日本共産党の志位和夫委員長は6日、臨時国会の開会にあたって、国会内で開かれた党国会議員団総会で、次のようにあいさつしました。
半年ぶりの本格論戦の国会――国民の願いと期待にこたえる党ならではの論戦を
みなさん、おはようございます(「おはようございます」の声)。臨時国会の開会にあたり、ともにたたかう決意をこめてごあいさつを申し上げます。
この国会は、総選挙後、初めての本格論戦の国会となります。さらに言いますと、自公政権が野党の国会召集要求を拒否し続けたもとで、半年ぶりの本格論戦の国会となります。23人の衆参の国会議員団が一体になって、国民の願い、国民の期待にこたえて、日本共産党ならではの値打ちが光る論戦と活動を展開する決意を固めあいたいと思います。(拍手)
オミクロン株対応――3回目接種前倒し、ワクチン格差解消への国際的責任を求める
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新型コロナのオミクロン株への不安が広がっています。この変異株には未知のことも多いのですが、最悪の事態を想定して、水際対策の強化、検査・医療体制の強化などあらゆる手だてをとることを求めていきます。
ここで1点だけのべておきたいのは、3回目のワクチン接種――ブースターの問題です。日本では2回目接種後8カ月に3回目接種を行うことが原則とされてきましたが、8カ月に医学的根拠があるわけでなく、「前倒し実施をすべき」との声が多く出されています。日本共産党は、政府に対して、安全性と供給への責任をしっかり果たしながら、思い切った前倒しを決断・実施することを強く求めるものです。
同時に、富裕国と貧困国とのワクチン格差の解消に真剣にとりくむことが必要です。「だれもが安全にならない限り、だれも安全ではない」。これはデルタ株の痛切な教訓であり、オミクロン株の出現でもその重要性が示されました。わが党は、この立場に立って、日本政府に対して、ワクチン格差解消への国際的責任をしっかり果たすことを、強く求めていきたいと思います。(拍手)
岸田政権に現れた新たな危険性――戦争への逆流を許さないたたかいの先頭に
岸田政権についてのべておきたいと思います。わが党は、この政権について、経済政策でも、強権政治や腐敗政治という点でも、安倍・菅政治を継承する政権だと批判してきました。今日、それにくわえて強調したいのは、ただ単に継承するだけでなく、これまでにない危険性が随所に現れてきたということであります。
財政法に反する過去最大の軍事費――コロナで苦しむ国民の暮らしにまわせ
たとえば岸田政権が提出した補正予算案です。その問題点は、個人向け給付金が「困っている人に届かない」など、コロナで疲弊した暮らしと営業の苦境を救うものとは程遠いものになっているだけではありません。過去最大の軍事費7738億円が計上されていることは、きわめて重大な問題点であります。当初予算と合わせると初めて6兆円をこえる大軍拡になります。
そもそも補正予算案は、財政法で規定しているように、自然災害など、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要になった経費の支出」について作成するものです。巨額の軍事費を補正予算案に組み込むというのは、財政法に反するものであり、絶対に許されるものではありません。軍事費を削って、コロナで苦しむ国民の暮らしにまわせ――このことを強く求めてたたかおうではありませんか。(拍手)
「敵基地攻撃能力の保有」――歴代政権の憲法解釈を百八十度変える暴挙
岸田首相が、今日の所信表明演説で、「敵基地攻撃能力」の「検討」を表明すると報じられていることもきわめて重大であります。
歴代政権は、「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を保有することを憲法違反としてきました。「敵基地攻撃能力の保有」に踏み込むことは、海外で戦争する国への危険な道であるとともに、安保法制に続いて、歴代政権の憲法解釈を百八十度変更する立憲主義の破壊としても、絶対に許すわけにいきません。
安倍・菅政権でもできなかった危険な領域に――草の根から国民的大運動を
こうして岸田政権のもと、空前の大軍拡が進められ、「敵基地攻撃能力の保有」の動きが本格的に開始され、それと一体に、9条改憲への動きが強まっています。この政権は、安倍・菅政権でもできなかった危険な領域に平然と入ろうとしているのであります。
安倍元首相の場合、全身から危険性を発散させながら危険なことをやりました。いまの首相は涼しい顔をしながら、もっと危険なことをやろうとしている。ここに大きな危険があるということを、私は、厳しく指摘したいと思います。
みなさん。新しい国会で、こうした戦争への逆流を許さない平和の論陣を張っていこうではありませんか。「自民党の改憲4項目を許さない」――ここで野党が力を合わせることを呼びかけたいと思います。そしてなによりも、草の根から「9条守れ、憲法生かせ」の国民的な大運動を起こす先頭に立って奮闘しようではありませんか。(拍手)
野党の役割が問われている――「野党は批判ばかり」との非難にこたえる
こうした状況のもと、野党の役割が問われています。
この間、与党やその補完勢力、一部メディアから、「野党は批判ばかり」という非難が投げつけられています。私は、二つの点で答えておきたいと思います。
「野党は批判ばかり」というのは、事実とまったく異なる
一つは、「野党は批判ばかり」というのは、事実とまったく異なるということです。
この間のコロナ対応一つとっても、野党の側が、国民の切実な願いに立って、さまざまな提案を行い、次々に実現させてきました。1人10万円の特別給付金、持続化給付金、家賃支援給付金、雇用調整助成金のコロナ特例など、暮らしと営業の苦境を救うさまざまな施策は、どれも野党が提案し、国民の世論や運動と共同して、実現させてきたものではありませんか。
日本共産党自身、自公政治への批判と一体に、経済、環境、ジェンダー、平和、あらゆる分野で建設的提案を明らかにし、その実現のためにたたかっています。「野党は批判ばかり」というのは、事実とまったく異なる、このことをはっきりのべておきたいと思います。(拍手)
事実に基づく批判こそ、新しい政治を生み出す力となる
もう一つ強調したいのは、事実に基づく批判こそ、新しい政治を生み出す力となるということです。
私たちが、権力による国政私物化疑惑を厳しく批判してきたのは、うそや忖度(そんたく)のないまともな民主政治を取り戻すためであります。弱肉強食の新自由主義を厳しく批判しているのは、国民の命と暮らしを何よりも大切にするあたたかい政治をつくるためであります。大軍拡や憲法9条改定を厳しく批判しているのは、9条を生かした平和外交で世界平和に貢献する新しい日本をつくるためであります。
どんな問題でも、古い政治を厳しく批判してこそ、新しい政治をつくることができる。その役割を担うのが野党ではありませんか。
与党やその補完勢力から投げつけられる「野党は批判ばかり」という非難は、結局のところ、自民党がどんなに間違った政治をやっても、それを「批判するな」、「黙って従え」ということになります。日本共産党は、そのような暴論は断固拒否するものであります。(大きな拍手)
国民の怒りを代弁し、事実に基づく批判は徹底的に行う、それと一体に建設的提案を発展させ、多くの国民に希望が持てる未来を指し示す――こうした立場で全力をあげて奮闘しようではありませんか。(拍手)
新しい国会で国会共闘をさらに発展させ、参議院選挙の勝利につなげよう
私たちはこうした立場に立ち、新しい国会で野党共闘をさらに前進させるために力をつくします。その際、野党4党――日本共産党、立憲民主党、れいわ新選組、社民党が、市民連合と合意した20項目の共通政策は、国民への大切な公約になります。公約実現のために、野党4党の枠組みを大切にして、国会内外での共闘を発展させたい、これが私たちの立場であります。
その際、特にこの4年間、野党が力を合わせてつくりあげてきた国会共闘の成果は、ぜひともさらに発展させることを願っています。たとえば「野党合同ヒアリング」は、政府・与党が国会を開かない、あるいは十分な審議をやらない、そういうもとで「第二の予算委員会」と言われるほど、行政監視と政策立案のうえで大きな成果をあげてきました。よりよいものにする努力は必要だと思いますが、こうした努力はさらに発展させることが必要ではないでしょうか。
みなさん、新しい国会で国会共闘をさらに発展させ、参議院選挙での市民と野党の共闘の成功と勝利につなげるよう、全力をつくそうではありませんか。(大きな拍手)
真剣に政権にチャレンジする「新しいステージ」にふさわしく党活動の全面的発展を
11月27日、28日に開催した第4回中央委員会総会は、総選挙の悔しい結果から深い総括と教訓を引き出し、参議院選挙の勝利・躍進に向けた方針を決定した、歴史的総会となりました。
12月を4中総決定の徹底、党勢拡大をはじめとする諸課題で反転攻勢に転ずる月に
4中総決定は、いま全党に深いところから活力と勇気をもたらしています。
その最初の実践の月となる12月、4中総決定の徹底を、文字通り「党の命運がかかった課題」として重視し、全ての党員に決定を届けきるとともに、読了・討議・具体化に全力をあげたいと思います。率直な意見を出し合って、決定を深め、みんなの力にしていきたいと思います。
同時に、12月を、4中総で決めた参院選躍進に向けた「3本柱の活動」の全体で前進を開始し、とくに党員拡大と読者拡大で前進に転じ、反転攻勢に転ずる月にしていくために、あらゆる力をつくしたい、このように決意しています。
党綱領、政策活動、党建設、国会活動――あらゆる活動の新しい発展を
4中総決定の具体化にあたっては、わが党の活動が「新しいステージ」――わが党が真剣に政権にチャレンジする「新しいステージ」に入ったことを踏まえて、あらゆる党活動を従来の延長線上でなく、政治的活動も組織的活動も、「新しいステージ」にふさわしく全面的に発展させるという立場でのぞみたいと思います。
たとえば、党綱領の内容をどうやって国民多数の合意にしていくかは、わが党の活動の根本でありますが、野党として政権に対峙(たいじ)する党にとどまらず、本気で政権にチャレンジする党として、綱領の内容をどう広げるかは、新しい探求と開拓を必要とする課題となっています。大いに知恵をつくしたいと思います。わが党の政策活動全般も、新しい発展が求められると思います。
党建設という点でも、「わが道をゆく」という活動にとどまらず、支配勢力――自民・公明とその補完勢力との関係で、支配勢力に打ち勝つ力を持つ党をどうやってつくるかという立場で努力したいと思います。総選挙で、自民党は最終盤、激しい反共攻撃を行うとともに、彼らなりの組織をフル稼働し、底力を発揮しました。その底力に、わが党の力は到底及んでいません。わが党が、本気で政権にチャレンジするためには、組織においても支配勢力に勝る組織をつくる――こういう大きな志、展望を持って、とりくむことが必要ではないでしょうか。
そして、私たちの国会活動も、わが党が真剣に政権にチャレンジする「新しいステージ」にふさわしいものへと発展させるために、お互いに努力しようではありませんか。日本共産党が、野党としてその存在意義を光らせるとともに、「共産党が政権に加わっても安心だ」「共産党が加わった方がよい政権になる」と思っていただけるような国会活動を、みんなで知恵と力を集めて、大いに発展させようではありませんか。
そのことを訴え、みなさんとともに頑張り抜く決意を申し上げて、臨時国会開会にあたってのあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)