を強調しました。岸田文雄首相は「積極的な議論が行われることを心から期待する」と答弁。こうした維新の姿勢は、多くの国民が望まない、台湾有事と連動した改憲議論を自民党などの改憲勢力と一体で推し進めようとする危険なものです。
歴史問題でも、馬場氏は、中学・高校教科書に「従軍慰安婦」との記載があるのは不適切だと主張し、「慰安婦」問題への旧日本軍の関与を認めて謝罪した「河野談話」(1993年)の撤回・見直しを求めました。「河野談話が慰安婦の強制性等を裏付ける証拠がないまま韓国側に配慮した虚構まみれの作文だったことは明らかになっている」などと述べました。岸田首相は、政府の基本的立場は河野談話を継承するもので、「見直しは考えていない」と答弁しました。
河野談話だけでなく、軍の関与や強制性は、多様な歴史研究によって明らかになっています。馬場氏の発言は被害者を侮辱する歴史修正主義に他なりません。(中野侃)